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C1一イオン B 1.0006

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と表すことができる。

 次に、Na÷イオンとCrイオンの濃度を正しく補正できるかを調 べるため、⑤、⑥式を使って、NaCl水溶液中のNa+イオンとCr イオンの濃度を補正し、Cr/Na+濃度比を求めた。その結果を図6.3 に示す。Cr/Na+濃度比は、ほぼ10%の範囲内の値を示しているこ

とから、補正式によってほぼ正しく補正されたと考えられる。

 そこで、Cl一イオンの濃度は、乗数がほぼ1であるため補正せず、

Na+イオンの濃度のみを⑤式を用いて補正することにした。

 ただし、NaCl水溶液の濃度が、20μequiv L−1の時を基準とし たので、Na+イオンの濃度が20μequiv L『1以上の降水試料につい てのみ、補正を行った。

 今回は、Na+イオンとCrイオン以外は、影響を受けていないも のと考え補正を行ったが、NaCl水溶液では他のイオンも相互作用 によって影響を憎ている可能性が考えられる。また、降水中のイオ ンの濃度が高い場合についても、陽イオンなどでNa+イオンと同様 な現象が起きる可能性が考えられる。今後、すべてのイオンについ て、イオンクロマトで分析した降水中のイオンの濃度が、正しく評 価されているかどうか調べていく必要がある。

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 閥aCl濃度(μequiv L.1)

図6.3 補正値のCr/Na+濃度比

     ・158・

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第7章 研究成果の 境教育における活用

 酸性雨は、大気汚染問題として深刻な問題であるとともに、硫 黄酸化物や窒素酸化物などの汚染原因物質が、発生源から数千キ

ロも離れた地域に運ばれ、越境汚染をもたらすことから、その解 決には、国内の対策だけではなく、国際的な協力が不可欠な問題

になっている。そのため、環境教育の観点からも酸性雨の問題を 取り上げることが重要と考えられる。この場合、雨の酸性化とそ の影響だけではなく、国境を越えた汚染であり、地球規模の環境 問題であることを学習することが重要である。

 中国大陸からの越境汚染を考えさせる場合には、例え一国が大 気中に排出した汚染物質であっても、汚染物質は変質しながら発 生源から数千キロも離れた地域に長距離輸送され、酸性雨となっ て周辺の多くの国々の生態系や建造物、文化財に影響を与える可 能性があることを考えさせたい。これによって、酸性雨の問題は、

国内の対策だけではなく、国際協力がなければ解決しない問題で あることに気づかせたいと考えている。また、酸性雨の影響とそ の対策を取り上げる中で、私たちは生活の中で、何ができるかを 考えさせていきたいと考えている。

 このような酸性雨の学習を計画するにあたって、次に挙げる①

〜⑤の事項に配慮した。

 ①地域に目を向けた活動を行う。

 ②生徒の体験を重視する。

 ③生徒の思考の流れを重視する。

 ④地域環境から地球規模の環境へ目を広げる。

 ⑤自分の生活を振り返る。

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 以上のことに基づき、酸性雨の学習単元「自分たちのできる酸性 雨対策」の指導計画を作成した。

 表7.1に、「自分たちのできる酸性雨対策」の指導計画を示す。

 この単元の目標は、

  ① 酸性雨問題に関心をもち、自分のできる酸性雨対策につい    て意欲的に考えることができる。    (関心、意欲、態度)

  ② エネルギー資源の利用と酸性雨の関係について説明するこ    とができる。      (科学的思考力)

  ③ 簡易pH計を正しく使い、水溶液や雨のpH:の値を測定す    ることができる       (技能)

  ④ 酸性雨の原因と影響について理解できる。 (知識・理解)

  ⑤ 酸性雨は、地球規模の環境問題であり、国際的な協力が必     要であることが理解できる。       (知識・理解)

である。

 この単元の目標を達成するため、次のような学習の展開を考えた。

 酸性雨の学習では、どうしても酸性雨の定義やpHの意味を理解 することが必要になってくるが、生徒にとって理解するのは非常に 難しい内容である。

 そこで、実際にp且試験紙、パックテスト、簡易pH計等を使い、

身の回りにある水溶液のpHを測定し、水溶液のp且の値を知るこ とで、pH:というものを実感させるようにした。これによって、酸・

アルカリの強さとp且の関係についても、体験的に学習することが できる。この学習を通して、酸性雨のpHの値も推測することがで き、酸性雨の定義やpH:の意味についても理解しやすくなる。これ が、自分たちの地域の雨を測定してみようとする意欲の高まりにも つながると考えている。

