溶離液 20mMメタンスルホン酸
再生液 0.375%テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド溶液
*和光純薬特級メタンスルホン酸1.3mLを純水で希釈し全量を
1:しにする。
*和光純薬特級15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶 液24.3mLを純水で希釈し全量を1:しにする。
[陰イオンの測定]
出離液 1.8mM炭酸ナトリウム
+1.7mM重炭酸ナトリウム 再生液 25mM硫酸
*和光純薬;特級Na2CO319.1gと和光純薬特級NaHCO3 14.3g を純水に溶かし全量を1しにする。その溶液を10m:L取り純水 で希釈し全量を1L,にする。
*和光純薬特級濃硫酸0.75m:Lを純水で希釈し全量を1L,にする。
一38・
4 2 pH:メーター法(ガラス電極)
降水中の水素イオン濃度の測定には、堀場:F−22・電極6378 型を使用した。校正には、pH:4、7、9の校正標準溶液(堀場100 −4、100−7、100−9)を用いて3点校正をした。ガラス電極を 試料溶液に浸し、5分後のpHメータの値を読んだ。
複数の試料を測定する場合、直前に測定した試料の影響が残る ことがあり、測定値が安定するまで繰り返し測定を行った。
4.3 電気伝導度法
電気伝導度(EC)の測定には、堀場C−172型を使用した。こ の簡易導電率計は、少量の試料でも測定することができる。測定 範囲は、:Lowレンジで、0〜199μScm−1(表示分解能1μScm−1)、
H:ighレンジでは、 o〜1990μscm−1(表示分解能10μScm}1)であ
る。
一39一
第5章 降水に する結 と 5 1 データの精度の検討
現在、日本国内の主な酸性雨調査では、次の2種類の方法によ って分析データの精度の確保が図られている。その一つは、イオ ンバランスをチェックする方法(イオンバランス法)で、もう一 つは、電気伝導度(EC)の計算値と測定値を比較する方法(電気 伝導度法)である。
本研究のデータについても上記2種類の方法で検討した。
5.1.1 イオンバランス法(6)
降水中のイオンについて当量濃度単位で表したとき、降水試料 は電気的に中性なので(陰イオンの当量濃度の総和)=(陽イオ ンの当量濃度の総和)となる。
降水中には多くの種類のイオンが含まれているが、量的には降 水中に含まれている主な成分の種類は限られている。現在、目本 の降水では陽イオン6種類、陰イオン3種類の計9種類のイオン で、ほぼバランスがとれている。そこで、陰イオンの総和をA、
陽イオンの総和をCとして、当量単位で示すと、
A=[Cl一]+[NO3司+[SO42一]
C=[H+]+[Na+]+[NH4+]+[K+]+[Mg2+]+[Ca2+]
となり、AICの比を計算して、その値が1から大きく外れる試料 についてチェックする必要があるとされている。なお、pH:が6
程度以上の試料についてはHCO3}イオンの濃度が高くなり、その ための補正が必要であるが、本研究では行っていない。また、上 記の[ ]は当量イオン濃度を表すものとする。
・40・
図5.1に陰イオン総量と陽イオン総量との関係(兵庫:2000年7
,月〜2001年6月)を示す。
p且5.6未満の試料は、ほぼ1:1の直線の近くに分布している。
しかし、pH5.6以上の試料では、陽イオンが過多になっている。
本研究室の壷阪(1997)によると、pH5.6以上の試料では、HCO3 イオンを測定しないで分析すると、陰イオンが過少評価されイオ
ンバランスの値は小さくなる(8)という報告がされており、今回 HCO3一イオンを測定していないため、 pH:5.6以上の試料の分布
が陽イオン側に偏ったと考えられる。
5 1.2 電気伝導度法(6)
降水の電気伝導度(EC)鴨の値は、降水中の主成分の当量濃度と 水溶液中の極限当量伝導度を用いて、下式のように求めることが できる。計算による電気伝導度をEC,alとすると、
ECcaF{349.8×[H+】+50.10×[Na+]+73.55×[N且4+】
+73.50×[K+]+53.03×[Mg2+]+59.50×[Ca2+]
+76.35×[Cl一]+71.46×[NO3一]+80.02×[SO42一]}×10 3 となり、この:EC,alと実測した電気伝導度:ECm,a、の比を調べる。
