後期2節
-Pokal
3試合 -リーグ終了
後1週間Tr
後期 プレシーズン
-6週間 -1/5始動
-1回の室内
サッカートーナメント(DFB公式)
-3回のTM
後期
-12週間 -2/15~
5/10
-9節の
後期 リーグ戦ポストシーズン
-リーグ戦後 2週間
FIFA
国際A
マッチデー6
回【9,10,11,3,4,5月】Pokal
準々決勝~決勝【12,4,5月】FIFA
女子W
杯【6/6~7/5】
UEFA
女子チャンピオンズリーグ【(8),10,11,3,4,5月】
図4-1 年間スケジュール(MSV Duisburg 女子1軍及びFIFAとUEFAのスケジュール)
表2-1 2014-15シーズン 女子ブンデスリーガ結果【年間】
* 下線:UEFA CL出場権獲得 * 下線:2部へ降格
順位 チーム 得失点 勝ち点
1 FCBayernMünchen 56:7(49) 56 2 VfLWolfsburg 67:4(63) 55 3 1.FFCFrankfurt 74:19(55) 53 4 1.FFCTurbinePotsdam 52:24(28) 48
5 SGSEssen 32:36(-4) 28
6 TSG1899Hoffenheim 29:40(-11) 26 7 SCFreiburg 34:62(-28) 23 8 FFUSVJena 25:40(-15) 20 9 Bayer04Leverkusen 23:42(-19) 20
10 SCSand 27:43(-16) 19
11 MSVDuisburg 18:49(-31) 17 12 HerforderSV 18:89(-71) 5
属選手の多くをドイツ代表選手をはじめ、強豪国の代表選手を有していることから も、この結果を裏付けることができるのではないだろうか。(表2- 1)
Duisburgとしては、ブンデスリーガ1部残留が大事であったため、そこから逆 算して考えると、下位争いをしているチームとの直接対決(第20・21節)で、引き 分け(2節合計、勝ち点2)ではなく、勝ち点6(2節合計)を獲得することが必 要であった。後期後半戦(最後の6試合)は、2勝3分1敗の勝ち点9であった。
これは、年間勝ち点の1/ 2に相当する。上位チームから勝ち点を奪い始めたこと により、順位が入れ替わり、降格圏から脱するチャンスがあっただけに、悔やまれ る点である。
表2-2 2014-15シーズン 女子ブンデスリーガ結果【前・後期別】
順位 前期 勝ち点 後期 勝ち点
1 VfLWolfsburg 29 FCBayernMünchen 29 2 FCBayernMünchen 27 1.FFCFrankfurt 28 3 1.FFCFrankfurt 25 VfLWolfsburg 26 4 1.FFCTurbinePotsdam 25 1.FFCTurbinePotsdam 23
5 SGSEssen 16 SCSand 12
6 SCFreiburg 15 TSG1899Hoffenheim 12 7 TSG1899Hoffenheim 14 SGSEssen 12 8 Bayer04Leverkusen 12 FFUSVJena 12
9 FFUSVJena 8 MSVDuisburg 11
10 SCSand 7 Bayer04Leverkusen 8 11 MSVDuisburg 6 SCFreiburg 8 12 HerforderSV 2 HerforderSV 3
図4-2 Allianz Frauen-Bundesliga 2014-15シーズンの順位動向(全チーム)
平成 26 年度・短期派遣(サッカー)
さらに言えば、やはり、前期、後期前半の戦いにおいて、中堅クラスのチームか らの勝ち点獲得(積み上げ)が必要であったと言えるだろう。先制していて追いつ かれ、勝ち点3を逃すというゲームが何試合かあった。
イ)週間スケジュール
リーグ戦の戦いや時期により、いくつかのパターンに分けられるが、ここでは主 なサイクルを記しておく。リーグ戦期間中であっても、フィジカルコンディション 向上を目的としたトレーニング(主に負荷をかけたスピードトレーニングやアジリ ティトレーニング)は継続的に実施された。
上記を主なサイクルとするが、プレシーズン期特有の内容を記しておく。
前期プレシーズンでは、始動直後の7月11日に有酸素能力(乳酸耐性)を測定した。