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表 7。1

自分たちのできる酸性雨対策 対象学年 3年 配当時間 8時間

時間 指 導 項 目 学  習  内  容

1 ○酸性雨の定義

npHの意味

寢ネ易pH計の使い方 E校正の仕方

E測定の仕方

寳gの回りにある水溶液

『酸性雨って、どんな雨か?』

wpHって、何?』

ヲ水溶液(うすい塩酸、水酸化ナトリウム、蒸留水)の

@pHを測らせ、 pHの値が、「酸やアルカリの強さ」

@を表していることを実感させる。

w身の回りにある水溶液は、どのくらいのpHの値だ

?、。』

ヲ 身の回りにあるpHの値を測りたい水溶液を考え

@させる。

○いろいろな水溶液のpHの測定

實Jを集めるときの注意

『いろいろな水溶液のpHを測ろう。』

E自分の用意したいろいろな液体(ジュース、炭酸飲料

@水、石鹸水、レモンの果汁、酢など)のpHを測定す

@る。

ヲいろいろな水溶液のpHを測定させ、酸性雨のpH

@の値をイメージさせる。

w自分たちの地域でも、酸性雨が降っているの?』

E雨を集めるときの注意点

ヲ雨を集める容器(蒸留水で洗浄したもの)は、学校で

@用意する。

1 O地域に降る雨のpHの測定

寤、媛県内の降水のpH n日本の降水のpH

『自分たちの地域に降る雨のpHを測ろう。』・簡易pH計を使って、地域の雨のpHを測定する。

ヲ地域の環境の実態を実感させる。

w他の地域のpHは、どうだろう。』・愛媛県内に降る雨のpHと比較する。

m資料:学研キッズキャンパス スクールエコネット

@酸性雨調査 第4回酸性雨調査結果1996年度より]

E日本全国に降る雨のpHと比較する。

m資料:第3次酸性雨対策調査の結果より】

1 ○酸1生雨生成のメカニズム E原因物質と発生源 E酸性物質の取り込み

專坙{における酸1生雨の現状 E日本海側地域の降水

E中国大陸からの越境汚染

專激Aジアにおける酸1生雨の現状 E中国や韓国の酸翠雨

『なぜ、雨が酸性化されるの?』

E発電所、工場、火山→SO、 ・自動車→NO。

E酸性物質の生成と降水への取り込み

w日本では、どのような酸1生雨が降っているか?』・日本海側地域における地域差と季節差

E中国大陸からの影響(黄砂、酸性物質)

m資料:日本海側地域における降水の地域差と季節的変

@  動についての研究(修士論文)より]

w中国大陸では、どのような雨が降っているか?』・中国の工業化と大気汚染

4 ○酸性雨の影響と防止対策

寰ゥ分たちができる酸性雨対策

『酸性雨が降ると、どんな影響があるか?』・人体への影響 ・川や湖への影響

E森林への影響 ・建造物、文化財への影響

wどのような酸性雨の防止対策がとられているか?』・酸1亜聖対策調査 ・大気汚染対策

Eエネルギー対策 ・越境汚染対策

ヲグループで酸1生雨の影響や防止対策について調べ、

@発表させる。

ヲグループ発表を生かしながら、酸性雨の影響や酸性

@雨の防止対策についてまとめる。

一161・

 次に、自分の地域に降る雨を簡易pH:計で測ることで、地域の環 境の実態を体験的に知ることができ、他の地域の値に目が向けられ

る。これによって、日本の他の地域においても、雨の酸性化が進ん でいることを知り、雨が酸性化する原因を追求する意欲へとつなが るものと考えている。

 そこで、雨を酸性化する原因と日本海側地域における中国大陸か らの越境汚染を取り上げ、酸性雨の問題は地球規模の問題であるこ とに気づかせ、東アジアにおける大気汚染の問題を考えさせる。

 最後に、この学習のまとめとして、グループごとに酸性雨の影響 とその対策について調べ(インターネット等の利用)、発表させるこ とによって、自分たちが取り組んでいける酸性雨対策は何かを生徒 ひとり一人に考えさせる。

 この単元の取り扱いであるが、この単元は理科の発展的な学習内 容であることや、他教科(社会、家庭科、保健など)の学習との関 わりもあることから、総合的な学習の時間で取り扱うのが望ましい

と考えている。

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 (1)降水量、電気伝導度(EC)、 pHの関係

   P且と電気伝導度(EC)の関係から・降水中に溶存する種々   のイオン量がわからなくても、ローカルな発生による汚染や越   境汚染、黄砂の影響など、地域の降水の特徴をおおまかに捕ら   えることができる。また、降水量とpH、降水量とECの関係   をみていくことによっても、地域の降水の特徴を捕らえること   ができる。

   これらの調査は、すべて簡易pHメーターと簡易電導度計だ   けで行えるため、測定器具も比較的安価で、扱いも容易である。

   このようなことから、学校現場でも比較的簡単に取り組める   方法であると考えられる。

 (2)海岸からの距離と海塩の濃度・沈着量の関係

   海塩の濃度や沈着量は\海岸からの距離の増加とともに、指   数関数的に減少する。

   高層の大気の流れによって運ばれる海塩の量は、旧本海上で   発生し、浮遊するエアロゾルの供給量によって決まるので、海   岸線で地上風によって巻き上げられるローカルな発生の海門の   量の約1/5と少ない。そのため、海塩の影響は地上風による寄   与が大きい。

   地上風により運搬される野塩粒子の半減距離は、3㎞以下と   短いため、ほとんどの海塩が海岸付近に沈着する。そのため、

  海岸付近では年間を通して海塩の影響が強い。

   また、地上風の強まる時期が、冬の季節風の時期と一致して   いることから、海岸からの距離と海塩の量から求められた地上   風は、各季節の風を平均的に評価したものになっていると考え

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