非ABCユーザー
告? %合計 一
告? % 製造業 35 19.8 142 80.2 177 100
非製造業 14 ユ8.9 60 81.1 74 ユ00
合計 49 19.5 202 80.5 251 100
規模
売上223百万ポンド以上 16 13ユ 106 86.9 122 100 売上233百万ポンド未満 33 25.6 96 74.4 129 100 合計 49 19.5 202 80.5 251 100
出所:Innes and Mitchell[1995,p.142」
図表1・7ABCの適用に関する業種別詳細
ABC
?[ザー
棄却 検討中 まだ検討
オていない
合計
酒造など 2(2) 一 1 1 4
ビジネス・サービス 2(一) 1 一 1 4
化学薬品 2(1) 2 8 2 14
建設 2(一) 2 4 13 21
複合事業 1(一) 一 3 6 10
電力 3(2) 1 6 3 13
電気設備 4(1) 1 1 12 18
農林、鉱業 一 1 一 一 1
食品 3(2) 1 7 7 18
ヘルス・ケア 3(1) 2 7 2 エ4
素材、金属 8(3) 13 13 11 45
レジャー、宿泊など 一 1 皿 2 3
放送 1(一) 2 2 9 14
石油、ガス 2(一) 1 1 5 9
印刷、包装 1(1) 1 4 5 11
小売 4(2) 1 6 10 21
電気通信 2(一) 1 一 } 3
繊維 2(一) 『 1 1 4
たばこ 1(1) 『 一 一 1
輸送 3(3) 2 3 11 19
水道 3(一) 『 1 } 4
49(19) 33 68 101 251
筆者注=Oは部分的にABCを導入している企業。
原文では産業分類はアルファベット順となっている。
出所:Innes and Mitchell[1995,p.153]
(2)90年代前半のアメリカの状況一Martinson[1994】
IMA(米国管理会計士協会)の支援のもと行われたOld Dominion大学のMartinson教 授らによる実態調査は、サービス組織の原価計算に焦点をあてたものであった。その成果 物であるMartinson[1994]は「サービス業」の「原価計算:」の実態調査報告であり71、それ は彼独自のサービス業の定義により始まっている。
彼はサービスを、多数の研究者の記述をもとに、「サービスとは本質的に物質以外で、か つ販売時点に無形の便益という形で顧客に満足を与えるアウトプットを生み出す経済活動 である(p.10.)」と定義する。そして、「サービスは、サポートする設備で生み出される便 益や、有形の財貨を引き立てる便益など、様々な便益をひとまとめにしたもの(p.10.)」と 付け加えている。こうしたサービス観および米国商務省の標準産業分類コード、フォーブ ス誌およびフォーチュン誌の産業分類を参考に、Martinson[1994]は、会計/法律、建設/エ ンジニアリング、電気通信、銀行/財務、ヘルスケア、ソフトウェア/システム・インテグレ ーション、マーケティング、公務、研究開発、輸送の10業種をその調査対象としたという
(pp.11 12.).
彼も述べているように、サンプル数が少ないため、この調査がアメリカにおけるサービ
71彼はこの2っの言葉を調査のキーワードとしている(p.1.)。
ス組織の原価計算の真の実態を表わしているかどうかは微妙である(p.8.)。しかしその現 状を推測する上で、この調査は有用な情報を与えるであろうと考えられる。ゆえに、当時 のアメリカにおけるサービス組織の原価計算の状況の参考として、ここで少し詳しく取り
上げたい。
●サンプル企業についての解説72
Martinson教授の調査の対象とされた企業は総数51社である。そして下図の通り、各業 種に対してサンプル企業数は4社から6社と平均的にアンケートを行っている。また企業 規模についても、年間収益100万ドルから10億ドル超まで幅広くサンプルをとっている。
なお、Martinson[1994,pp.6,102・103.]によると、彼は当初、サンプル企業を60社集めよ うとしていた。総数104社にアンケートを送付し、その中で書面や電話によるアンケート により積極的な反応を示した60社をピックアップしたが、9一分のアンケートは不完全で あったためにサンプル総数を51社としたという。
図表1・8 各業種のサンプル数
業種 企業数
会計/法律
建設/エンジニアリング 電気通信
銀行/財務 ヘルスケア
ソフトウェア/システム・インテグレーション マーケティング
公務 研究開発 輸送
総数
6 5 5 5 6 5 4 5 5 5 51 出所:Martinson[1994,p.14.]
