5.2.1. 上部構造の概要と形状最適化条件
上部構造の平面形状を図
5.1
に示す。スパンはX
,Y
方向に50m
で上部構造は,外周 に配置される外周部材(縁梁),ラチスシェル内部の格子部材(直交する部材)とこれ に斜交する斜材の三種類の部材で構成される.部材断面は鋼管を想定し,接合部は剛接 合とする。外周の4
辺を自由境界とし,上部構造のみの解析では4
隅について,隅の1
個の節点でピン支持とし,その他の4
個の支持点は外周に直交方向にローラー支持,自 由境界に沿った方向にピン支持とする。図 5.1 上部構造の解析モデル
本章では上部構造の形状を,後述のように二種類の形状最適化問題
opt-DL
とopt-EQ
により決定する。形状はNURBS
曲面により表現する。曲面 S(u,v)は2
つの変数u,v( 0 ≤ u v , ≤ 1 )
の関数として式(5.1)
のように表される。ここでu
方向とv
方向の制御点の 個数をそれぞれn+1 , m+1
とする。式中N
i,k(u), M
j,l(v)
はNURBS
基底関数である。また,Pij={PXij
, P
Yij, P
Zij}
Tは制御点座標,w
ijは重み係数である。ここで,NURBS
曲面の次数k,l
は4
とし,w
ijはすべて1.0
とする。( ) ( ( ) ( ) )
( ) ( )
( )
, ,
0 0
, ,
0 0
,
n m
i k j l ij
i j
n m
i k j l ij
i j
N u M v w u v
N u M v w
= =
= =
= ∑∑
∑∑
P
ijS (5.1)
50m
50m
X
Y
pinnedroller
(a)平面図 (b)制御点位置 25m
10m 7.5m
5m 2.5m
104
形状最適化問題の設計変数は制御点の
Z
座標P
Zijとし,最適化問題は次式で表される。opt-DL
Minimize U
DL(5.2)
Subject to h
min≤ ≤ h h
max(5.3)
opt-EQ
Minimize U
DL,U
EQ(5.4)
Subject to h
min≤ ≤ h h
max(5.5)
ここで
U
DLは固定荷重に対するひずみエネルギ,UEQは水平荷重に対するひずみエネル ギを表す。h
は曲面 S の最高点を表し,h
min=0m
,h
max=10m
とした。固定荷重は表面積あたり
0.8kN/m
2,水平荷重はX
方向に0.8kN/m
2とする。最適化手法にはopt-DL
では遺伝的アルゴリズム(GA),opt-EQ では多目的最適化手法の一つである
SPEA2
13)を採用する。
GA
,SPEA2
に用いる解析パラメータは表5.1
に示す。なお,形状最適化では目的関数の勾配を用いる事や,後述の部材断面の同時最適化も考えられるが,ここでは最適 化により決定した形状の地震応答と地震荷重の議論を主眼に置くため考慮しない。
表 5.1 形状最適化の諸条件
5.2.2. 形状最適化結果
図
5.2
にopt-DL
の最適化におけるひずみエネルギU
DLの推移を示す。U
DLは大きく減GA
母集団個体数 200 世代数T 300 突然変異確率 0.05 交叉確率 0.6
選択方法 ランキング戦略 交叉方法 一様交叉 コード表現 Grayコード 各変数のbit長 10bit
SPEA2
母集団個体数 200 世代数 3000 アーカイブ数 200 交叉確率 0.8
選択方法 トーナメント 突然変異率 0.1 コード表現 Grayコード 各変数のbit長 10bit
105
少して収束している。固定荷重を表面積あたり
0.8kN/m
2 としたが,形状の変化に伴っ て荷重条件は変化させていない。そこで,200step 時点の形状から表面積を再計算し,最適化を再度実行した。その結果,既往の研究14)でも確認されているように外周部付近 の節点位置が高い形状が得られた。
また,SPEA2で得られた
opt-EQ
のパレート解を図5.3
に示す。UDLが小さくなるほ ど,外周部の節点が高く探索される傾向があり,U
EQが小さいほど全体的にライズが低 くなる傾向が確認できる。opt-DL
の結果とopt-EQ
の形状A
の結果は少し異なる。この 違いは,opt-EQでは解析を3000
世代で打ち切ったが,固定荷重に対するひずみエネル ギの最小形状が求められていないためと考えられる。 図5.3
の形状C
は固定荷重,水 平荷重に対しても比較的良好な性能を有していることから,本章では,形状C
を採用 し,次節以降の検討に利用する。この章では水平荷重と固定荷重を考慮しているが,第4
章では初期形状に対する地震荷重を用いた形状最適化が実施している。第4
章と本章 で得られた形状C
は外周部の節点が低く探索される点で共通している。以後,opt-DLで得られた形状を
model-DL,opt-EQ
で得られた形状C
をmodel-EQ
と 呼ぶ。図 5.2 最適化問題Opt-DLの結果 0
50 100 150
0 100 200 300 400 500
(a)目的関数の推移 UDL[kNm]
step
(b) 得られた形状 X
Z Y
106
図 5.3 最適化問題Opt-EQの結果
5.2.3. 下部構造の設定
下部構造は地震動に対しブレースのみで抵抗するように設定する。下部構造は図
5.4
に示すように8
対のブレースで構成し,ブレースは座屈拘束ブレース15)を想定する。座 屈拘束ブレースの各部の寸法を図5.5
に示す。ブレースは塑性化部と,弾性部,接合部 から構成される。それぞれ長さをl
p, l
e, l
jとし,断面積をA
p, A
e, A
jとする。またブレー スの全長をl
brとする。座屈拘束ブレースは,塑性化部の断面積A
pを有する1
本のトラ ス要素としてモデル化する。等価なヤング係数E
brは次式より計算する。2 2
br
j e
p
j e
E E
λ λ λ
α α
=
+ +
(5.6)
ここで,ブレースの全長に対する接合部の長さを接合部長さ比
λ
j,
弾性部の長さの比を 弾性部長さ比λ
e,塑性化部の長さの比をλ
pとする。同様に,塑性部の断面積に対する接 合部の断面積比をα
j 弾性部の断面積比をα
eとする。, ,
,
j j br e e br p p br
j j p e e p
λ l l λ l l λ l l
α A A α A A
= = =
= =
(5.7)
なお,ブレース各部の寸法は大家らの研究15)を参照して,次の値を用いる。塑性化部の 長さはブレース距離の
4
割とする。0.1, 0.2, 0.4 6.0, 1.7
j e p
j e
λ λ λ
α α
= = =
= =
0 25 50 75 100
0 25 50 75 100
UEQ[kNm]
UDL[kNm]
pareto solution
A B
C D E
A
B
C D E
A B
C D E
A
B
C D E