A=
∑N i=1
mi(yi∧y¨i) =
∑N i=1
mi(¨θ|yi|2) = ( N
∑
i=1
mi|yi|2
| {z }
I
)
θ¨ =Iθ¨ (8.15)
という結論を得る.思いかえせば,角加速度θ¨の係数,
I:=
∑N i=1
mi|yi|2 [kg·m2] (8.16)
のことを,慣性モーメントと呼ぶのであった.(8.16)は離散剛体の慣性モーメントで ある.それ以外の慣性モーメントについては,8.2節p80で紹介する.
以上,(8.8)p78に(8.15)を代入すると,次の法則が得られる.
力学法則8.2 (剛体の回転運動) 平面上の剛体の重心まわりの慣性モーメントをI,重
心まわりの全トルクをT,剛体の回転角をθとする.このとき,剛体の重心まわり の回転運動θ=θ(t)は,次の運動方程式にしたがう.
Iθ¨=T (7.1b)再掲
以上,剛体の回転運動(7.1b)p68が導出できた.これと力学法則7.3p74を連立し たのが,力学法則7.1p68のニュートン・オイラー方程式である.このように,質点 に関する力学法則6.1を前提に,剛体に関する力学法則7.1が導ける.
8.2. 慣性モーメント 81
8.2.2 平行軸の定理
同じ剛体であっても,回転中心を変更すると,慣性モーメントは変化する.算法8.3 の回転中心をPとし,Pからd= (a, b)T の位置にとった新しい回転中心をQとす る.このとき,Qから見た各質点の位置ベクトルは,x′i=x−d= (xi−a, yi−b)T となる.したがって,Qから測った新しい慣性モーメントI′は,
I′=
∑N i=1
mi|x′i|2=
∑N i=1
mi{(xi−a)2+ (yi−b)2}
=
∑N i=1
mi(x2i+y2i)−2a
∑N i=1
mixi−2b
∑N i=1
miyi+ (a2+b2)
全質量M
z }| {
∑N i=1
mi
=I+|d|2M−2a
∑N i=1
mixi−2b
∑N i=1
miyi (8.18)
となる.ここで,有名な定理を得るための仮定として,元のPが重心だとすると,
O=
∑N i=1
mix=
∑N i=1
mixi
miyi
=
∑N i=1mixi
∑N i=1miyi
算法8.1p76
より,(8.18)の下線部が共に0となり,I′=I+|d|2M を得る.というわけで,
算法8.4 (平行軸の定理) 剛体の重心Gまわりの慣性モーメントをI とする.Gか
らdの距離にある新しい回転中心Oまわりの慣性モーメントは,
I′=I+M d2 (M は全質量) (8.19) で与えられる.これを,平行軸の定理という.
▶▶(連続剛体の場合) 平行軸の定理は,連続剛体についても成立する.連続剛体を小片
に分割し,各小片を質点とみなすことで,同様に証明される.
修正項M d2 は,剛体の全質量を重心Gに集中させ,これをOまわりに回転させ たときの慣性モーメントに等しい.したがって,算法8.4の意味するところは,
• I′ =自転の慣性モーメントI +公転の慣性モーメントM d2 である.
▶▶ 陸上のハンマー投げでブン回されるハンマーを思い浮べてみる.ハンマーが1周す るとき,ハンマーの重心は1回転公転する.それと同時に,ハンマーの球は1回転自転も する.それぞれの回しにくさを合計したのが,ブン回すハンマーの慣性モーメントである.
表8.1 基本形状の慣性モーメント(重心まわり,密度一定.M は質量)
※青木[3]など
(a)細い棒 I= M
12l2
(b)長方形板 I= M
12(a2+b2)
(c)直方体 I= (b)と同じ
(d)円盤 I= M
2r2
(e)円柱
Iz= (d)と同じ Ix= M
12(3r2+l2)
(f )円錐
Iz= 3M 10 r2 Ix= 3M
80(4r2+l2)
(g)球 I= 2M
5 r2
※鎖線が回転軸を表す.
8.2.3 連続剛体の慣性モーメント
連続剛体の重心p45のときと同様に,表8.1p82のような,計算済みの慣性モーメ ントを組み合せて,より複雑な連続剛体の慣性モーメントを求めることができる.この 表は,章末のB8節p85の方法で求まるので,各自試みられたい.
▶▶(3次元剛体の平面運動?) 表8.1の3次元剛体は,図に示された回転軸が,xy平 面と直交する向きに置いて回す.これを回転軸方向から見下ろしたものを,xy平面上の2 次元剛体とみなし,算法8.4などを適用する.
(a) 慣性モーメントの合成 計算済みの慣性モーメントを組み合せる方法を与える のが,次の法則である.