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重イオンマイクロビームとブロードビームによって誘起した SiGe HBTs 中の過渡

3 業務実施結果

3.2 検討文献

3.2.9 重イオンマイクロビームとブロードビームによって誘起した SiGe HBTs 中の過渡

文献名 Heavy Ion Microbeam and Broadbeam Induced Transients in SiGe HBTs 出 典 IEEE Transaction on Nuclear Science, Vol.56, No. 6, pp. 3078- 3084, Dec. 2009.

著者名 Jonathan A. Pellish R. A. Reed, D. McMorrow, G.Vizkelethy,V.F. Cavrois, J.

Baggio,P.Paillet, O. Duhamel, K. A. Moen, S. D. Phillips, R. M. Diestelhorst, J.

D. Cressler, A. K. Sutton, A. Raman, M. Turowski, P. E. Dodd, M. L. Alles, R. D.

Schrimpf, P. W. Marshall, and K. A. LaBel 対象デバイス IBM 5AM, SiGe HBT

実験設備 SNL (6MV tandem Van de Graaff), K-130 cyclotron(JYFL), high-energy beamline (GANL)

照射線種及び エネルギーの区分

酸素 36MeV, ネオン 189MeV, クリプトン 768MeV, キセノン 1217MeV, キセノン6188MeV

単発現象又は 積算線量効果の区分

単発現象 実験又は理論の区分 実験

(1) 概要

SiGe HBT(silicon-germanium heterojunction bipolar transistor) に対する重イオン誘起 過渡電流をSNLのマイクロビームとGANL, JYFLのブロードビームを用いて測定した。データは広 帯域ICとアナログ帯域16GHzのリアルタイムディジタルオシロスコープを用いて取得した。これらの データは、イオン入射位置、飛程およびLET効果に関する詳細な情報を提供する。

(2) はじめに

宇宙で使用する為に設計される高信頼性アプリ ケーションの 1 つとして、図 3.2.9-1 で示すような

SiGe HBT技術を採用するかもしれない。それは標

準的なシリコン CMOS 半導体プロセス技術につい てTIDと利点の両方を提供しそして、モノリシック製 造を可能とする。SiGe HBT に対する放射線影響 の共通した試験の大部分は、高速シリアルシフトレ ジスタである。これら回路のデータ速度は、定期的

に1 Gb /秒を超えるため、イオン誘起過渡電流の詳

細な特性は重要でありまた、特定の放射線環境で の動作を完全に理解するためにも必要である。この 論文では、イオン誘起過渡電流の時間プロファイル に関する詳細なデバイスレベルデータを提供し、さ らに幅広いエネルギーと LET の範囲に加えて、重 イオンマイクロビームの位置による相関データを提 案する。これらの結果は、低 LET 及び入射角度に

図3.2.9-1. 重イオンビームで実験したnpn IBM 5AM SiGe ヘテロ接合バイポーラトランジ スタの3Dと2-Dレンダリング。

関する断面積効果を含むブロードビームの結果と同様に、過去のパルスレーザ測定値と一致してい る。異なる LETsと粒子エネルギーは、デバイス中の重イオン電荷発生と収集の結果を示す。これら のデータの取得は、正確なデバイスの物理モデリングに必要不可欠である。

(3) 実験方法

シングルイベント過渡電流は、サンディア国立研究所イオンビーム材料研究Labの6MVタンデム バンディグラフマイクロビーム(SNL ニューメキシコ州アルバカーキ)、ユバスキュラ大学物理学科の K-130 サイクロトロン(JYFL、フィンランド)、GANIL の高エネルギービームライン、(GANIL、カー ン、フランス)の3施設で取得した。SNLでの36MeVの酸素マイクロビームによる収集されたデータ は、イオンヒット位置と相対的なxy座標を含んでいる。JYFLとGANILでの収集データは、イオン ヒット位置情報に無関係の幅広いビームのデータであり、より高エネルギー、角度照射の可能性と広 範囲なLETの選択を備えている。JYFLの重イオンビーム照射は9.3MeV/uの 20Ne、40Ar、82Kr、

および 131Xe である(カクテルビーム)。また、JYFL でのアルゴンイオン照射は垂直入射に加え 60 度入射で行った。GANILは、45.5MeV/u の136Xeを使用して照射を行った。すべて照射は垂直入 射で実施した。(特に断りのない限り)

DUTはエミッタ面積が0.5 × 2.5m2で、4.1 × 4.3m2の深いトレンチアイソレーションを備えた IBM 5AM SiGe HBTで、4本のマイクロストリップ伝送線路(2.9mm) で構成された高帯域パケー ジに取り付けられており、1mil(25.4m) 金ワイヤを使用してマイクロストリップラインに対しワイヤボ ンディングされている。いくつかの論文は、パッケージと

