上記の実験結果から,ラメラ層に垂直にき裂を進展させるように試験片を採取すれ ばき裂の偏向を生じることなく実験が可能であり,またその方向がラメラ組織に対し ては最大のき裂進展抵抗を示すことが考えられるので,インゴットを高さ方向にスラ
イスした板から試験片を採取し,実験を行った.すなわち,荷重方向がラメラ層に平 行になるように, CT試験片のノッチを入れている.予想どおり,き裂は荷重軸に対
して垂直に進展した.得られた結果をき裂進展速度由屈Ⅳと応力拡大係数範囲A Kの 関係として図3‑9に示す.鋳造材および均質化処理材ともに,由必Ⅳ」A K関係の 勾配は一般の金属材料よりもかなり大きい(1S5)I (lS9)・ (192).図から明らかなよう に,鋳造材の由必Ⅳは均質化処理材よりも低く,下限界値は高くなる傾向にある.
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3. 3. 2. 2 き裂開閉口挙動
き裂開閉口挙動の測定結果をK.pノ好.".とK.M.の関係として図3‑10に示す.莱
験を行ったKm..の全領域において, K.pノ好.".値は鋳造材のほうが大きく,均質化 処理材よりも顕著なき裂閉口現象を示すことがわかる.また,図3‑11に示す巨視的
破面観察から,破面上に酸化物の付着は認められない.図から明らかなように,全体 的に鋳造材の破面の凹凸が均質化処理材よりも大きい傾向がある.図3‑㍑に試験片 側面で観察したき裂経路を示す.この写真からも,いずれのAK.t[においても鋳造 材の経路は均質化処理材よりも屈曲が顕著であることがわかる.こうした破面粗さ
(き裂経路の屈曲)の鋳造材と均質化処理材との相違は,ラメラ組織のコロニー寸法 とγ相の存在によるものと思われる.以上のことから,定量的な測定は行っていない
が,両材のき裂開閉口挙動の相違は破面粗さに起因していると考えられる.
き裂開閉口の測定結果を用いて,き裂進展挙動を有効応力拡大係数範囲AK.[[で 整理した結果を図3‑13に示す.鋳造材と均質化処理材の結果はかなり接近するが, 依然として均質化処理材の由招Ⅳ」AK.ff関係がやや上方に位置しているようである.
ところで,小川らはチタン合金の疲労き裂進展特性の評価において,由必Ⅳ」AK.ff 関係に差異が見られた場合でも,破面粗さを考慮して進展速度と応力拡大係数を補正 すると差異が消失することを指摘している(196).前述したように,鋳造材の破面粗
さば均質化処理材よりも大きい傾向があったから,両者の相違は破面粗さに基づくこ とも考えられるが,後述するように均質化処理材ではき裂進展の全領域においてγ相 のへき開破壊が見られたことから,この観察された差異はむしろ破壊機構の相違に起 因したものと考えられる.
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