その値が1から大きく外れる試料はイオンバランス(AIC)同様 チェックする必要があるとされている。
図5.2にEC凱。a、とEC,a正の関係(兵庫:2000年7,月〜2001年
6月)を示す。
ECm。a,の値の大きいところではEC,a1側に少し偏った分布にな っているが、ほとんどの試料が、1:1の直線の近くに分布して
いる。
一41一
2000
1800
1600
ρし
・≧
9
3
蠣
A
ヤ
1400
1200
10◎0
800
600 400 200
0
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○●
● ♂ 口
o
口
●
●
● ●
● ●
口
口 口
口
●
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
陽イオン総量(μequivし門)
図5.1陰イオン総量と陽イオン総量の関係 兵庫の降水(2000年7月〜2001年6月)
一42一
250
2◎0
ド(I
Eo
の
と
O
o 150100
50
0
●
●
●
● ■
●
●
●
●
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●
● o ●
○●● ●
● ■
● も
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
0 50 100 150
巳Cmeas(μS cm噛コ〉
200 250
図5.2εCmeasとECcalの関係
兵庫の降水(2000年7月〜2001年6月)
・43一
以上のことにより、本研究で行われた測定は、ほぼ正しく行われ ていると考えられる。
一44一
5.2 各調査地点における降水量、p且、電気伝導度(EC)
5.2.1 降水量の変化
図5.3(A)、(B)、(C)に降・水量の経月変化(2000年7月〜2001年 6月)を示す。年間降水量は、秋田1314.5㎜、柏崎1685.0㎜、富
山963.1㎜、石川817.7㎜、福井1573.3㎜、鳥取1596.2㎜、米子 1662.7㎜、萩1281.5皿、福岡1673.5㎜であった。石川、富山の2 地点のみが年間降水量1000㎜以下と少なかったが、他の地域では 年間1200㎜以上の降水があった。鳥取より北側にある地域では、
9月〜3月にかけて降水量が多くなっている。しかし、福岡や萩で は、11月〜12,月と3,月〜4月の降水量が少なくなっている。
日本海側地域全体で見ると9〜11月(台風、秋雨)と5〜6,月(梅 雨)に降水量が増加しているが、福井の1月、福岡の6,月の降水量 は群を抜いて多くなっている。
・45・
(A)600 500 曾400 ε 鋼300 童20◎
100 0
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〆ロ・〜
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噸 , り 禔D.し ・口./
7月 8月 9月 10月 穏月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
一秋田 。…柏崎 一富山
(B)6・0 500
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ε 嘱300 童200
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0
年間降水量(揃m)1314.5 1685.0 963.1
ロら
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◎・=C. ル @ ロ ・
7月 8月 9月 10月 1埆 董2月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
一石川 …。 福井 一一鳥取
(C)6。。
500 倉400 ε 嘱30◎
瞠2◎0 准00 0
年間降水量(mゆ817.7 15733 1596.2
P・φ φ
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 一米子 心 ・萩 一か一福岡 年間降水量(m麟)1662.7 128L5 1673.5
図5。3降水量の経月変化(2000年7月〜200で年6月)及び年間降水量 ・46・
