• 検索結果がありません。

防災情報の収集と発信   1 町からの避難勧告等の発信

ドキュメント内 2 (ページ 134-157)

 (1)避難勧告等の判断指標 

      避難準備情報(洪水)の判断指標         

    

      避難準備情報とは、避難の準備、あるいは災害時要援護者が避難を開始す るために発表するものである(表1)。 

      町地域防災計画では、避難準備情報の発信を判断する指標として、千種川 上三河、佐用川佐用、志文川三日月のはん濫注意水位等を、はん濫注意水位 の設定がない千種川久崎、佐用川円光寺では、はん濫注意相当水位(参考水 位)を用いている(表2)。

災害当日、河川水位計(量水標)のはん濫注意水位到達時間は、佐用川佐 用2.8m午後5時30分、千種川上三河2.1m午後8時50分及び志文 川三日月1.6m午後10時20分で、佐用川円光寺のはん濫注意相当水位 3.0m到達時間は午後4時30分であったが(表3)、町では、この時間に は避難準備情報を発信していない。

千種川久崎の水位計データは午後3時50分以降2.88mを示していた。

      8月9日午後7時45分に佐用川円光寺水位3.7m超過(避難判断相当水 位)による河川監視警報システムのサイレン吹鳴があり、町では、避難準備 情報として久崎地区に「1時間後には、はん濫危険相当水位に達する見込み であるため、今後の避難情報に注意してください」と防災行政無線による放 送を行った。 

また、佐用地区川原町の住民から家屋浸水の連絡を受け副本部長(副町長)

が防災行政無線による放送を指示し、午後8時56分と同59分に避難準備 情報として佐用地区川原町に対し避難を促す放送を行ったが、久崎地区、佐 用地区川原町以外の地域に対しては、避難準備情報を発信していない。 

    【主たる要因】 

      町では、過去最大の災害(平成16年9月の台風第21号災害)の経験を もとに対応しようとしており、住民への情報発信は、はん濫注意水位超過だ けではなく、気象などの状況が悪化することが明らかになった時点で発信す るものと考えていた。

午後4時30分、佐用川円光寺では、はん濫注意相当水位の3.0mを超 過したが、雨は小降りであり、空も明るくなっていたことから、住民への避 難準備情報の発信が必要ないと考え、情報の発信は行っていない。

検証の視点 避難準備情報(洪水)の判断指標  検証項目1 

午後5時30分には佐用川佐用ではん濫注意水位に到達したものの、その 後、降雨は小康状態となり一時河川水位が下がったことなどから、神戸海洋 気象台は大雨洪水警報を継続していたが、状況が悪化するとは考えず、この 段階では、町は避難準備情報の発信を行っていない。佐用地区において、避 難を促す放送を行ったのは、住民からの連絡を受けて直ちにであった。

また、平成16年9月の災害で最も早く浸水が始まった久崎地域の佐用川 円光寺地点及び千種川久崎地点の水位上昇に、最大の注意を払っており、佐 用川円光寺の水位は上昇を続けていたが、千種川久崎の水位計データは、午 後3時50分以降2.88m(はん濫注意相当水位以下)を示したまま水位 の上昇が見られなかった(後日、故障が判明したが、当日は故障に気づかな かった)。

      避難勧告(洪水)の判断指標          

   

避難勧告は、対象地域の住民等に対し避難を拘束するものではないが、住民 がその勧告を尊重することを期待して、避難のための立ち退きを勧め、又は 促すものである(表1)。

町地域防災計画では、避難勧告の発令を判断する指標として、千種川上三河、

佐用川佐用及び志文川三日月の避難判断水位、避難判断水位の設定がない千 種川久崎及び佐用川円光寺では参考水位を用いており(表2)、避難判断水位 に達した時、県は、その旨を町へ通知、町はこれを受けて、住民等へ防災行 政無線等で通知することになっている。

災害当日、河川水位計(量水標)の避難判断水位到達時間は、佐用川佐用 3.0m午後7時58分、千種川上三河2.5m午後9時38分及び志文川 三日月1.88m午後10時50分で、佐用川円光寺の避難判断相当水位3.

7mの到達時間は午後7時45分であったが(表4)、町ではこの時間には住 民への通知は行わず避難勧告も発令していない。

午後8時半頃より、各地区から被害を訴える電話が急増する中、佐用地区 新町の住民から山からの水で家屋が浸水しているとの連絡を受け、副本部長

(副町長)が、避難勧告発令の指示を行い、午後9時10分に防災行政無線 で佐用地区新町に避難勧告の放送を行った。 

さらに、地域からの被害の情報、河川監視警報システムで得た情報での佐用 川円光寺の河川水位が上昇を続けていることに加え、フェニックス防災シス テムの情報では佐用地域の雨量が継続して増加していたことから、本部長・

本部室部長・本部室副部長が協議し、午後9時20分に全町に避難勧告の放 送を行った。

避難判断水位到達と避難勧告発令の時間経過について今回の災害と平成1 6年9月29日の災害を比較した場合、今回は、避難判断水位到達から1時 間22分後に避難勧告を発令しており、平成16年9月29日旧佐用町では 検証の視点 避難勧告(洪水)の判断指標 

