(1)地域における消防団の活動状況
消防団の出動
町には55分団があり、定数は1,245名、団員数は1,124名であ る(表1〜表3)。
災害当日、消防団は全分団出動し、団員の出動率は64.9%であった。
8月9日の各支団の出動団員数は、佐用支団218名、上月支団132名、
南光支団222名、三日月支団157名で合計729名であった。
三日月地域では、15時30分頃から出動し、土のうを設置したり、河川 の巡回を行った。
上月地域では、18時頃から出動し、国道沿いの堤防の巡回、土のうの設 置を行った。
南光地域では18時30分頃から出動し、土のうを設置したほか、20時 頃には、一部分団が道路の通行止めによる誘導や警戒活動を行った。
佐用地域では、19時頃から出動し、地域の巡回や土のうの設置などを行 った。
【主たる要因】
消防団は地域と密接に連携し安全安心な地域づくりの一翼を担っている。
災害時にはいち早くかけつけ災害対応を行うが、若年層の減少や地域社会 への帰属意識の希薄化により消防団入団者が減少してきており、必要とする 消防団員の確保ができない地域が増えている。
消防団の活動
消防団では、8月9日午後3時30分頃から地域の要請及び分団長の指示 などにより、多くの分団が地域情報の把握、避難誘導及び住民の救助などの 活動を行った。
消防団は、外出していた者や道路の冠水などにより出動できない者、団員 自身の住居が被災した者があるなど、全団員が出動できない中、地域の被害 軽減に努めたが、床上浸水となった地域では、浸水深が深くなった時点や流 速が速くなった時点から活動することができなかった。
検証の視点 消防団の活動状況 検証の視点 消防団の出動状況 検証項目1
検証項目2
消防団の主な活動状況
①地域情報の把握
地域の要請及び分団長の指示などにより、本部からの出動要請よりも早く 活動を行っていた分団もあった。延べ34分団が、見回り等を行い河川や地 域の危険箇所等の状況把握を行った。
②水防活動
延べ44分団が、土のう積み、シート張りなどを行った。
③住民の避難誘導
延べ7分団が住民の安否確認、延べ21分団がポンプ付積載車による警戒 放送やサイレン吹鳴により住民の避難誘導を行い、地域住民の被害軽減に貢 献した。また、自治会役員や町職員と連携し、通行止めや交通整理を行い町 外者、特に自動車移動者の避難誘導を行った。(町外避難者275名)
④住民の救助
延べ6分団が浸水により車に閉じ込められた住民などの救助を行い、地域 住民の被害軽減に貢献した。
⑤出動団員数
8月9日の実出動団員数は、729名であった。
【主たる要因】
災害時にいち早くかけつけ災害対応を行ったが、広範囲にわたる浸水と堤 防の決壊などにより、消防団員自らが避難を迫られる状況となり活動範囲や 活動内容が限られた。
各消防団は、複数の地域を活動範囲として受け持っている場合が多く、今 回のように被害が広範囲に及ぶ災害においては、活動を必要とするすべての 地域に対応することができなかった。
また、消防団には、洪水時に備えた資機材としては土のう袋やシートなど しかなく、住民の救助活動や避難誘導を行うための救命胴衣やロープなどの 資機材がなかった。
消防団員の確保対策が必要である。
消防団は、地域防災を支える要として、必要不可欠な組織である。
町は、災害時に水防活動、住民の避難誘導及び救助を行う消防団員を確保 する必要がある。高齢化、若年層の減少・町外への流出、地域社会への帰属 意識の希薄化などで、消防団員が確保できない場合もあるため、事業所との 協調関係を築き、消防団活動への理解と協力を得て、勤務地を活動地域とす る企業消防団員や女性消防団員の確保などに努めることが必要である。
洪水時の救助活動を行うための資機材が必要である。
消防団が備えている資機材は、消防ポンプやホースなど主に火災時の活動 を考慮したものとなっている。洪水時の住民の救助活動や避難誘導のため、
救命胴衣やロープなどの資機材を備えることが必要である。
消防団の体制・活動の改善への提言
提言 20
提言 21
2 自主防災組織の体制・活動
(1)自主防災組織の活動状況自主防災組織の体制・活動
佐用町では集落自治会が自主防災組織として活動している。
自主防災組織の体制は、各集落により異なっており、一般的な例としては、
会長と副会長の下に、消火班、救出・救護班、避難誘導班、給食・給水班、
衛生清掃班、安全点検班、防犯・巡回班、女性防火委員があり、それぞれの 班に平時と災害時の役割がある。例えば、救出・救護班は、平時には、資機 材確保や整備を行い、災害時には、救出・救護活動を行う(表4)。
8月9日、各地域の自主防災組織は、自治会役員を中心に早い地区では午 後3時頃から集まり、テレビなどで得た気象情報や、各地域での降雨、河川、