図表1−9 企業規模別サンプル数
年間収益(単位 $100万) 企業数
72ここでの記述は、Martinson[1994,pp.9・16.]を筆者が要約・整理したものである。
1−10
11−25 26−100 101−250 251−500 501−1,000 1,000超
8 8 8 7 8 3 9
総数 51
出所:Martinson[1994,p.15.]
●原価計算システムの種類73
Martinson【1994]によると、下図の通り、サービス組織が用いている原価計算システムの 種類は、製造業でいう個別受注生産に対応した個別原価計算が39%と最も多い。最終的原 価計算対象を責任センターとする原価計算は、全体の31%が導入している。また、継続的 に大量生産を行う製造業企業で採用されている総合原価計算は、サービス組織では4%と かなり低い数字を示している。
図表1・10 原価計算システム
タイプ 。/o
個別原価計算
責任会計(部門別原価計算)
ABC
総合原価計算 その他
390/0 310/0 140/0 40/0
120/o looo/,
出所:Martinson[1994,p.18.]
その一方でABCは、全体の14%である。これは、「14%しか占めていない」と解すべき か「14%も占めている」と解すべきか戸惑う点であるが、上述のイギリスの調査と比較し てみると大体同じ割合を示していることだけは指摘できる。
また、財務会計システムとの関係であるが、2つのシステムが完全に統合している企業は
73ここでの記述は、Martinson[1994,pp.17−23.]を筆者が要約・整理したものである。
57%、完全に独立している企業が12%、独立はしているものの互いに結びついている状態 の企業が31%であった。これは、製造業において、ほとんどの企業の財務会計システムと 原価計算システムが完全に統合されていることと対照的であるとMartinson[1994,p.22.】
は述べている。
加えて、原価計算システムと財務会計システムが完全に統合していない企業の中で、財 務会計との期間の対応の状態は、月次で調整している企業が68%と高い数値を示している。
財務会計と全く期間の調整を行っていない企業は14%であるという。
●原価配賦とプロダクト原価計算74
帳簿上の費目として認識された費用は、何らかの配賦計算プロセスを経由して最終的原 価計算対象へと割り当てられ、プロダクト原価や期間原価が集計される。
下図の通り、アメリカのサービス組織において、中間的原価計算対象(第1次集計)の 単位は、責任センターであるコスト・センターが51%と最も多い。また、原価発生の形態 や職能と関連したコスト・プールを中間的原価計算対象としている企業は18%、アクティ ビティを中間的原価計算対象としている企業は5%である。発生原価を営業費用として一 括認識している企業が26%もある。
図表1・11 中間的原価計算対象(第1次集計)の単位
集計単位 。/o
コスト・センター コスト・プール
アクティビティ・センター なし
510/0 180/0 50/0
260/o looo/,
出所:Martinson[1994,p.28.]
また、なんらかの原価計算対象へ配賦を行うために原価をプールしていると答えた企業 は63%であり、それら企業の中間的原価計算対象の単位は、職能が28%、部門が19%、
アクティビティが16%、前の3っの組み合わせが37%であるという(pp.29・30.)。
Martinson[1994]によると、下図の通り、直接費・間接費の分類を行っている企業は67%
であり、最終アウトプットの原価を測定している企業は39%とかなり少ない。それら39%
の企業のうち、最終的原価計算対象の原価を構成する費用は直接費のみと回答した企業は
74ここでの記述は、Martinson[1994,pp.25・35」を筆者が要約・整理したものである。
31%、直接費と間接費の両方をプロダクトの原価に含める企業は69%である。
図表1−12 アウトプットの原価測定
質問 。/o
直接費・間接費の分類をしている アウトプットへ原価を配賦している
アウトプットの原価測定について:
直接費のみを用いる 直接費と間接費の両方を用いる
670/0 390/o
310/0 690/o
出所:Martinson[1994,p.35.]
