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正規化細長比を用いた耐力と目的関数の評価

58 3.4.4.座屈性状

3.5. 正規化細長比を用いた耐力と目的関数の評価

二つの解析例を通して1)

Opt1

で得られる形状は比較的, ( ) elpl cr imp

λ

は高いものの,第

3

章で検討した目的関数の中で最大の形状ではなかった。

2)

初期降伏後に耐力上昇が起 き最大耐力に達するため

λ

y(FEM)が高い形状ほど高い耐力 ( )

elpl cr imp

λ

を有する傾向があること が分かった。そこで,ここでは正規化細長比を用いて分析を加える。

3.12(a)

に初期降伏荷重の推定精度を示す。

Λ

e(m)が大きくなるほど,幾何非線形性の

影響を受け,λy(FEM)

yは低下する傾向がわかる。Λe(m)

0.7

では

λ

y(FEM)

y

1.0

前後にな

る一方で

Λ

e(m)

1.3

のとき

λ

y(FEM)

/ λ

y

0.6

前後の値となる。このため,

Opt2

の目的関数

を用いる場合は

Λ

e(m)の値に制約を付けることが望ましい。

3.12(b)

に示す耐力 ( ) elpl cr imp

λ の推定精度に注目すると, ( )

elpl elpl

cr imp est cr

λ λ

0.95~1.6

までば

らつくことがわかる。これは

α

0

0.5

と仮定したことや,塑性化後の耐力上昇の影響が 原因として考えられる。また,Λe(m)( )

elpl elpl

cr imp est cr

λ λ には強い相関は見られない。このば らつきが,

Opt1

が最も座屈耐力が高い形状にならなかった原因として考えられる。

( )

elpl elpl

cr imp est cr

λ λ の平均値は

1.26

となりおおむね全ての解析ケースで安全側に耐力を推定 できることが確認できる。このため

Opt1

で用いた耐力の推定値最大化は

Λ

e(m)に左右さ れず比較的良好な座屈耐力を有する形状を探索する結果となったと言える。

自由曲面ラチスシェルの耐力を特定部材の圧縮強度として推定する方法の適用可能 性を第

3

章で生成した全ての自由曲面ラチスシェルに対して検討する。図

3.13

Opt1~Opt4

に加えて初期形状の初期不整を考慮した座屈耐力をプロットする。横軸の

Λ

e(m)

α

0

=0.5

と仮定して計算した。なお,Λe(m)の値は表

3.3

,表

3.6

に示す。同図より,

おおむね全てのケースで修正

Dunkerley

式により安全側の耐力評価が可能であることが わかる。修正

Dunkerley

式を用いた自由曲面ラチスシェル構造の中でもこれまで検討さ れていなかった線形座屈荷重最大形状も形状初期不整を考慮した耐力評価が可能であ ることがわかる。

61

図 3.12 初期降伏荷重と座屈耐力の推定精度

図 3.13 特定部材の軸力を用いた耐力評価

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5

0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5

(a)初期降伏荷重の精度

(b)

耐力の推定精度

H10L60 H05L60 H10L90 H05L90 例題2

( )/

elpl elpl

cr imp est cr

λ λ

( )/

y FEM y

λ λ

Λe(m)

Λe(m)

average

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5

1/ Λ

 e2

H10L60 H05L60 H10L90 H05L90 例題2 修正Dunkerley

AIJ規準式 Ncr/Ny

62 3.6. まとめ

3

章では,目的関数をパラメータに複数の自由曲面ラチスシェルを生成し,初期不 整を考慮した座屈解析を行った。以下に得られた知見を示す。

1.

得られた解形状はそれぞれ,形状最適化時に考慮した目的関数の評価値では他の形 状に比べて最良の解であった。また,ひずみエネルギ,初期降伏荷重係数,線形座 屈荷重係数,推定弾塑性耐力はそれぞれトレード・オフの関係にある。曲げひずみ エネルギに注目すると,ひずみエネルギ最小化は曲げモーメントの発生が抑制され る一方で,座屈耐力の推定値最大化,線形座屈荷重最大化,初期降伏荷重最大化で は曲げひずみエネルギが増加する場合がある。

2.

初期不整を考慮した座屈耐力の比較より,修正

Dunkerley

式を用いた座屈耐力推定

値最大化

(Opt1)

は推定精度のばらつきに起因して全てのケースで最も高い耐力を有

するものではないことがわかった。しかし,全てのケースで比較的高い座屈耐力を 有することが確認でき有用であると考えられる。

3.

構造物は初期降伏後,応力再分配によりわずかながら耐力上昇が発生し最大耐力に 至る。このため初期降伏荷重の最大化

(Opt2)

が高い座屈耐力を有する形状の探索に 有効であることを確認した。しかし正規化細長比が大きくなると,幾何非線形性の 影響により線形応力から初期降伏荷重を推定することが難しくなる。このため提案 した初期降伏荷重最大化は正規化細長比に制約を付加することや,補正を行う必要 がある。また,正規化細長比が大きい範囲では線形座屈荷重最大化

(Opt4)

が有効で あることを確認した。

4.

3

章で対象とした大域的には正の

2

重曲率を持つ自由曲面ラチスシェルの弾性 座屈荷重低減係数

α

0

0.4~0.7

となり,球殻など正のガウス曲率の幾何曲面ラチス シェルの

α

0と同程度の値となる。

5.

3

章で対象とした全ての自由曲面ラチスシェルは幾何曲面のラチスシェルと同 様に正規化細長比によりその耐力が評価できる。正規化細長比の大きさは形状最適 化の前後で変化するため,現時点では座屈耐力推定値の最大化,初期降伏荷重最大 化など複数の最適化を行った後,その形状の正規化細長比をもって座屈耐力を評価 することがより高い耐力を有する形状の探索に有用であると考えられる。

3

章で扱った初期形状はひずみエネルギに対する曲げひずみエネルギの比

U

b

/U

1%~15%

程度の曲げモーメントの発生量が比較的小さい形状であった。しかし,意匠性,

63

施工性など非力学的な要求を考慮した多目的最適化形状 15,16)は曲げモーメントがこれ よりもさらに大きく発生する場合も考えられる。また,網目形状や荷重条件によっては 幾何非線形性が強い形態も考えられる。これらについては今後の課題としたい。

本章で提案した初期降伏荷重最大化は初期降伏後の挙動は考慮していない。このため,

初期降伏後の靭性を確保し,耐力上昇幅を大きくすることができれば,更に高い耐力を 有する形態が探索可能である。また,曲面の表現方法として

NURBS

によって曲面形状 を制御したが,座屈モードや固定荷重下の変位モードを逆向きに与えるなど,節点毎に 形状修正 17)を行うことで座屈耐力をさらに向上させることも可能である。これについ ても今後の課題とする。

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