(1)県への支援要請と支援
県への支援要請と支援
町は、被害規模がほぼ全町にわたる大規模な災害となったため、町が単独 で災害対応するのは困難と判断し、8月10日に「兵庫県及び市町相互間の 災害時応援協定」に基づき、県に対して職員派遣の要請を行った(表1)。
保健師や農業土木職員など専門職、技術職の派遣を要請したほか、被災者 の生活再建へ向けた相談業務やボランティアセンター運営などに係る職員に ついても派遣要請を行った。
支援を要する業務の内容や人員の把握、県への依頼等支援要請に関する事 務は、窓口を一本化し、災害対策本部の防災担当者が行った。主な支援内容 は、避難所等における健康相談、心のケア業務、農地、農業用施設の被害状 況調査、家屋被害認定の調査などであった(表2)。
ただし、「兵庫県水道災害相互応援に関する協定」に基づく上下水道施設の 復旧など水道関係の支援要請に関する事務は、水道課が行った。
県では、県からの派遣職員の取りまとめ等の事務は、災害当初は市町振興 課が窓口となって行い、後に防災企画課が窓口となって行った。
県では、専門職員の派遣など過去にない支援体制が組まれ、町は多くの職 員の派遣を受けた結果、総数の確保はできたが、派遣された職員の専門的能 力と町の現場でのニーズ把握や調整が困難を極め、一部では職員の能力と現 場のニーズに合った配置ができないことがあった。
【主たる要因】
今回のような大規模な災害の対応は初めてであり、町の保健師は10人、
農業土木関係職員は4人と極めて少ない人員で膨大な量の専門的な業務を処 理することは困難であるため、県に対して専門職、技術職の派遣を要請する とともに、被災者の生活再建などの相談業務や家屋被害の認定調査業務など に豊富な知識を有している職員の派遣を要請した。
なお、広域防災応援協定では、各協定に基づく応援に要した経費は、被応 援団体である佐用町において負担すべきとされているが、佐用町における被 害が甚大であったことから、兵庫県等に特段の配慮について要望を行い、県 及び応援市町の支援を得て、県及び応援市町が負担することとなった。
検証の視点 県への支援要請と支援の状況 検証項目1
(2)他市町への支援要請と支援
他市町への支援要請と支援
県への支援要請と同様に、他市町に対して8月10日に「兵庫県及び市町 相互間の災害時応援協定」に基づき職員派遣等の要請を行った。他市町への 派遣要請は、市町振興課が窓口となって連絡調整した。
土木技術職員、家屋被害認定調査の知識を有する職員のほか、避難所運営 などに係る職員についても派遣要請を行った。
また、水道関係については「兵庫県水道災害相互応援に関する協定」に基 づき、給水車の支援を要請し、ごみ、がれきの搬出、処理については「兵庫 県災害廃棄物処理の相互応援に関する協定」に基づき、職員の派遣要請とと もにパッカー車やダンプカーなどの支援要請を行った。
他市町の支援業務の内容や派遣人員のとりまとめなど支援要請に関する事 務は、窓口を一本化し、災害対策本部の防災担当者が行ったが、給水やごみ 処理関係の業務に関する事務は、それぞれの対策部が行った。
給水やごみ処理関係業務以外の主な支援内容は、公共土木施設の被害状況 調査、災害査定業務、家屋被害認定の調査、避難所の運営、物資搬送支援な どであるが(表2)、支援が必要な業務への職員数や派遣期間などの的確な把 握ができないことがあった。
【主たる要因】
今回のような大規模な災害の対応は初めてであり、町職員だけでは人員が 少なく災害対応できる状況ではなかったため、県下市町と結んでいる災害時 の各種応援協定に基づき支援要請を行った。
特に、小規模自治体では技術職員や清掃関係職員が少ないのが現状であり、
町の公共土木関係職員は5人、水道関係職員は6人、清掃関係職員は15人 で給水車は保有しておらず、パッカー車などの清掃車両は6台保有している にすぎない。被害状況に対応できるだけの資機材がなかったため、職員派遣 と併せて機材の支援を要請することとなった。
検証の視点 他市町への支援要請と支援の状況 検証項目1
(3)広域防災応援協定の活用
広域防災応援協定の活用
