• 検索結果がありません。

Fd

D.I u Ez] 200

T<

4. 3. 2. 4 破両様相

巨視的な破面を図4‑13に示す.いずれの破面も第3章で述べた鋳造材と比較する と凹凸は小さい.しかし, ○印1400℃焼結材の破面が最も粗い.き裂開閉口挙動の 測定結果では大きな違いはみられなかったが,このき裂閉口の原因が主として破面粗

さによるものであった.前述したように, ○と◇印は同じ1400℃焼結条件であるが 組織に微妙な違いがあった.このことから,厳密にみれば射出成形条件,とりわけ焼

結温度に伴う組織の相違により,き裂進展挙動は影響されることを示唆している.し かし,図4‑14に示すき裂の経路の観察では,射出成形材のなかで最も破面の凹凸が 大きい○印1400℃焼結材のき裂経路でも,鋳造材と比較するとほとんど平坦であり, 射出成形材のき裂閉口が鋳造材よりはるかに小さかったことが理解できる.

図4‑10に示した射出成形材の微視的破面は,いずれの破面もA Kにかかわらず, 疲労破面と同様にぜい性的な破壊様相を呈しており,また破面上には多くのポアが観

察できる.なお,すべての試験片の破面において, A Kにかかわらずストライエー ションは全く観察されない. 1350℃焼結材では,ほぼ全面がγ相の粒内へき開破壊 で占められている.一方, 1400℃焼結材では, γ相の粒内へき開破壊に加えて,ラ メラ問およびラメラを横切ったへき開破壊が観察される.特に, ○印1400℃焼結材 の破面ではラメラの破面が顕著に観察できる.このように破面からもき裂進展挙動に

組織およびポアの含有率の影響が存在することが確認できる.

以上のように,射出成形材の疲労強度および疲労き裂進展を評価し,それらに対し て組織と密度(ポア)が影響を及ぼすことを明らかにすることができた.しかし,い ずれの因子が支配的であるかば明らかになっていない.また,一般の金属材料と同じ 手法で疲労強度および疲労き裂進展特性を評価したが,破面観察からも明らかなよう

に,破壊機構は全く異なっているので,異なる視点から研究データを蓄積していく必 要がある.

ー107 ‑

逮‑;‑Rggi塾琴̲ee室=‑?i1一声 起

国4‑13 CT試散片の巨視的液面

l

く=) 00

l

I

‑二t‑:I ::i1.:喪章き恵三:.‑‑;i‑i‑=I:i:i:;ii̲=I‑‑‑;:.;:;̲;;‑;‑1=:‑.I ‑.I‑:

:≡‑;{1.チ::‑=二̲: :I

麟'#'表'#R'嗣癒密室済馬琴

国4‑14 射出成形材のき袈進展経路

4. 3. 2. 5 HⅣ処理した成形材のき裂進展特性

これまでの結果から,射出成形材の疲労き裂進展に対して組織と密度(ポア)が影 響を及ぼすことは明らかである.しかし,いずれの因子が支配的であるかは明らかに なっていない.また,射出成形材の特性は鋳造材と比較するとかなり劣っている.こ れらの点を明らかにするために,ここではHⅣ処理を施し,密度の向上を図った成 形材のき裂進展特性を調べた.これにより,組織と密度(ポア)のいずれの因子が支 配的であるかを明らかにすることができると考えられる.

HⅣ処理パターンは800℃Alの速度で1200℃まで昇温させ,圧力120MPa,保持時

間2hでHIPしたのち, 800℃Alで冷却させた.処理した成形材は1400℃焼結のCT 試験片である.

表4‑3にHⅣ処理前後の密度を示すが,処理による密度の向上はみられなかった.

また,図4‑15にHⅡ'前後の組織写真を示す.ポアの含有率および組織の変化も小さ いようである.

