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フラッシュベース FPBGA における SEE 感度の周波数依存性研究のための方法論

3 業務実施結果

3.2 検討文献

3.2.2 フラッシュベース FPBGA における SEE 感度の周波数依存性研究のための方法論

Flash-Based FPGAs

出典 IEEE Transaction on Nuclear Science, Vol. 56, No. 6, pp. 3534 - 3541 Dec. 2009 著者名 N. Battezzati, S. Gerardin, A. Manuzzato, D. Merodio, A. Paccagnclla, C.

Poivey, L. Sterpone, and M. Violante 対象デバイス Flash-Base FPGA

実験設備 SIRAD (National Laboratory in Legnaro, (INFN), Padova, Italy)

Heavy-ion Irradiation Facility (HIF) (Louvain—La-Neuve, Belgium)

照射線種及び エネルギーの区分

61.8MeV・cm2/mg(ヨウ素)

64.8MeV・cm2/mg(キセノン)

単発現象又は 積算線量効果の区分

単発現象 実験又は理論の区分 理論および実験

(1) 序論

FPGAはリコンフィギュレーション機能と共に、高性能、低消費電力であることから、宇宙用途への 関心が増してきている。しかし、宇宙環境で FPGAを使用するためには放射線耐性の強化されたも のを使用しなければならない。さらに、Commercial-Off-The-Shelf (COTS) FPGAを使用するなら ば、ユーザーによる放射線耐性強化は必須である。

フラッシュベースのFPGAは、SRAMベースのFPGAのようにコンフィグレーションメモリーがアップ セットを起こさないことから、厳しい放射線環境下での解として注目を集めている。本論文は、フラッ シュベースのFPGAに配置された実際の回路にて、クロック周波数とルーティングアーキテクチャの 調査結果を報告するものである。

(2) 背景

FPGA は、フローティングゲートセルがスイッチを制御するフラッシュメモリーにより、プログラミング を可能にしている。そして、このスイッチがロジックタイルとルーティングパスを構成する。スイッチプロ グラムは、2 つのデバイス間で共有されているフローティングゲートの書き込みによって行われる(図 3.2.2-1参照)。

図3.2.2-1. Flash-based FPGAプログラミングとコントロールスイッチ

図3.2.2-2に示したようなアーキテクチャでは、あるノードを単一粒子が直撃した場合の影響として、

以下の3つが考えられる。

影響 1:ロジックゲートセルの感度の

高いノードに粒子が当たり、

ロジックを通過するパルスが 起きる。

影響 2:パルスがラッチを構成するロ

ジック中で発生する場合、

プ ロ グ ラ ム セ ル が フ ィ ー ド バ ッ ク パ ス を 持 つ た め 、 SEUを引き起こす。

影響3:フローティングゲートスイッチ

に粒子が当たり、一時的な パルスが発生する。

(3) 従来の研究

従来のFlash-base FPGAにおけるSET研究は、SET評価用に設計されたデバイスを使用して いる。その結果、ワーストケースのデータを提供していると筆者らは考える。例えば、それらはロジック マスキング効果を最小化することで、SET 観察確率を上げている。あるいは、ロジックマスキング効 果が抑制される、長いコンビネーショナルパスを使用していること等が、その理由である。

そこで本論文は、SET 観測を目的として特別に設計された回路を用いずに、現実的な回路で SETを分析することを提案する。

(4) 本論文における研究方法論

本論文における評価パラメータは、1) 動作周波数、および 2) ルーティングアーキテクチャである。

これらを評価するために、照射実験と 2 つのソフトウエアを組み合わせ、ルーティング処理と照射実 験の試験データとの相関を得ることとした。

使用した2 つのソフトウエアの一つは、回路機能を変更せずに、ルーティングのみ変更するリソー スのリプレースソフトである。もう一方は、最初のバージョンからの変更によるビットストリームを解析し、

最初のバージョンから変更された、感度の高いポイントの数を計算するビットストリーム分析ソフトであ る。

(a) テストセットアップ

テスト環境は DUT(Device Under Test), MD(Monitoring Device) そ し て CGM(Clock Generation Module) からなる、

3つのモジュールで形成されている。DUTに フラッシュベースFPGAが搭載され、CGMに

図3.2.2-2.タイルロジック構成事例と放射線による影響

図3.2.2-3. テストシステムブロックダイヤグラム

よって定義される周波数で動作し、DUTのみ照射される。そして、MDがDUTの出力をモニター し、放射線照射によって起るエラーを検出する構成とした。

初めに、MDの設計について説明する。MD はファーストステージでDUT出力を多数決し、

セカンドステージで故障をカウントする設計と なっている。図3.2.2-4にMDの基本構成を示 す。多数決によって、DUTと MD間の伝送ス テージで起こる実際の故障ではない情報から 集計機能を保護している。また、セカンドス テージでは、DUT 伝送ステージをリセットし、