広域防災応援協定には、「兵庫県及び市町相互間の災害時応援協定」、「西播 磨地域災害時等相互応援に関する協定」、「兵庫県災害廃棄物処理の相互応援 に関する協定」及び「兵庫県水道災害相互応援に関する協定」などがある。
災害時の被害規模が大きく、町単独での災害対応が困難であったため、こ れらの災害時相互応援協定に基づき、職員の派遣、防災資機材の提供、車両 などの支援を要請した。
近隣市町との応援協定である「西播磨地域災害時等相互応援に関する協定」
に基づく支援要請は行っていないが、近隣市町の自主的な判断により、多数 の支援が行われた。
また、民間との災害時における応援協定として、NPO法人コメリ災害対 策センター及びマックスバリュ西日本株式会社と「生活物資の確保及び供給 に関する協定」を結んでおり、被災者の生活物資確保や資機材の確保にあた り協定を有効に活用できた。
【主たる要因】
町内における被害規模が甚大で、災害発生時から主に県と連絡・相談を行 っていたため、「兵庫県及び市町相互間の災害時応援協定」に基づいて、職員 の派遣などについて県及び市町へ支援を要請することとし、近隣市町との応 援協定に基づく個別の支援要請は行っていない。
水道関係、ごみ・がれき処理関係、消防関係については、専門性が高い分 野であることから「兵庫県水道災害相互応援に関する協定」など、個別に締 結している災害時相互応援協定に基づき支援を要請した。
今回の災害は非常に規模が大きく、町の有する職員数や資機材のみで、長 期的、専門的な災害対応について、十分な対応ができないため、災害時にお ける広域応援協定等による広域的、長期的、専門的な支援を得られたことは 非常に有効であった。
また、現物備蓄が少ないなかで、民間流通事業者等との間で災害時の応援 協定を結んでいたため、被災者の生活物資や食料などを円滑に確保すること ができた。
検証の視点 広域防災応援協定の活用状況 検証項目1
各関係機関への速やかな派遣要請が必要である。
災害応急復旧や被災者支援を迅速に行うため、災害対策本部は被害状況を 早期・的確に把握し、町単独では災害対応できない業務や支援を必要とする 業務などを早期に見極め、災害時応援協定などに基づく派遣要請を速やかに 行う必要がある。
広域的な応援体制の一層の充実強化が必要である。
水道業務や清掃業務など、業務内容が共通している市町職員の派遣は効果 的であったことから、応援市町保有の機材等のさらなる活用など、より一層 の広域的な応援体制の充実が必要である。
また、受け入れ側においては、退職職員の協力を得るなどにより、現地に 精通していない他市町の派遣職員を誘導できる体制を整えるなど、派遣職員 が円滑に業務を遂行できるよう配慮することが必要である。
支援要請に関する事務を担当する部署を明確にする必要がある。
県、他市町への支援要請に関する事務は、窓口を一本化し、災害対策本部 体制の中で明確化することが必要であり、支援要請にあたっては、大まかな 被害状況や支援内容(人員や数量等)を把握する必要がある。
なお、災害時には、防災担当者は多忙を極めることから、防災担当者以外 が支援要請に関する事務を担当する必要がある。
家屋被害認定士などの育成、確保が必要である。
今回の災害においては、町には家屋被害認定の知識を有する職員が少なく、
県や他市町職員の応援を受けることとなったが、今後の災害に備えるととも に、他市町での災害時に直ちに応援派遣できるよう、家屋被害認定士の育成 を行う必要がある。
なお、地震災害に備えて建築士会と連携した応急危険度判定士の確保や育成 などついても推進していくことが必要である。
民間企業、災害関係NPOなどとの応援協定を拡充することが必要であ る。
災害時における民間流通を活用した生活物資等の調達、確保にあたり、協定 締結は有効な手段であった。物資の運搬や重機によるがれきの除去など、災害 時に協力してもらえる企業や災害救援を目的とするNPOなどとも応援協定 を結ぶなどの拡充を図る必要がある。
提言 30
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提言 29
広域応援体制の改善への提言
提言 27