第 3 章 教育・研究系のサービス業務
3. 1 コンピューティングサービス
コンピューティングサービスでは,高度計算機利用を目的とする全国共同利用施設である学術情報メディアセン ター(全国7大学情報基盤センターの一つ)が保有するスーパーコンピュータシステムによる大規模な計算機機能 を全国の学術研究者へ提供し,利用者支援および多様な学問分野を対象とした計算機科学,シミュレーション科学 研究のための高性能計算機基盤の環境整備を行っている.
3. 1. 1 サービス内容について
3. 1. 1. 1 スーパーコンピュータシステムサービスする計算機資源は2008年度6月に導入したシステムで,2タイプのクラスタで構成される.T2K(筑 波大学,東京大学,京都大学)オープンスパコン仕様に基づくHX600クラスタを中核として,Fat nodeサブシス テムであるSPARC Enterprise M9000クラスタ,ディスク容量883TBのストレージシステムから構成される.シス テム構成を図3.1.1に示す.
HX600クラスタの主要な諸元は,総CPUコア数6,656,ピーク演算性能61.2TFlops,総メモリ容量13TB,総ノー ド間通信性能3.3TB/sec.である.実効性能はTop500リストで導入時の2008年6月に世界34位,国内では4位である.
M9000クラスタは総コア数が896であり,ピーク性能が8.96TFlops,総メモリ容量7TBである.HX600クラスタ
とM9000クラスタを合わせたシステムの総ピーク性能は70.16TFlopsとなっている.なお,オペレーティングシス
テムは,HX600がLinux(Red Hat Enterprise Linux AS V4),M9000がSolaris10である.
3. 1. 1. 2 サービスコースの紹介
2011年度のスパコンのサービスと提供資源を表3.1.1に示す.
図3.1.1:システム構成
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3. 1. 1. 3 アプリケーション,コンパイラ及びライブラリの提供
スパコン調達で導入したIntelコンパイラ,Intel MKL(Math Kernel Library),PGIコンパイラ,ACML(AMD Core Math Library),Gaussian03,MOPAC,Nastran,Marc/Mentat Patran,LS-DYNAのISVア プ リ ケ ー シ ョ ン,
NAG,IMSLの数値計算ライブラリ,可視化ツールAVSのほか,キャンパスライセンスで入手しているMATLAB,
Maple,および,独自に導入しているMathematica,Tecplot,SAS,ENVI/IDL,Gaussian09,GaussView,TotalView を提供している.さらに,利用者の要望などに応じて,オープンソースなどを移植し,ソフトウェアの充実を図っ ている.
3. 1. 1. 4 ライセンスサービス
可視化ツールAVS,ENVI/IDL,分子モデリングソフトウェアScigress ExplorerおよびLS-DYNAのプリポスト
eta/VPGを利用者が研究室のPCなどにインストールして利用できるように,ライセンスの提供サービスを行って
いる.
3. 1. 1. 5 大判プリンタサービス
メディアセンター北館に大判プリンタ(A0)2台を設置し,利用者の学会などのポスターセッションへの投稿な どを支援している.
3. 1. 1. 6 スーパーコンピュータ利用者の利用支援
スーパーコンピュータ利用者の利用支援策として,(1)ホームページによるマニュアルやFAQの整備,(2)全 国共同利用版広報および利用の手引きの出版,(3)プログラム講習会の企画,運営,(4)メールでのプログラム相
区分 提供資源
コース タイプ システム バッチ システム資源 Elapse ディスク
(GB) アカウント数
エントリ − HX600 共有 最大1ノード相当 1 60 −
パーソナル タイプ1 HX600 共有 最大2ノード相当 168 600 −
タイプ2 M9000 共有 最大2ソケット相当 168 600 −
グループ
タイプ1 HX600 優先 2ノード(最小,追加) 336 2,000 6
− 2,000 6
タイプ1B HX600 準優先 4ノード(最小) 336 2,400 12
2ノード(追加) − 1,200 6
タイプ1C HX600 占有 4ノード(最小) 336 4,000 12
2ノード(追加) − 2,000 6
タイプ2 M9000 優先 4ソケット(最小) 336 4,000 12
2ソケット(追加) − 2,000 6
タイプ2B M9000 準優先 4ソケット(最小) 336 2,400 12
2ソケット(追加) − 1,200 6
大規模ジョブ
タイプ1 HX600 優先 4ノード(最小) − − −
1ノード(追加) − − −
タイプ2 M9000 優先 4ソケット(最小) − − −
1ソケット(追加) − − −
専用クラスタ − HX600 − 4ノード(最小) − 4,000 12 2ノード(追加) − 2,000 6
表3.1.1:サービスと提供資源
83 3. 1 コンピューティングサービス
談およびチューニング支援などを行っている.
3. 1. 2 サービス提供の体制について
スーパーコンピュータサービスに係わるスタッフは,情報部情報基盤課研究支援グループの技術職員5名および 共同利用支援グループの事務職員2名(表3.1.2)であり,さらに,学術情報メディアセンターコンピューティン グ研究部門の教員6名(表3.1.3)がサービス実施を支援する体制をとっている.情報基盤課研究支援グループは,
スーパーコンピュータの運用・管理やサービス,障害管理およびプログラム相談をはじめとした利用の手引の執筆,
Web,メールマガジンでの情報提供,プログラム講習会の企画,運営などの業務を担っている.共同利用支援グルー プ共同利用担当(北館窓口)は,利用申請処理,全国共同利用の窓口サービス,講習会の受付などの業務を担って いる.
