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連続剛体の重心

ドキュメント内 2017年版PDF (ページ 53-57)

質量は近似的にmi=ρ(Xi)∆X と書ける.この近似の精度は∆Xを小さく(nを大 きく)すると向上する.以上,全質量M は近似的に,

M≈Mn=

n i=1

mi=

n i=1

ρ(Xi)∆X

と書ける.ここで,微積分学を応用する.細分数nを増加させたときMn の極限,

Mn=

n i=1

ρ(Xi)∆X→M =

l 0

ρ(X)dX (n→ ∞) (5.3)

が存在すれば,関数ρ(X)X で積分可能(integrable)であるといった.その極限 値M を,ρ(X)Xに関する積分(integral)と呼んだ.

実用的には,極限値の計算はしなくてよい.機械的に,

積分への書き換え

総和記号∑n

i=1を積分記号∫l

0 に書き直す.

とびとびの変数Xi を,連続的な変数X に書き直す.

細分幅∆Xを無限小dXに書き直す.

のように置き換えれば,積分による表式が作れる5).∫

dXの計算法(積分法)はすで に確立しているから,その値は誰にでも計算できる.

以上,剛体の線密度ρ(X)から全質量M を求める公式が,次のように得られた.

分母=M=

l 0

ρ(X)dX (5.4)

次に,重心(5.2)の分子∑n

i=1mixiにとりかかろう.そのためには,各小片の位置ベ クトルxiが必要だが,1次元の問題なので,各小片のX 座標そのものxi=Xiと なる.これとmiを分子に代入すると,近似的に,

分子

n i=1

mixi=

n i=1

ρ(Xi)∆X Xi=

n i=1

Xiρ(Xi)∆X

となる.これの極限n→ ∞(すなわち∆X→0)をとるのだという気持ちを忘れず に,積分への書き換えp46を実行すれば,

分子=

l 0

Xρ(X)dX (5.5)

という公式が得られる.(5.4)と(5.5)を連立して,次の算法が得られる.

5)卒業研究などの手持ちの問題で,このような細分片を総和するような問題が出てきたら,積分に置き換え てみよ.先生に相談する前に何か解決するかもしれない.

5.2. 連続剛体の重心 47

算法5.2 線密度ρ(X)の1次元剛体の重心のX座標Gは,

G=

l

0Xρ(X)dX

M , M =

l 0

ρ(X)dX (5.6)

となる.lは剛体の長さである.

例題5.1 算法5.2の1次元剛体の線密度をρ(X) =aXとする.重心を求めよ.

5.2.2 2次元剛体の重心面積分

次元を1つ増やして,平面上の2次元剛体を考える.計算手順は1次元と同じだ が,剛体の点が2次元座標(X, Y)になる.

剛体上の点(X, Y)における密度をρ(X, Y)とする.このρ(X, Y) [kg/m2]は,面 密度(surface density)といって,面積[m2]をかけると質量[kg]になる.

1次元の場合と同様に,この2次元剛体をn等分する.各小片の位置ベクトルを xi= (Xi, Yi)としよう.小片の幅を∆X,高さを∆Y とすると,各小片の質量は近 似的にmi=ρ(Xi, Yi)∆X∆Y と書ける.したがって,全質量は近似的に,

M ≈Mn=

n i=1

mi=

n i=1

ρ(Xi, Yi)∆X∆Y

と書ける.この近似式に積分への書き換えp46を適用すれば,全質量は,

M =

∫∫

A

ρ(X, Y)dXdY (5.7)

と書ける.∫∫

A は,Aを積分区間とする2重積分を表す.これを面積分(surface

integral)という.Aは剛体に含まれる座標点の集合で,これで剛体の形状を表す.A

の具体例をいくつか挙げてみる.

半径Rの円盤:A={(X, Y)|X2+Y2≤R2}

l,高さhの直角三角形:A={(X, Y)|0≤X≤l, 0≤Y (h/l)X}

▶▶(集合の表記) 集合の表記には2種類ある.1つめは,{馬,牛,虎}のように要素

を並べて示す方法,あるいは{2,4,6,· · · }のように並べたふりをする方法である.2つめ は,{要素のタイプ|集合の要素を定める判別条件}という書き方で,例えば,正の偶数 の集合を{n|n >0,nは偶数}と書く.あるいは,XY座標の第1象限に含まれる座 標点の全体は{(X, Y)|X >0, Y >0}と書ける.

こうしたAを積分区間とする2重積分∫∫

AdXdY の意味だが,

Aに含まれる座標点(X, Y)を,まんべんなく通過するように,積分せよ!

という意味である.どの順に通過するかは勝手に決めてよい6)例題5.2 次の直角三角形の全質量を求めよ.面密度ρは一定とする.

次に,分子だが,各小片の位置ベクトルxi=[Xi

Yi

]に対して,近似的に,

分子

n i=1

mixi=

n i=1

ρ(Xi, Yi)∆X∆Y[Xi Yi

]=

∑n

i=1Xiρ(Xi, Yi)∆X∆Y

n

i=1Yiρ(Xi, Yi)∆X∆Y

となる.極限n→ ∞をとる気持ちで,積分への書き換えp46を実行すれば,

分子=

∫∫

AXρ(X, Y)dXdY

∫∫

AY ρ(X, Y)dXdY

 (5.8)

が得られる.なにやら,式が長くなってきたので,短縮表記を導入しよう.

ベクトルF =[FX

FY

]に対して,∫∫

FdXdY 定義=

∫∫FXdXdY

∫∫FYdXdY

.

ベクトルx= [XY]に対して,ρ(x)定義= ρ(X, Y),dx定義= dXdY. 以上を使うと,分母(5.7)と分子(5.8)は,簡潔に

分母=M =

∫∫

A

ρ(x)dx, 分子=

∫∫

A

xρ(x)dx (5.9) とも書ける.これらを連立して,次の算法が得られる.

算法5.3 面密度ρ(x) =ρ(X, Y)の2次元剛体の重心の座標Gは,

G= 1 M

∫∫

A

xρ(x)dx, M =

∫∫

A

ρ(x)dx (5.10)

となる.Aは剛体の平面形状を表す2次元座標点の集合である.

例題5.3 例題5.2の剛体の重心を求めよ.

5.2.3 3次元剛体

同様の考察から,次の算法を得る.3次元の密度は単に密度(density)呼ばれる.

6)実は,どう巡ろうが同じ積分値が得られる.微積分の教科書にあるフビニの定理を見よ.

ドキュメント内 2017年版PDF (ページ 53-57)