デバイスに関して詳細に説明がされている。この研究に 使用したパッケージの写真を図3.2.9-2に示す。JYFLと

GANIL では、ベースとコレクタでの過渡応答を、テクトロ

ニクス DPO71604A(リアルタイムデジタルフォスファオシ ロスコープ)16GHz (40GS/s) で測定・記録した。SNL では、基板、コレクタ、およびベースでの過渡応答を、テ クトロニクスDPO72004の20GHz (50Gs/s) で測定・記 録した。オシロスコープのトリガはすべてコレクタチャンネ

ルであり、SNLでのトリガレベルは|5mV|でJYFLとGANILでは、|15mV|であった。実験は、

DUTに対して3つのバイアス条件(ケース1:Vsub=- 4 V);(ケース2: VC = 3V)、(ケース3: Vsub=-

3V)に焦点を合わせ実施した。端子が非表示の場合、それは接地されている事を現し、ケース 1 の

VE,B,C=0Vを示している。

バイアス条件(ケース1, 2, 3)は、SiGeHBTに基づく回路に因る過去の実験を模倣するように設 計した。典型的な電流モードのロジックバイポーラ回路設計は、コレクタはグランドに落としエミッタと 基板に大きな負電圧をセットする(VEE=-3.3V, VSUB=-3~-5V)。コレクタの+3V は、基板が接地さ

れる BiCMOS プロセスのようなアプリケーションでの極端なバイアスを表している。同電位はサブコ

レクタ接合を横切って低下するため、基板上の-3Vはコレクタ3Vに対する直接比較である。しかし、

正の電圧コレクタバイアス方式(ケース3)は、VCBをゼロとすることで、デバイスの応答を変更する。

図 3.2.9-3 に外部の回路部品の構成要素と回路図をコレクタ端子に接続した状態で示している。

実際の実験における受動部品は以下の通り。:同軸ケーブルの長さ:48インチ、ダイパッド容量(Cpad

図 3.2.9-2. 重イオン実験と以前パルス レーザ実験に使用した高速パッケージ

=59fC)、 ボ ン ド ワ イ ヤ ー イ ン ダ ク タ ン ス(Lbw=1nH 以 下)、 分 散 し た シ リ ー ズ イ ン ダ ク タ ン ス (Ls=187nH/m)、分散したシャント容量(Cs=78pF/m)、分散コンダクタンス(Gs=110℧/(GHzm)、

分散抵抗(Rs=12Ω /m @20GHz)、バイアスティーインダクタンス(Ltee=1.5mH)、バイアスティ容 量(Ctee=0.22F)、オシロスコープ容量(COSC=0.35pF)、オシロスコープ抵抗(ROSC=50Ω)、50 抵抗と並列であるオシロスコープの容量は、19psの(10%-90%)テクトロニクスDPO72004の立ち上 がりをもたらす。

(4) 結果

図3.2.9-4(a)および(b)は、ケース1のバイアス状態でIBM 5AM SiGeに酸素36MeVをTRIBIC でスキャンした時のベースとコレクタによるピーク電流のプロットを示す。スキャン領域は200 nmス テップで、20 × 20m、空間分解能は1m以下である。このスキャンにて、約400データポイントを生 成する(コレクタ端子トリガレベルを-4mVとして)。以前のレーザ試験で観測されたように、ピーク収 集応答は、y軸の0と4m間とx軸の0~2m間であるベースコレクタ接合の範囲に限定されている

(図3.2.9-4(b))。オシロスコープは、イオンが深いトレンチアイソレーションで囲まれたエリアの近くに 当たる時にトリガ(動作)する。ピーク過渡電流と積分した過渡電荷に対しマイクロビームの情報を結 合させることは、DUTの物理構造に関してbroadbeam入射位置の相関関係を可能とする。

36MeV酸素イオンを照射し、収集した過渡電流測定結果を図3.2.9-5に示す。図3.2.9-5(a)は、コ レクタ端子に+3V印加(ケース2)、図3.2.9-5(b)は基板に-3V印加した(ケース3)測定結果。ケース2 の結果はケース3と比較して、ベースコレクタ接合の中の収集過渡電流は2倍も拡大されている。

case2のベースコレクタ接合過渡電流の倍率は、おそらく初期の効果とアバランシェ増倍の組み合わ せによるものである。図3.2.9-5 (a)と図3.2.9-5( b)は、サブコレクタ接合を横切って低下した同じ電 圧を表し、同等な空乏層を生成する。0.5mAの過渡的なピーク電流は、ベースコレクタ接合を横切ら ないことからBGである。

図3.2.9-6は、JYFL のbroadbeam重イオンビームによって得られたコレクタ過渡電流及びベー ス過渡電流を示しており、過渡電流の生成にはLETが重要であることを示唆している。既に提示さ れたマイクロビームデータに関する結果から、図3.2.9-6結果は、デバイスの活性領域にイオンがヒッ トしたことを示す。ネオンイオン入射による平均過渡電流は、最大振幅として0.25±0.04mA(ベース)、

0.90±0.04mA(コレクタ)であり、キセノンでは、平均最大振幅は0.57±0.08mA(ベース)、

2.9±0.19mA(コレクタ)であった。これらの取得したデータは、コレクタ端子でトリガし、そのレベルは 図3.2.9-3. 重イオンビーム過渡測定のためのダイヤグラム