検証項目2 

1時間15分後、旧南光町では1時間20分後であり、旧上月町では避難勧 告は発令されていない。避難判断水位等到達から避難勧告発令までには平成 16年9月29日の佐用町における過去最大の災害と同様の時間を要してい る(表5)。

    【主たる要因】   

佐用地区新町においては、最初に避難勧告を発令したが、そのきっかけは、

近傍観測点の避難判断水位を超えたことではなく、その後の住民からの浸水 の連絡によるものであった。佐用町では、平成15年以降、避難判断水位を 超えた洪水が5回発生しており、うち3回は避難勧告を発令しておらず、被 害も発生してない。(表5)

避難判断水位超過後に浸水被害が発生した洪水は、平成15年以降では平 成16年台風第21号災害のみであった。この際にも、避難勧告を発令した タイミングは、避難判断水位超過の時点ではなく、現場からの状況連絡に基 づくものであった。こうした過去の経緯から、避難勧告発令の判断が、避難 判断水位の超過のみならず、現場からの報告を重視する傾向となっていたと 考えられる。

南光地域でも、千種川上三河の水位、三日月地域では志文川三日月の水位 は避難判断水位に到達していなかったが、地域からの被害の通報情報などか ら、全町に避難勧告の放送を行うこととなった。 

なお、町では、過去から避難準備情報と避難勧告を明確に区分しておらず、

午後8時56分と同59分に佐用地区川原町に対して行った避難を促す放送 と午後9時10分に佐用地区新町への避難勧告の放送内容に大きな違いはな い。 

      避難指示(洪水)の判断指標          

   

避難指示は、被害の危険が目前に切迫している場合等に発し、勧告よりも拘 束力が強く、住民等を避難のために立ち退かせるものである(表1)。 

町地域防災計画では、避難指示の発令を判断する指標となるような基準水位 は設定をしておらず、堤防の決壊、堤防等からの漏水、越水を確認したとき などを指標として避難指示を発令することとしている(表2)。 

今回の災害では、町では避難指示を発令していない。 

    【主たる要因】 

町地域防災計画では、避難指示発令の指標となる水位の基準等を定めてお らず、過去の災害においても避難指示を発令したことはなかった。 

今回の災害では、午後9時20分に全町に避難勧告を行ってほどなく、午 検証の視点 避難指示(洪水)の判断指標 

検証項目3 

後9時30分頃に役場玄関入口扉の破損により急激に浸水し間もなく停電し たため、2階を災害対策活動の場とした。混乱した状況の中で、地域の被害 状況の把握もままならず、避難勧告の避難指示への切替を検討できる状態で はなかった。 

 

      避難準備情報、避難勧告、避難指示(土砂災害)の判断指標          

   

町地域防災計画では、土砂災害に係る避難準備情報・避難勧告の発信の判 断は、県の土砂災害情報提供システムの情報を指標として行うこととしてい る。また、土砂災害に係る避難指示を発令するための現地情報による基準と して近隣で土砂災害が発生したとき、近隣で土砂移動現象、前兆現象(山鳴 り、流木の流出、斜面の亀裂等)が発見されたときを定めている(表6)。 

県と気象台では連携して土砂災害警戒情報を発表しており、8月9日午後 8時10分宍粟市と佐用町に土砂災害警戒情報が発表された。 

町では、ひょうご防災ネットのメール配信で土砂災害警戒情報を受信、本 部長指示により、午後8時29分全町を対象に「土砂災害警戒情報が発表さ れました。家の裏山の急なところは特に土砂災害に注意してください。危険 を感じたらすぐに安全なところに避難してください。」と、防災行政無線によ る放送を行った。この時点で避難勧告は発令していない。

    【主たる要因】 

土砂災害警戒情報は、町全域を対象に発表される。佐用町では町全域にわ たって土砂災害危険区域が多数指定されていることから、避難指示の発令が 必要となるような、特に危険性が高く避難を必要とする地区を、土砂災害警 戒情報だけで、直ちに特定することは難しい。

そこで、佐用町では全町に対して、土砂災害警戒情報の発表を周知すると ともに、住民に対し危険を感じた際には自主的に避難するよう呼びかけるこ ととなった。

 (2)避難勧告等の発令判断のための情報収集 

      防災情報機器等による情報収集          

         

町地域防災計画では、気象庁から提供される防災気象情報提供システム及 び国土交通省から提供される市町村向け「川の防災情報」等を活用した情報 収集を行い、住民等へ的確な情報提供及び避難誘導を行うこととしている。

気象情報については、防災気象情報提供システムに加え、フェニックス防 検証の視点 防災情報機器等による情報収集の状況 

検証項目1 

検証の視点 避難準備情報、避難勧告、避難指示(土砂災害)の判断指標  検証項目4 

ドキュメント内 2 (ページ 134-157)