始動後から3週間、フィジカルを中心としたメニューを中心に実施。ここでのトレー ニングでは、ローパワーからミドルパワー、ハイパワーへと移行したが、ジャンプ やスラロームランニングのようなハイパワーな動きを伴う種目を8つほど設定して 追い込むトレーニングも実施された(インターバルサーキットトレーニング)。1 週あたりのスピードも設定されており、かなり高強度のトレーニングであった。始 動後、4週目は5日間ほどOFFとなり、身体を休息させた。フィジカルを中心と した期間であっても、必ずボールトレーニングを実施。テクニックトレーニングか ら個人戦術・グループ戦術に関するものが多く見られた。8月に入るとトレーニン グマッチを含め、よりチーム戦術に関わるトレーニングが増えていった。また、始 動後、各自がトレーニング前または後に行う筋力メニューの紹介がなされ、選手個 人で実施していた。後期から、専門のストレングスコーチのもと、週1回の頻度(後 期リーグ戦開始後はチーム・試合状況に応じて、この限りではない)で取り入れて いた。
ウィンターブレーク明け、1月初めの1~2週間は、走りのトレーニングを毎日 実施。ローパワーからミドルパワー、ハイパワー(間欠的無酸素運動)へと段階的 に実施。前期プレシーズンに比べ、パワー系高負荷なメニューはなくなり、より走 力に特化したメニュー(心肺機能向上)が行われた。
また、前後期ともに、火曜日もトレーニングが行われることも多くあった。
主に準備期
月 スポーツジム
にて 筋力系 トレーニング
火
(OFF)
水 スピード
高負荷
木 テクニック グループ戦術
金 調整
(軽負荷)
土
OFF
日 ゲーム
又は
OFF
リーグ戦中は、ゲームビデオを用いた分析が行われ、週1~2回の頻度で分析ミー ティングが実施された。主な内容は、前節の自チームの課題分析と次節対戦相手の 分析・それに伴う自チームの戦術コンセプトの確認であった。
⑤MSVDuisburgFrauen U13、U15、U17/2,U17(MSVDuisburg女子ユースカテ ゴリー)
①および②項で、ユースカテゴリーについても、その多くを記述しているのでそ ちらを参照していただきたい。
リーグ戦が強化・育成の柱にあり、活動はリーグ戦を中心に回っている。
それ以外の強化、という点では、U17カテゴリーが8月末に、主催トーナメント を開いている。ドイツ国内からプロクラブの下部チーム(VfLWolfsburgやSC Freiburg)、隣国オランダの強豪チームの下部チーム、FCTwenteなどが参加。リー グ戦開幕前の強化と交流の場になっていた。これ以外にも、リーグ戦のない週末に、
各クラブが開くプライベートトーナメントにU17、U15、U13ともに参加。海外(ス ペイン)の国際トーナメントに参加することもある。
ユースカテゴリーのPokalについては、(地域)協会単位でチャンピオンを決め る大会である。U13女子(地域)協会単位のPokalもあり、ハーフコートで7人制、
1人審判制、5mゴールを使用、の形で行われていた。また、地区を細分化した単 位でのPokalもある。
ドイツ国内では、当然のことのように、Pokalよりリーグ戦のプライオリティが 断然、高い。その理由は、「リーグ戦は結果(敗戦・勝利)から学ぶことができ、
主に前期
月 アジリティ テクニック
火
OFF
水 スピード
高負荷
木 チーム戦術
金 調整
(軽負荷)
土
OFF
又は 軽負荷Tr又は 移動
日 ゲーム
主に後期
月 テクニック
火
OFF
水 テクニック グループ戦術
木 チーム戦術
*ポジション別
金 調整
(軽負荷)
又は
OFF
土
OFF
又は 軽負荷Tr又は 移動
日 ゲーム
平成 26 年度・短期派遣(サッカー)
トレーニングで改善し、再度チャレンジができる環境であるから。学び続けること ができる。Pokalは一度負けたら終わり。次にチャレンジする場もそれによって学 ぶ機会もない。」とのことであった。また、リーグ戦運営の負担については、「ホー ム&アウェイで行われているため、互いにホームゲームで相手チームに対して(運 営について)準備する。お互い、してもらったことを相手に返すだけ。」とのことで、
出来る範囲で互いにまかなっているようである。