全国共同利用の大型計算機システム(スーパーコンピュータ,汎用コンピュータ)の運営,予算などに関する事
研究支援グループ
平野彰雄 技術専門員 グループ長,研究支援グループ 兼務解除(12/1)
相楽真太郎 技術専門職員 セキュリティ対策室に異動
(12/1)
疋田淳一 技術職員 グループ長就任(12/1)
斎藤紀恵 技術職員 山口倉平 技術職員 池田健二 技術職員 杉田亜裕 派遣職員
共同利用支援グループ(北館窓口)
小西 満 専門職員 共同利用支援グループ(南館窓 口)より異動(4/1)
岩吹綾子 事務補佐員
表3.1.2:情報基盤課
スーパーコンピューティング研究分野 中島 浩 教授
岩下武史 准教授 平石 拓 助教
メディアコンピューティング研究分野 牛島 省 教授
山崎浩気 助教 着任(4/1)
環境シミュレーション研究分野 平岡久司 准教授
表3.1.3:コンピューティング研究部門
図3.1.2:組織体制
項は,京都大学の各学部および他大学の利用者代表の委員で構成される全国共同利用運営委員会(委員長 中島浩 センター長)で審議される.2011年度は,7月26日および2月2日に開催した.全国共同利用運営委員会の下に,
スーパーコンピュータ利用による共同研究などの企画,審査および先端研究施設共用促進事業に係わるヒアリング,
審査のためにスーパーコンピュータシステム共同研究企画委員会(委員長 牛島省教授)が設置されている.2011 年度は,5月19日に開催した.
スーパーコンピュータシステムの負担金,運用,管理およびサービス内容に関する事項,技術的事項と利用に係 わる広報に関する事項を扱う委員会としてスーパーコンピュータシステム運用委員会(委員長 牛島省教授)が情 報環境機構運営委員会の下に設けられている.2011年度は,7月4日,1月6日に開催した.
スーパーコンピュータシステムの効率的な運転計画などコンピューティングの業務に関する事項は,コンピュー ティング事業委員会(委員長 疋田淳一技術職員)を毎月開催し,議論している.2011年度は4月5日,5月9日,
6月7日,7月5日,9月6日,10月4日,11月2日,12月6日,1月5日,2月9日,3月6日の11回を開催した.
システム状況報告会は,システム導入メーカー富士通株式会社との間で,障害,修正の進捗などをチェックする ために,月1回開催している定例会である.2011年度は,12回開催した.
3. 1. 3 サービスの提供状況について
3. 1. 3. 1 サービスの利用状況
2011年度のサービス申請受付は,2010年度と同様に全てのサービスコースを募集する一次募集と,科研費をは じめとする競争的資金の採択状況に応じて申請をする利用者向けに,グループ及びパーソナルの募集を行う二次募 集の2回を行った.一次募集は1月11日から受付を開始し,専用クラスタコースおよび機関定額利用を1月31日 で締切り,グループ,パーソナルコースを2月14日の締切りとした.二次募集は,全体の20〜25%の計算機資 源を対象に4月1日から5月6日の間受付を行った.今年度も受け入れ可能な枠を超えるサービス申請を頂いたた め,一部の申請で資源の下方修正での調整を行った.
表3.1.4は,2011年度のスーパーコンピュータのサービス利用状況を整理したものである.なお,大規模ジョブコー
スの利用は,HX600で1,520ノード・週(ノード数と契約週の積)であった.契約資源量からみた学内と学外の割 合は,HX600で78%と22%,M9000で,81%と19%であった.
部局等 HX600(Thin SMP) M9000(Fat SMP)
契約数 契約資源量 契約数 契約資源量
理学研究科 8 8% 109 18% 1 7% 16 8%
工学研究科 30 29% 140 23% 2 13% 34 16%
情報学研究科 2 2% 80 13% 1 7% 10 5%
生存圏研究所 1 1% 16 3% 2 13% 80 39%
学内その他 36 35% 128 21% 6 40% 27 13%
学外 25 25% 135 22% 3 20% 40 19%
表3.1.4:サービス利用状況
学内その他の部局とは,薬学研究科,医学研究科,人間・環境学研究科,エネルギー科学研究科,地球環境学堂,
化学研究所,基礎物理学研究所,防災研究所,エネルギー理工学研究所,数理解析研究所,産官学連携本部,福井 謙一記念研究センター,学術情報メディアセンターである.また,学外とは,豊橋技術科学大学,富山大学,福井 大学,愛媛大学,鳥取大学,東京大学,静岡大学,岐阜大学,名古屋大学,金沢大学,京都工芸繊維大学,奈良教 育大学,神戸大学,岡山大学の各国立大学法人,近畿大学,独立行政法人土木研究所,独立行政法人産業技術総合 研究所,独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構,海洋研究開発機構,理化学研究所,核融合科学研究所,特 定非営利活動法人量子化学研究協会である.契約機関数としては,京都大学含め23機関である.