新しい故障情報を送れる状態に準備する。ここ でリセットされるまでの時間は、新しい故障は 検出できないブラインドタイムとなる。従って、

MDの動作周波数とSEE確率からフラックスを

調整し、ブラインドタイム内にSEEが起きない設定とする必要がある。

次にDUTについて説明する。DUTは2つのモジュールで構成されている。1つはSEE検出 モジュールで、放射線の影響を評価するための回路である。試験中に SEE が発生する可能性を 最大にするため、放射線の影響を受ける領域を出来る限り大きく露出している。もう一方は、伝送モ ジュールである。これは、測定ノイズとして観測されるSEEを収集してしまう可能性を最小限にする ため、できるだけ露出を小さくしている。さらに、伝送モジュールは、正しいデータを送信するために 以下に述べる対策を施し、SEEから保護している。1) 継続時間が短いSETをMDが検出できる よう、故障を保持するラッチを具備、2) 保持機能を SEU から保護するため、複製を 3 倍準備、3) 単一粒子がIOバンクに直撃した場合の故障を避けるため、出力をそれぞれ異なるIOバンクに割り 振っている。

(b) ルーティングモディフィケーションと解析ツール(RMAT) 筆者らは、SEE 感度に影響す

る 2 つ目のパラメータとしてルー テ ィ ン グ を 評 価 す る た め 、 回 路 ルーティングの基本設計分析ソフ トウエアを2つ開発した。ひとつは、

トポロジー(配列)変更により、配 線長を増減、配線接続の置き換え を行うものである。もう一方のツー ルは、発生したビットストリームを 分析するものである。これは、最初 のバージョンと置き換えられたもの とで変更された、感度の高いコン

図3.2.2-4. モニタリング設計アーキテクチャ

図3.2.2-5. ルーティングアナリシスフロー

フィギュレーション箇所の個数を推定するためものである。図 3.2.2-5 にビットストリームの分析フ ロー図を示す。

(5) 実験セットアップ

DUTにはアクテル社製フラッシュベースFPGA(Pro ASIC3, 130nmCMOSプロセス)を使用、

6,144ロジックセルと250kシステムゲートを備えるA3P250 PQ2008に対して照射を行った。ルー ティングは非現実的にならないよう、コンビネーショナルロジックの最大深さレベルに注意し、ロジック とメモリエレメントを構成した。また、DUTの検出モジュールは2個の複製を準備し、排他処理を行っ た。

SETはクロック周波数に依存するので、1kHzから100MHzで評価を行った。また、グローバルラ インにおいて、不良が起こりうることに注意しながら、バーストエラーを識別することで、精度よく SEE のタイプと発生数の推定をすることを可能とした。

(6) 実験結果および分析

初めに、重イオン照射下でのSEEについて、周波数依存性を評価した。重イオン照射はSIRAD および HIF の両方で実施し、イオン種にはヨウ素イオン(LET 61.8MeV・cm2/mg)を用いた。図

3.2.2-6 に断面積の動作周波数依存

性を示す。50MHz までエラー率の変 化は見られなかった。50MHz 以下の 周波数では、ユーザーメモリー中の SEU が支配的であると考えられる。一 方 、 よ り 高 い 周 波 数 で は 、 急 激 な エ ラー率の増加が確認された。100MHz 時のエラー率は 1kHz のときと比較し て約10倍である。

次 に 、DUT の 動 作 周 波 数 を

40MHzに固定して、ルーティングパス

の違いによるSEE感度を評価した。イ オ ン 種 に は キ セ ノ ン イ オ ン(LET 64.8MeV・cm2/mg)を用い、同じ設計 で、異なるバージョンの回路を評価した。

表3.2.2-1に示すように、ロジックタイル の数は2種類の回路で同数とし、

一方、回路 2 のルーティングリ ソースは回路1の2倍とした。

表 3.2.2-2 はそれぞれの回路 で確認されたイベントの数と断面

図3.2.2-6. SEE断面積の動作周波数依存性 表3.2.2-1. 評価回路特性

表3.2.2-2. 異なる回路でのSEE結果

積を示したものである。しかし、2つ目の実験を SETに感度がない 50MHz以下で実施したため、

ユーザーメモリーでのSEUしか確認できなかった。そのため、ルーティングリソースを変化させたが、

断面積に変化は見られなかった。

(7) 結論および今後の研究

DUTの動作周波数が SEE感度に影響することを確認した。また、筆者らが設計した DUT は、

従来と比較して、より現実的な回路において放射線の影響を解析することを可能にした。今後は

50M~100MHzのエラー率調査について追加照射実験を実施し、さらにルーティング評価を行う予

定である。最終的には、ロジックマスキングによるSEE伝播確率を評価する予定である。