山の状況などから過去の災害の経験をもとに、今後の対応などの協議を行い、
午後9時までに、55集落で役員が参集し、集落で危険な箇所の見回りや土 のう積み等を行っていた。
特に、住民の避難を促すため各戸を訪問するなど消防団と協力し避難誘導 などの活動を行った。
自主防災組織の主な活動状況
①危険箇所の見回り
67集落で役員等が道路、河川、ため池などの見回りを行った。
②地域住民の安否確認、避難誘導
48集落で役員と消防団が連携して、電話、訪問及び防災行政無線等を活 用して住民の安否確認、避難の呼びかけや避難誘導などを行った。
③町外者の避難誘導
10集落で役員と消防団及び町職員が連携し、町外者、特に自動車移動者 の避難誘導を行った。(町外避難者275名)
【主たる要因】
自主防災組織は集落自治会を基本的な単位として組織されている。
町では、以前から集落自治会を中心としたコミュニティの結びつきが強く、
平時においても祭りや地区の清掃などのコミュニティ活動が活発に行われて いる。今回の災害においても、地域を守るため、防災活動が積極的に行われ た。
検証の視点 自主防災組織の体制・活動の状況 検証項目1
(2)地域と町との情報連携
地域と町との情報連携
各地域の自主防災組織は、テレビなどの気象情報や各地域の降雨の状況を みながら見回りなどを行い、過去の災害で危険であった地域内の河川や道路 の状況などを把握し、電話、訪問及び防災行政無線による地区内放送などに より、住民に情報を伝達するなど積極的に活動したが、町との情報連携は十 分ではなかった。
一方、町では、過去の水害で被害が大きかった地域の自治会には午後8時 頃までは連絡を取り、地域の状況などの情報を得ることができていたが、午 後8時以降は連絡をとっていない。
【主たる要因】
各自主防災組織は、地域内での見回りを優先して行い、裏山や河川の状況 などを地域の住民に伝えるとともに、危険になっている各戸に対して避難を 呼びかけることに注力しており、町に連絡している状況ではなかった。また、
町災害対策本部では、被災住民などからの電話が輻輳し、つながりにくい状 況であった。
一方、町では、午後8時以降は各地域からの電話に追われ、午後9時以降 は初動時に災害対応の中心的活動を行う本庁舎が浸水し、10日午前2時頃 になるまで本庁舎周辺の浸水が解消されない状況の中、災害対策本部では被 害状況の確認を行うほか、翌朝の食事の手配や給水準備などの被災者支援対 策などに追われ、各自治会に連絡できなかった。
検証の視点 地域と町との情報連携の状況 検証項目1
地域防災力の向上のため自主防災組織の強化が必要である。
今回の災害で、避難誘導など地域の防災活動の中心的な役割を担ったのは 自主防災組織と消防団であった。地域の防災を担うのは地域住民であり、コミ ュニティを強化するとともに、自分の命は自分で守る、地域の安全は地域で守 るという「自助」「共助」を基本とした地域防災力の向上が必要である。
そのため町は、地域の特性を考慮し、自主防災組織構成員に対する研修な ど、地域の防災リーダーの育成に努めるほか、防災資機材の充実と地域の防 災への取り組みを支援し、地域防災力の向上を推進する必要がある。
自分の命は自分で守る自助意識・地域の安全は地域で守る共助意識の啓 発が必要である。
このたびの災害においては、自助、共助が重要であることが認識された。
自分や家族がまず第一に取り組み、地域が互いに助け合うことが必要であ る。このため、平時から家庭内での災害時の連絡方法や食料の備蓄、家具の 固定など防災について話し合い、防災に関する知識や意識を向上することが 不可欠である。
さらに、地域では、地域ぐるみの訓練や専門家を招いた講習会、身近なハ ザードマップの作成などを通じて、地域が一体となって防災に取り組む意識 を穣成することが必要である。
地域と町が災害情報を共有するための仕組みづくりに取り組む必要が ある。
町は、地域の防災活動を支援するため気象や河川の水位などのきめ細かな 情報を速やかに地域に伝える必要がある。一方、地域においても町に的確な 災害対応を促すため迅速に地域の状況を伝える必要がある。
このため、消防団や自主防災組織に町との連絡係を置き、町においてもそ の対応を行う職員を置くなど、災害時における地域と町の円滑な情報共有を 図るための仕組みづくりに取り組むことが必要である。
また、地域との連携を強化し、効果的な活動を促進するため、災害対策本 部会議に地域の防災リーダーである自治会連合会代表者など、地域代表の出 席を求めることが望ましい。
自主防災組織の体制・活動の改善への提言
提言 22
提言 24 提言 23