普及については、U13カテゴリーが主に担っているようだ。秋と春に、地域の選 手を対象にした、サッカー教室を企画していた。学校が学期内休業中の期間を利用 して実施。クラブTシャツを身にまとった少女たちが、3日間、サッカーにふれあ い楽しんでいた。中には、そこから、U13チームに入団する選手もいるようであった。
⑥TotalSoccerMethod研修会(MSVDuisburg女子育成カテゴリーのコーチ研修)
ア)概要
TotalSoccerMethod(以下TSM)の「テクニックコーチコースA」というコー スであった。MSVDuisburg女子育成カテゴリーの2軍以下U13までのスタッフが 参加した。
イ)内容
1日目)講義:コーチングの概要/実技:IMove
2日目)講義:パス&コントロール・ボール支配・1vs1の状況/実技:YMove 3日目)講義:トレーニング効果/実技:UMovs・PMove
4日目)講義:心理学/実技:1vs1(各Moveを使用しやすいオーガナイズ)
講義の中で興味深い内容があった。コーチングにおいて「5W(誰が・何を・ど こで・いつ・何故)」が必要であるという内容で、「何故?(Warum)」が非常に重 要であると強調していた点である。まさに、日本のコーチ研修で学んできた内容で あり、コーチングで必要なことの多くは共通している、と感じた。その他にも、「プ レーさせる(machenlassen)」など、多くの共通項があった。
もう一つ興味深い内容を記しておく。4日目に行われた講義(テーマ:心理学)
で紹介された中に、「70-20-10ルール」というものがあった。人はどのように学 ぶかという中で、10%は知識(本などであろうか)から、20%は顕示(講義などで あろうか)から、そして70%は経験から学ぶというものであった。コーチが選手に 接する・働きかけるときに覚えておかなければならないものであると感じた。
⑦ドイツサッカー協会 女子エリートシューレ 指導者研修会 ア)概要
エリートシューレは、DEBが行うタレント育成施策のひとつである。男女とも に行われている。DFB全体では、40程度あるようだが、女子では現在12のエリー トシューレがあり、将来的には、15 ヶ所まで増やしたいそうである。DFBのエリー トシューレの選手は、基本的には親元を離れて生活しながら、学校に通い、トレー
ニングを行う。午前中にトレーニングを行う日もあるため、学校のカリキュラムと の調整・補充もおこなっている。各シューレ間で違いが多い。
イ)内容
ⅰ)導入とディスカッション
・女子エリートシューレの概要
・講習内容
・エリートシューレのスケジューリング
ⅱ)実技①
テーマは、「個に対して、午後のトレーニングにおける追加トレーニング、コー ディネーションと怪我の予防」であった。ドイツにはOlympiaStützpunktもあり、
その活動と連携しているようである。実技デモンストレーションしたコーチと一人 の選手は、OlympiaStützpunktのコーチと選手であった。
ⅲ)ワークショップ
「エリートの現在地のさらなる発展」をテーマに、3つのエリートシューレから、
活動内容・現状などの発表が行われた。
ⅳ)講演
元テニスプレーヤーだった、DFBメンタルトレーナーの講演であった。テーマは、
直訳すると「キャラクタータイプにおける発展と養成」となるが、スポーツにおけ るより良い・より強いキャラクターについての内容であった。対象は12 ~ 19歳の キャラクター。内容は主に下記のとおりである。
・「前」または「後」コンピューター世代
・1万時間の法則
・目標設定の技術
・コーチの関わり
→勝者のメンタリティ:4C「Control」「Confidence」「Challenge」「Commitment」
→毎日新しい方法:4I「Identifikation」「Inspiration」「Intellectual」「Individuell」
・男女の違い
・パーソナリティを導くこと
→例えば、「常に強さを持つ」「社会的思考能力」の発展・開発
・目標取り決め協定
→2006W杯(男子)を例に、ドイツ代表選手全員がこの書類にサイン
内容は、チームディシプリン・タクティックの遂行、若い選手を批評しない、等
Ⅴ)実技②
(地域)協会専任コーチが、Stützpunktの選手にトレーニングデモンストレーショ ンを実施。
Ⅵ)教育上の世話
DFBの学校コーディネーターによる、主に代表活動における学業への働きかけ についてのテーマであった。主な内容は下記のとおり。
・学校か、サッカーか、選択するべきではない。