図4‑16にき裂進展速度由屈ⅣとA KおよびAK.Ltの関係を示す.これまでに得ら

れた射出成形材の結果も併記した.図から明らかなように, HⅣ処理材の由必Ⅳ‑

AK, AK.//関係は◇印1400℃焼結材および均質化処理材とほとんど一致している 結果として, HⅣ処理による効果は認められなかった.このような結果となった理

由として, HⅡ〉処理条件などの設定における諸問題や,射出成形材の場合,材料中 に存在するポアの大きさや形状などが一般の粉末冶金によるものと異なることなどが 挙げられる.しかし,密度が向上したとする射出成形による高速度鋼の報告(121)が ある.組織と密度(ポア)のいずれの因子が支配的であるかを明らかにするためにも, 組織変化を少なくして密度を向上させることをHIP処理により試みる必要がある.

今後の課題である.

‑ 109

表4‑3 ⅠⅡP処理後の密度(CT試換片)

shtercd3t1400℃ Hipedat1200cC

Densitykg血13 3430 3440

図4‑15 ⅠⅡP処理後の敷地写真

ー110 ‑

F=Et:U

普 ∈

i

「コ 4)

i

l∃

(⊃

'B

cC

穿

a O uD‑

,メU く勺

10‑7

In]'ection molding intermetauic

compound TiAl R‑0.05

I:.慰

:甘&o

lb/. a

■,

▼◇宇

4j

Sintered at 1400oC H omogenize d Sintered at 1350oC Hiped at 1200oC

101 100

Stress intensity factor range AK, AKeff

MPa{m

図4‑16 ⅠⅡP処理材の朗Ⅳ‑‑A K. ^K.tL関係

‑ 111

4. 4 括 言

本章では,射出成形された金属間化合物TiAlの疲労強度およびき裂進展挙動を主 としてポアと組織に注目して検討した.また,射出成形材と同組成の鋳造材の結果と 比較,検討した.以下に結果を要約する.

(1)射出成形材のS‑N曲線の勾配はきわめて小さく,疲労強度にばらつきがみられ たが, 1400℃焼結材の疲労強度は1350℃焼結材よりも高かった.さらに,射出 成形材の疲労強度は鋳造材と比べてかなり劣っていた.

(2)鋳造材に比べて劣った射出成形材の疲労強度,および射出成形材の疲労強度の焼 結温度依存性は,ポアの含有率および組織の相違に起因していた.

(3)射出成形材の疲労破壊領域と急速破壊領域および静的破壊の破面は類似しており, 焼結温度による組織およびポアの含有率を反映した破面を呈していた.

(4)鋳造材と比べて,射出成形材の由餅‑‑ A K関係の勾配は大きく,き裂進展抵抗 はかなり低かった.また,き裂進展抵抗は焼結温度に依存し, 1350℃焼結材の ほうが1400℃焼結材よりも低かった.

(5)射出成形材のき裂閉口は鋳造材に比べて小さかったが,破面の凹凸や破面観察か ら破面粗さに起因していた.

(6)き裂閉口を考慮しても,なお射出成形材の疲労き裂進展抵抗は,鋳造材よりも低 く,また射出成形材間の差異が存在していた.

(7)射出成形材は全き裂進展領域において,焼結温度による組織およびポアの含有率 を反映した破面を呈した.ポアの含有率の増加に加えて,鋳造材と同様にへき閑 破壊を呈するγ等軸粒の体積率の増加がき裂進展抵抗を低下させていた.

(8)射出成形材の疲労き裂進展抵抗は由必Ⅳ」△K.ftG関係においても,依然とし て鋳造材よりも低く,また射出成形材間の差異が存在した.ポアの存在が弾性係 数に反映するとした整理では説明できず,ポアの存在がき裂を加速させていると 考えられた.

(9) HⅣ処理による密度および組織の変化はほとんどなく,き裂進展特性に及ぼす効 果も認められなかった.

‑ 112

結 読

結 論

文明の進歩とともに,材料は構造材料として,様々な使用条件や環境に対応するこ とを要求され,新しい材料の開発が繰り広げられてきた.特に,近年の科学技術のめ ざましい進歩に伴い,その要求はより一層苛酷なものになっている.多くの新素材は 最初に航空・宇宙産業といった先端技術において基礎材料として開発され,一般機械, 輸送用機械,電子・電気および家庭用器具などの産業に波及し,新しい製品に利用さ れている場合が多い.

