第 2 章 事務系のサービス業務
2. 1 電子事務局推進
2. 1. 1 サービス内容について
電子事務局とは,事務手続きや事務サービスを可能な限り情報技術を用いて電子的に実現することである.現在,
京都大学においては,大学使命の効率的推進,大学事務の経費削減,学生,地域住民又は一般社会人等へのサービ ス向上を図り,社会的な説明責任を果たすことが求められており,情報技術の側面から大学事務の高度化・効率 化を目指すために,電子事務局推進室は2004年11月に発足した.その後,電子事務局構想の推進の基盤システム である全学事務用グループウェアを2005年8月に導入し,本学の職員(一般職(一)及び事務補佐員・派遣職員 等)を対象として本格的なサービスの提供を開始した.2007年12月には全教職員(学外非常勤講師,短期雇用者,
TA/RA/OAを除く)が利用できるように全学事務用グループウェアの環境を拡張し,京都大学教職員グループウェ
アとしてサービスの提供を開始した.京都大学教職員グループウェアには,掲示板機能,回覧板機能,文書共有機 能及び施設予約機能等に加えて,全学メールシステムとのシームレスな連携,財務会計システムや就業管理システ ムをはじめとするバックエンドのサービスとの連携機能も備えており,これらの機能を用いた学内の情報共有,情 報流通の促進を行っている.
2. 1. 2 サービス提供の体制について
電子事務局推進室は2004年11月に情報環境部情報企画課に設置され,財務部,施設・環境部,学生部の協力を 得て,室長1名,室員4名の体制で始まった.
電子事務局を推進する学内体制として,全学体制で進めるために電子事務局担当理事を1名おき,電子事務局推 進室は理事の指揮・命令のもと,事務情報化を進めていくこととし,電子事務局担当理事のもとに電子事務局推進 会議を開き,事務本部各部の部長,一部部局の事務部長及び一部教員を構成員として3回開催し,電子事務局の推 進に係る基本指針を策定した.その後,毎年電子事務局推進会議において当該年度の電子事務局推進についての意 思決定を行っていた.電子事務局関係システムの開発,実施,普及を円滑にするため,各部局に電子事務局推進リー ダーをおき,実務レベルでの意見収集体制を整えていた.
図2.1.1:新電子事務局推進体制想定図
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また,全学事務用グループウェアのベンダーである日本IBM㈱と共同研究契約を取り交わし,電子事務局の開 発及び評価に取り組んでいる.具体的には,京都大学は1.対象業務のノウハウ提供,2.要件定義,3.ワークフロー 設計・開発を担当し,日本IBM㈱は1.業務分析2.要件定義に関する共同作業3.ワークフロー設計・開発に関す る共同作業を担当している.
2011年4月情報環境機構の組織改正に伴い設置されたIT企画室と連携し,新たに企画担当理事等及び関係部長 が委員となり,CIOが主査となるIT戦略委員会を設け,全学的な情報環境整備の意思決定のもと電子事務局推進 も実施されることとなった.しかし,IT戦略委員会については,要項制定の関係で発足されなかった.また,事 務組織改正の一環で電子事務局推進室は,その名称を電子事務局推進掛に改称した.電子事務局推進リーダーにつ いては,引き続き,電子事務局関係システムの開発,実施,普及を円滑にするため,電子事務局推進掛と連携・協 力体制をとっている.
2. 1. 3 サービスの提供状況について
教職員グループウェア ユーザ数は,現在約13,000名であり,全教職員(学外非常勤講師,短期雇用者,TA/
RA/OAを除く)がユーザとして利用している.構築当初は,事務系職員(一般職(一)と事務補佐員,派遣職員等)
が電子メール機能(メール・スケジュール)を使用できるユーザで,運用形態の異なる事務系以外の教職員は簡易 版ライセンスにてメール・スケジュール以外の殆どの機能が使用可能なユーザとして二種類のユーザが,全教職員 が同一基盤上のグループウェアを利用でき,全学的な情報共有・情報流通,事務の合理化・効率化を促進する環境 が整っている.全学メールの本格運用に合わせて,全教職員が利用できるスケジュール機能を構築したうえで電子 メール機能を廃止し,すべて簡易版ライセンスのユーザに移行した.ユーザの登録・削除・変更件数を図2.1.2に 示す.2011年12月より,財務会計システムもICカード認証の対象システムとなり,財務会計システムのみにロ グインするユーザのID付替え(登録と削除)が発生したため10月ごろから登録件数がやや増加し,移行完了後 に削除処理を行ったため12月の削除件数が突出している.また,図2.1.3に教職員グループウェアアクセス数を示 す.1日の平均アクセスユーザ数は,約2,400件で1年を通じて大きな変動もなく推移している.
