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3.農業法人の活躍事例(2件)

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 以下では、躍進を遂げる気鋭の農業法人の 活躍事例(2件)を紹介する。いずれの事例 も、躍進の過程では地元の信用金庫による資 金的な協力が重要な役割を果たしてきた経緯 もあり、今後の新しい農業金融のあり方を探 るうえでも注目に値しよう。

(1 )株式会社リーフ(愛知県豊橋市、従業 員規模:約43名)

①胡蝶蘭の加工・販売に特化して躍進  当社は、現・社長の尾崎幹憲氏が胡蝶蘭の 将来性に着目、98年に独立創業したことに 始まる、愛知県豊橋市を地盤とする胡蝶蘭の 加工・販売会社である。

 創業当時は、父親が営むトマト農家の一角 を借り受けるような形で、農家の後継者のた めのJAの制度資金(約7,000万円)などを活 用し、胡蝶蘭の生産から販売までを一貫して 手がけていた。その後、事業が徐々に軌道に

乗ってきたことから、06年には加工・販売 事業をさらに分社化するような形で株式会社 リーフを新設した。現在は、尾崎社長の父親 が個人事業として胡蝶蘭の苗の育成(約5か 月間)を手がける一方で、さらに当社で出荷 へ向けて加工した後に、花き(花卉)卸売業 者や消費者へ販売を行うという分業体制が確 立されている。

 事業立上げ当初の胡蝶蘭の販売は、一般の 青果物と同様に、当社が花き卸売市場へ胡蝶 蘭を持ち込んで、価格の決定を市場に委ねる というスタイルであったため、「自分で価格 を決められないもどかしさのようなもの」が あった。また、消費者へ行き渡るまでに物理 的に市場を経由することから、胡蝶蘭が傷む などロス率を高める原因となっており、従前 より何とかして物流面でも改善ができないだ ろうかと模索する日々が続いていた。

 現在の年商(約3億5,000万円)の販売先別 構成比は、生産業者として花き卸売市場(愛 知豊明花き市場など)へ持ち込むものが約 図表9 CDSを活用した農業者向け債権証券化の概要

(備考)日本政策金融公庫農林水産事業本部の資料(09年2月)をもとに信金中金総合研究所作成 農業者

農業者 農業者

農業者 農業者 農業者

投資家 投資家

投資家

投資家 投資家 投資家 CDS

民間金融機関 CDS

日本政策 金融公庫 農林水産 事業本部

SPC 引受証券

(証券)

民間金融機関

スキーム概要

CDS

CDS

CDS

社債 引受

社債売却 融資実行

CDS CDS

①民間金融機関は、各農業者に対して融資を実行

②民間金融機関は日本政策金融公庫(農林水産事業本部)と各融資契約ごとに最大 80% まで補償する CDS 契約を締結

③日本政策金融公庫(農林水産事業本部)は、②で契約した CDS プールを、SPC を通じて証券化

30%、生花店から個別に注文を受けるもの

(卸売り)が約40%、消費者からインターネッ ト経由で直接注文を受けるもの(小売り)が 約30%、となっている。

 当社が運営する胡蝶蘭のインターネット販 売サイト「フラワーショップはなやか」では、

送付前に現物写真をネット上で確認してもら うなど、商品受取り時のイメージのギャップ を埋めることに注力しており、利用客からも 好評である。胡蝶蘭は、ギフト需要が大半で あるため、こうした配慮が特に受けている模 様で、最近ではネット販売による小売りルー トの構成比が徐々に拡大している状況にある。

② 豊橋信用金庫が胡蝶蘭を担保としたABL融 資を実行

 当社は、農業者向け融資への取組みにも熱 心な豊橋信用金庫(本店:愛知県豊橋市)よ り、07年10月に愛知県信用保証協会の流動 資産担保融資保証制度(ABL保証)を活用 して、胡蝶蘭の在庫(作業所内の2万鉢)お よび上位5社の売掛金を担保として1,500万円 の融資を受けた。当社の借入れは、もともと JA中心であったが、当社で加工・販売事業

の分社化を検討していたころに、胡蝶蘭の生 産技術関連の相談で尾崎社長がたまたま出入 りしていた地元・豊橋技術科学大学で、産学 連携のコーディネーターを担当していた豊橋 信用金庫の職員と出会ったことがきっかけと なり、前述のABL融資の実行へと話が展開 した。

 当社では、豊橋信用金庫職員から受ける経 営面でのアドバイスも真摯に受け止めなが ら、今後も地場の胡蝶蘭生産・販売業者とし て躍進を続けていく意向である。

【㈱リーフの「フラワーショップはなやか」

のURL:http://www2.enekoshop.jp/shop/

hanayaka/】

(2 ) 農 事 組 合 法 人 和 郷 園(千 葉 県 香 取 市、

加入生産農家数:約90名)

①新進気鋭の農産物出荷団体

 当社は、わが国有数の野菜の生産地である 千葉県北東部の生産農家約90戸で構成され る農事組合法人「和郷園」を中核組織とし て、科学的な裏付けのある土作りに基づいた 安心・安全な野菜等を、既存の流通ルートに 依存することなく、首都圏の大型スーパーや 図表10 愛知県豊橋市の位置