このような新素材のなかで,現在注目されている材料に金属間化合物が挙げられる.

その理由のひとつは, TiAlを始めとするある種の金属間化合物に強度の逆温度依存 性という特異な性質があり,耐熱構造材料として期待されているためである.この優 れた耐熱特性により,ジェトエンジンやタービン部材料として,航空・宇宙産業分野 への応用が検討されている.しかし,金属間化合物は常温下における延性,靭性が乏 しいことから,この性質を克服することが不可欠であり,また,一方において製品や 部品などに形状化させるための成形プロセス技術の開発も欠かせない.

そこで,本論文では成形法として金属粉末射出成形法を考慮し,このプロセスによ るTiAlの成形,およびこれにより成形された焼結材料の力学的特性を把握すること を目的とした.構造材料として利用する場合,破壊は避けられない宿命的な重大な問 題である.静荷重設計のための基礎的な引張強さや降伏点などの材料強度データの蓄 積を図るとともに,ほとんどの破壊の原因である疲労特性を把握することはきわめて 重要である.しかし,新しいプロセスである射出成形法によって成形された材料のこ うした力学的特性についてはほとんど明らかにされておらず,また新素材である金属 間化合物TiAlの力学的特性に関する研究は,最近になって着手されるようになった 状況にある.

第1章では,純Al粉末を用いて加工工程ごとに金属粉末射出成形法の成形性につ いて検討し,得られた成形条件により金属間化合物TiAJの成形を行った.特に,逮 定したバインダーの成形に及ぼす影響を調べ,最適な射出成形条件を確立し,その条

‑ 113

件を用いてTiAlの射出成形が可能であることを立証した.

選定したバインダーは主バインダーとしてアクリルレジン(AP),ポリプロピレン 伊P),ワックス(WAX)の3種類で,助剤として可塑性,滑性のためのDOP,ステア

リン酸(ST)である.バインダーの組成比はAP:PP: WAX‑6:3:3で, DOPとSTは全バ インダー体積のそれぞれ5, 10%である.また,粉末:バインダーの体積比は60:40

である.この条件により,射出成形法で重要な良好な流動性および脱脂性を得ること ができた.実際の射出成形工程において,グリーン体を安定に成形することができた.

また,脱脂工程においては大気中, 350℃の脱脂温度条件で脱脂率85%以上で,し かも外観上欠陥のないグレイ体を得ることができた.

焼結においては,焼結温度および雰囲気因子が与える影響は大きい.Al粉末の焼 結においてAr雰囲気よりも真空雰囲気のほうが収縮率は大きかった.金属粉末の場 令,表面の酸化皮膜による焼結の阻害が問題となっているが,真空下における還元作 用の働きにより酸化皮膜は還元され,焼結反応が促進された結果,収縮率は向上した

ものと考えられる.また, TiAlの場合,焼結温度により収縮率に違いが現れ,焼結 温度の高い1400oCのほうが1350oCよりも収縮率は大きかった.

以上のように,金属粉末射出成形条件により金属間化合物TiAlの焼結体を安定に 得ることができた.また,三次元的形状のモデルの成形も可能であることを確認した.

第2章では,金属粉末射出成形法で得られた金属間化合物TiAlの基礎的な機械的

性質の把握のために,引張試験を行った. TiAlは軽量で高温強度を有することが最 大の特性である.そこで,成形材の常温ならびに800℃における試験を行い,

、高温特 性についても検討した.さらに,比較材として鋳造材についても試験を行った.射出

成形材の焼結温度に伴う組織やポアの含有率の違い,および鋳造材と射出成形材の組 織や密度の違いによる引張特性への影響について検討した.

平均粒径約11 mの粉末を用いて得られた焼結体の相対密度は,焼結温度1400℃

で95%であった.焼結温度1350℃ではそれより劣る結果となった.また,引張強さ は鋳造材の約1β程度であるが,鋳造材と同様に高温まで室温の強度を維持した.な お,引張強さも焼結温度に依存し,焼結温度1400℃のほうが1350℃よりも高い強度 を示した.伸びは,常温下では射出成形材および鋳造材ともにきわめて小さく,ほと

‑ 114