図2.1.2:ユーザ登録・削除・変更
処理件数
図2.1.3:教職員グループウェア
アクセス数
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グループウェアの機能の中でも,電子メール機能と掲示板機能は数多くのユーザに利用されている.電子メール 機能としては,2010年度から全学メールの運用を開始したことに伴い,全てのユーザの全学メールアドレスをア ドレス帳に登録し,本人にアドレスを確認することなくメールを送信することができ,ユーザに非常に好評である.
これにより,全教職員がグループウェアの各種メール連携機能を確実に利用できる環境となり,更にグループウェ アとしての情報流通・情報共有が可能となった.
掲示板機能は,総合掲示板(全学向け)と部局掲示板の2種類あり,ユーザが情報の種類により総合又は所属部 署の掲示板を使い分けて情報を発信することが可能となっている.2011年度の登録件数を図2.1.4に示す.月によ りばらつきがあるが,一定数の利用があることがわかる.2007年12月の事務系職員以外の教職員ユーザ追加に併 せて,教員のみ,職員のみ,全教職員の3パターンでの公開範囲を選択できる機能を追加した.2011年1月にはポー
71 2. 1 電子事務局推進
タルのリニューアルをおこない,合わせてカテゴリ選択により分類表示する機能を追加し利便性の向上を図った.
また,回覧板機能は確実に相手に連絡事項が伝わったかを確認することが可能であり,文書共有機能は職員全員が 共有すべき文書データ等を1カ所で管理・利用可能であるので必要不可欠な機能となっている.施設予約機能は,
登録された会議室や設備をユーザ及び管理者が簡便に予約や承認を行うことが可能で,電話連絡や紙による台帳管 理の業務が軽減されている.
現時点での主な利用状況としては,総合掲示板掲載:1日平均8件,部局掲示板掲載:1日平均5件,全学用施 設予約(事務本部会議室):登録されている会議室6室は70%以上の予約状況で,2000年度から情報部で管理して いるキャンパスプラザ京都の京都大学サテライト講習室は教員からも多数利用されている,全学用文書共有:全ユー ザから閲覧可能なファイル数は年々増加し今年度は1000件前後で推移している,部局ファイル保管(部局内文書 共有):各部局内ユーザのみ閲覧可能なファイル数は,2009年7月の新たなシステムでの運用開始後年度末で約1,300 件に増加し,2011年3月約1,500件,2012年3月約2100件となっている.
文書共有(全学)および部局ファイル保管機能について,いつでも必要な書類を利用できるという利便性及びペー パーレス化の促進が確実に実行でき,掲示板の利用についても以前は事務本部等からの通知をメールに再編集して 送るか,紙ベースのコピーを配付するという手間を掛けていたことを,徐々に掲示板の利用という方向で労力と紙 資源の削減に寄与できている.図2.1.5に文書共有(全学)及び部局文書管理の件数の推移を示している.これよ り増加の様子が確認できる.
図2.1.4:総合掲示板・部局掲示板
登録件数
図2.1.5:文書共有(全学)・部局ファイル保管
登録文書件数
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部局内施設予約は,表2.1.1に示す通り利用部局数や予約件数とも増加している.施設予約機能により,会議室 や備品の台帳管理も不要となり,利用希望者にとってはリアルタイムに空き状況の確認と予約が行えるといった利 便性が向上している.
表2.1.1:施設予約件数の変化
利用部局数 予約施設数 予約件数
2011年4月 13 74 36,465
2012年3月 17 138 51,265
グループウェア内検索システム Yahoo!やGoogleと同様に簡便に文書名のみならず文書内の語句も対象として検 索できるシステムである.文書共有のための部局ファイル保管等により,グループウェアで管理する情報量が増大 しており,検索にあたっては,閲覧権限を保持しつつ表示され,権限の無い文書については,全く表示されないと いう高いセキュリティを確保しており,閲覧権限の変更にも即座に対応している.また,グループウェア内だけで はなく,既存のWebページも検索対象に加えることができるため,この検索システムはユーザが短時間で素早く