(備考)信金中金総合研究所作成

㈱リーフの作業場

外食業者など約50先へ供給する新進気鋭の 農産物出荷団体である。グループの年商はお よそ50億円にも及ぶ。

 当社はもともと、91年ごろに千葉県香取 市で実家の生産農家を継承していた現・代表 理事の木内博一氏が中心となって、「自分た ちの商品は自分たちで価格を決めて売りた い」という考えのもと、近隣農家の有志5名 がトラックに野菜を積み込んで東京のスー パーへ直接売込みに行ったことから始まっ た。その後、その熱意と商品の良さが徐々に 評価されるなかで、首都圏の生協やスーパー 向けの直販ルートを拡大させる一方で、仲間 の生産者も徐々に増やし品目を拡大、新進気 鋭の農産物出荷団体としての事業基盤を固め つつ今日に至っている。

 現在、実際の農産物販売事業を担う別会社 の㈱和郷の販売先別構成比は、生協系の消費 者会員組織が約50%、外食業者が約30%、一 般のスーパー等が約20%となっている。ま た、品目別の売上構成比は、キュウリ17.2%、

大葉9.9%、サンチュ7.9%、大根7.1%、トマト 6.2%、ミニトマト4.5%などとなっている。

 当社では、「農業はさまざまな商品を作り 出す製造業である」と捉え、原則として顧客

(小売業者等)との間であらかじめ品目ごと に量や価格を決めて注文を受け、これに沿っ て生産するシステムに徹しており、当初から の理念でもある「自分たちの商品は自分たち で価格を決めて売りたい」というスタイルを 貫いている。ちなみに、「和郷園」を構成す る主要メンバー(生産者)の年間売上規模は、

全国平均の約2倍にも及び、「農業は儲から ない」という業界内の常識を覆す気鋭の農業 者集団となっている。

 なお、当社では天候リスクなどを勘案して 注文より若干多めに生産するのが通常だが、

こうしたことから生じる 売れ残り やいわ ゆ る 規 格 外 の 野 菜 等 は、 当 社 の 加 工 部 門

(カットセンター、冷凍加工センター)で鮮 度のよいうちに産地加工し、生産した野菜等 を100%有効活用できる仕組みを構築してい る。ちなみに、当社の冷凍加工センターで作 られる冷凍野菜は、旬の時期に大量に収穫し たものを独自の冷凍技術で加工・凍結したも のが中心である。とりわけ、ホウレンソウ、

和郷園の本社壁面に掲げられている看板 図表11 千葉県香取市の位置

(備考)信金中金総合研究所作成

小松菜、枝豆、ブロッコリー、ささがきゴボ ウ、大和芋とろろ、の6種類については、イ ンターネットを通じた消費者への直販に加 え、香港やタイなどへの輸出も行っている。

 ちなみに当社では、04年に欧州方面への 輸出の際に必須条件となっている欧州小売業 組 合 の 適 正 規 範 で あ る「EUREP  GAP(現 グローバルGAP)」の認証を取得、当社農産 物の安全性を客観的に担保するとともに、国 内 の 他 の 有 力 農 業 者 等 と 連 携 し て「日 本 GAP協会」の発足・運営にも尽力している。

 また、当社では、千葉県が農薬や化学肥料 などの使用について基準を設けた「ちばエコ 農産物」の普及に積極的に取り組むととも に、千葉県農業総合研究センター等と連携し て野菜残渣の堆肥化を行うバイオマスの実証 実験にも協力するなど、安全・安心や環境問 題への取組みも、地域経済に根ざしながら継 続的に行っている。

【和郷園のURL:http://www.wagoen.com/main. 

html】

② 銚子信用金庫などの地元金融機関を積極的 に利用

 当社では、設備投資関連の長期資金では 日本政策金融公庫の制度資金などを主に利 用しているが、運転資金などの短期資金は、

農業者向け融資にも積極的に取り組んでいる 銚子信用金庫(本店:千葉県銚子市)など の地元金融機関の資金も積極的に利用して いる。

 わが国有数の農業地帯を営業地盤とする銚

子信用金庫は、旧・農林漁業金融公庫との

「業 務 協 力 」 を 信 用 金 庫 業 界 で 最 初 に 締 結

(04年7月)したことでも知られており、比較 的早い段階(04年11月)から農業者向けの 専用ローン商品「みのり」を投入するなど、

農業者向け金融に取り組んできた。最近で は、千葉県信用保証協会の信用保証のみな らず、千葉県農業信用基金協会の信用保証 も必要に応じて適宜活用しながら農業者向け 融資に対応している。「和郷園」のような、

雇用創造を通じて地元経済への貢献をも実 現している農業者に対しても、地域に根ざす 金融機関として、資金面から積極的に支援し ている。

 銚子信用金庫では、今後も地域の基幹産業 である農業を継続的に支援していくため、そ の資金ニーズへ的確に対応していくととも に、ビジネスマッチングの機会を提供するこ となどを通じて、地元農業者の経営支援など を検討している。

4 .農業者向け融資へ取り組む地域金

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