-15mVであった。このトリガレベル(-15mV)は、SNL (-4mV) より大きいが、これはJYFL施設の電 気ノイズに起因している。

予想されるように、図3.2.9-6のキセノンによる過渡 電流はコレクタとベース端子の両方でより多くの電荷 を発生している。また、コレクタ過渡電流の平坦域と大 きな収集電荷量は、デバイス端子が外部電圧源とコン デンサに接続されていることに起因する。高電流により 電圧が低下(崩壊)する回路にDUTを接続すると、平坦 域が変化し、過渡応答は短くなる。しかし、平坦域はお そらくバイアスティのコンデンサのような回路的な影響 による飽和形状を示唆している。ネオンでの過渡電流 は、図3.2.9-4のSNLのマイクロビームの過渡応答に 類似し、以前のパルスレーザーによる試験によく匹敵 していることから、データの一貫性とLETの比例関係 を示している。

図3.2.9-7(a,b)に、JYFLで行った垂直入射と入射角60度の場合でのアルゴンイオン結果を示す。

オシロスコープのトリガは、コレクタにて-15mVとした。基板に-4Vを印加した垂直入射(Fluence = 3.85 × 107 [個/cm2])では、50個の過渡電流を捕獲した。しかし、同じバイアス条件で60度傾斜の 場合、Fluence = 1.94 × 108 [個/cm2]にてわずか16個のイベントを測定し、それは断面積として 1/16である。この結果は、以前のSiGeHBT回路に対するbroadbeamテストで観察されており、

図3.2.9-4. ケース1 (Vsub = -4V)で 全ての端子を接地したIBM 5AM SiGeHBTに36MeV酸素での TRIBICスキャン結果。

図3.2.9-5. (a)と(b)はVc=3V(ケース2)

とVc=-3V(ケース3)でのIBM 5AM SiGeHBTに36MeV酸素イオンによる TRIBICスキャン結果。

図3.2.9-6. JYFLでのケース1の Vsub = -4でのLET効果

TCADシミュレーションで説明した低LET粒子のイオン入射角度に伴った断面積の減少効果を素子 レベルで確認した。スペースベースアプリケーションでのイベントレートを計算するには、この効果を 理解することが重要である。

入射角度60度での過渡応答は、ピーク電流の大きな分 布を持ち、より小さな断面積にもかかわらず電荷を収集し た。図3.2.9-7(b)で測定された最も小さな過渡現象は、およ そ-17mVのピーク測定電圧に一致する(-15mV のトリガ 上の2mV)。アルゴンデータによる傾向は、トリガレベルを 下げることで、およそ0.25と0.5mAの間で、ほとんど一時的 なピークを示すことを示唆している。

アクティブな領域の下での基板中のイオンの飛程の問題 は、デバイス構成に関して重要である。(これは長期間重イ オンにさらされる宇宙適用に関するキーポイントである。)

図3.2.9-8は、2つの異なる粒子(同じLETしかし異なる 飛程による)によって誘起した過渡電流を比較している。

9.3MeV/ u82Krイオン(760MeV) は、基板内で約90฀m の飛程と32MeVcm2 /mgのLETを持っている。45.5 - MeV/ u136Xeイオン(620MeV) は、基板を貫通するために 十分な飛程とLET27を持っている。クリプトンの入射にお いて、デバイスは生成された電荷の全27 pCの約5.0%を 収集する。キセノンの場合には、デバイスは300฀m基板を 仮定するイオンによって生成した96pCの約2から3%を収 集する。しかし、キセノンの結果は図3.2.9-8中の積分電荷

と過渡電流ピークを比較すると、ほとんどクリプトン結果の2倍増加を示している。{5.5 MeV/u キセノ ン入射における平均コレクタピーク振幅電流は、-1.4mAである(クリプトン-0.77mAと比べて)。}

図3.2.9-8中のクリプトンとキセノンの収集過渡電 流平均と比較した。収集電荷の2倍もの増加は、

ピーク電流が収集電荷に比例すると仮定すれば 平均ピーク電流値によってサポートされる。ピーク 電流強度における大きな標準偏差は、深いトレン チアイソレーションの外側で発生したイベントに起 因した長時間、低振幅過渡現象の結果である。

図3.2.9-8中のキセノンでの電荷収集は、短時 間で発生する。それは、サブコレクタ接合空乏層 範囲の等電位分布に関連している事を示している

(ドリフト成分)。それぞれの過渡現象のテールは、

約1.5ns後に一致しており、シングルイベント過渡

電流が拡散輸送に関連しているとは考えにくい。これは、高エネルギーキセノンイオンの長い飛程が 大きな過渡現象と電荷収集をもたらしているサブコレクタ空乏層領域の実質的な変化の生じることを

図3.2.9-8. GANIL対JYFLのイオン領域比 較(ケース1の場合)

図3.2.9-7. JYFLでのArイオン過渡 応答を示す