5.2.2 p且の変化
図5.4(A)、(B)、(C)に、P且の経月変化(2000年7月〜2001年6 月)を示す。p:Hの年平均値(降水量で重みづけした加重平均)は、
秋田4.96、柏崎4。77、富山4.79、石川4.66、福井4.59、鳥取4.74、
米子4.82、萩4.91、福岡5.33であり、福岡のみがp且5.0を超える 値がとなった。経町変化を見ると、鳥取から北側の地域では、夏か ら冬にかけて、pHの低下がみられるが、その後、上昇に転じてい る。この冬季のpRの低下は、酸性物質の越境汚染の影響によるも のだと考えられる。1月のpHの値は、萩や福岡以外の地域では非 常に近くなっている。これは、目本海側の広い地域で、中国大陸か
らの越境汚染の影響を同じように受けているからだと考えられる。
一方、萩や福岡では、1月にアルカリ汚染物質である黄砂が九州 北部、山陰地方の日本海側で観測されており、この影響によってp且 の値が上昇したものと考えられる。同じ山陰地方の米子、鳥取、福 井でも12月に比べpH:は上昇しており、黄砂による影響が飛来地域 の降水に影響を与えていることがわかる。
また、3月には、福岡、萩、鳥取を除く地域で、pHの値が大きく上 昇している。これは、3月に日本列島の広範囲にわたって、黄砂が 飛来したことと一致する。
次に、pHの低下から上昇に転じる時期に注目すると、その時期 が、西から東に向かって遅くなっているように見える。このp且の 上昇は、黄砂による影響だと考えられることから、黄砂の飛来が西 側の地域から東側の地域へと広がっていったためだと考えられる。
表5.1に新聞記事が伝えた黄砂の飛来日を、図5.5には2001年4
,月 10日にNASA/SeaStar衛星搭載のSeawiFS(Sea−viewing Wide Field−of−view Sensor)により観測された黄砂の画像を示した。
・47・
(A)6.5
6.0 5.5
玉
5.0 4,5 4.0
月.
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㌦口 ひ. .@ ・㍉ρ , ..一 口
7月 8月 9月 10月 11月 准2月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
+秋田 …ロ 柏崎 一ひ一富山
(B)6.5
6.0 5。5
玉
5.0 4.5 4,0
年平均値 4.96 4.77 4.79
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7月 8月 9月 10月 科月 12月 唾月 2月 3月 4月 5月 6月
+石川 …・ 福井 一+一鳥取
(C)6万
6.0 5.5 玉 5.0 4.5 4.0
年平均値 4.66 4.59 4.74
…一 一・
@ /\、/ /ゴ
◎・諮)4/ト踏一一.、/ロ甲
口φ 噸{r
7月 8月 9月 10月
年平均値
11月 惚月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
+米子 …α…萩 蒔一福岡
4.82 4.91 5.33
図5.4pHの経月変化(2000年7月〜2001年6月)及び年平均値
一48・
表5.1黄砂の観測臼及び観測地点
月 日 黄砂飛来日 観測気象台 情報ソース
1.月 2日 九州北部、中国地方日 福岡管区気象台 「スポニチ:2001.1.3」
本海沿岸、長崎、福岡、 「南日本新聞:2001.1.3」
鹿児島
3月 2日 九州地方・山口 福岡管区気象台 「毎日新聞:2001.3.7」
3月 4日 福岡、佐賀、宮崎、 福岡管区気象台 「南日本新聞:2001.3.7」
鹿児島 「産経新聞:2001.3.4」
3月 7目 青森、盛岡、秋田、山 青森地方気象台 「一毛日報:2001.3.8」
形、金沢、富山、甲府、 各気象台 「毎日新聞大阪夕刊 静岡、和歌山、京都、
゙良、神戸、大阪、岡 R、津山、福山、広島、
大阪管区気象台 汢ェ管区気象台
西部夕刊
F2001.3.7」
高松、松山、高知、福 「山陽新聞:2001.3.8」
岡、熊本、宮崎、鹿児 「京都新聞:2001.3.7」
島(九州・山口 特に 「南日本新聞二2001.3.7」
激しい)
3月24目 松山 松山地方気象台 「愛媛新聞:2001.325」
4月10日 札幌(18年ぶり) 札幌管区気象台 「毎日新聞北海道夕刊
稚内(9年ぶり) :2001.4.11」