●ABCについて75
Martinson[1994,p.68]は、 ABCは製造業でまず導入された新しい原価計算システムであ るとまず述べている。そして彼は、ABCは部門を経由して原価を集計する従来の伝統的原 価計算システムとは異なるという。
ABCは、この調査が行われた時点では、63%の企業が認知していた。そして今後の導入 に対して興味を持つ企業は28%も占めている。なお、Martinson[1994]は、 ABCについて
「製造業と同様にサービス業にも適用可能である(p.69.)」と私見を述べている。
図表1−13ABCへの反応
ABCについて 。/o
知らない 導入しない 多分導入する 導入する 既に導入している
370/0
21 CY,
14%
140/0 140/o
100%
出所:Martinson[1994,p.68.]
75ここでの記述は、Martinson[1994,pp.68−69」を筆者が要約・整理したものである。
4・4 整理・体系化が進んだ90年代後半
Rotch[1990]とCooper and Kaplan【1991]を中心とした、サービス組織のABCについて の提案・正当化。Anton[1992]とBrimson and Antos[1994}を中心とした、サービス組織に 対するABCを基礎にした活動管理の提案・正当化。これらの研究に導かれるかのような、
業種別研究もしくは事例研究の蓄積。90年代前半のサービス組織の原価計算研究は、以上 の内容が主要トピソクスであり、サービス組織の原価計算研究の主戦場であった英米では、
90年代前半の終りには20%弱のサービス組織が既にABCを導入するような状況であった。
サービス組織に対するABCの普及とサービス原価計算研究の増大という歴史的な流れの 中で、90年代後半においても、業種別研究もしくは事例研究が蓄積される。特に、この時 期には、政府組織や医療機関へのABCの導入がさらに大きな注目を集めるようになる76。
なおこの時期に、わが国においてもサービス組織のABCやABMを取り上げた原価計算 論の専門書が増加している。また、1998年から1999年にかけて主要先進国の大企業を調 査対象とした原価計算の実態調査が日本会計研究学会の支援のもと行われているが、その 報告書の中ではサービス組織のABCおよびABMについて1章を設けて説明がなされてい
る。
こうした概要をもつ90年代後半に、サービス組織の原価計算研究は整理・体系化される に至る。この整理・体系化が典型的に現れているのが、ABCの提唱者であるCooper教授 とKaplan教授の文献における記述の変化、そしてサービス組織のABCおよびABMに特
化した吉川ら[1997]である。
4−4−1Cooper教授とK:aplan教授の文献に見る整理・体系化
前述のとおり、ABCの提唱者であるCooper教授とKaplan教授は、当初は2段階ABC モデルをそのままサービス組織に適用することは想定していなかった。その著書Cooper and Kaplan[1991]の中でサービス組織のための原価計算システムとして取り上げられたの は、収益性分析のためのABC的な原価計算システムであった。
しかし、多くの研究者、コンサルタント、実務家によって事例研究や業種別研究が蓄積 され、またRotch[1990]、 Antos[1992]、 Brimson and Antos[1994]などの研究が、サービ
ス組織にこそABCもしくはABMが有用となりそうであることを主張する中で、 Cooper 教授とKaplan教授の説明に変化が見られるようになる。これが明確に現れたのがKaplan
and Cooper[1998]である。
K:aplan and Cooper【1998]は、原価計算:システムにもとづいた原価および利益管理のある べき姿について記述している専門書で、ヨーロッパでも出版され、英語圏以外にも広く翻
76医療機関(病院)における原価計算および原価管理の歴史的展開については荒井[2001】
が、政府組織における原価計算および原価管理の歴史的展開については藤野[2003]が詳細に 取り扱っている。