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応用問題

ドキュメント内 2017年版PDF (ページ 91-97)

8 章の補足

● 例題8.1p83の解答例

長方形の寸法をa= 0.21m,b= 0.06m と表記する.まず,欠損部を埋めた長方 形の質量はm1 =ab [kg]であり,重心まわりの慣性モーメントは,I1 =m1(a2+ b2)/12 =ab(a2+b2)/12 [kg·m2]である.重心(中点)からOまでの距離d1= 0.075 に対して,平行軸の定理より,O点まわりの慣性モーメントは,

I1=I1+d21m1=ab

12(a2+b2) +d21ab≈1.21×104

となる.次に,小円の半径r2= 0.01に対して,質量はm2=πr22,O点(重心)ま わりの慣性モーメントは,

I2=m2

2 r22= π

2r241.57×108

である.最後に,大円の半径r3= 0.02に対して,質量はm3=πr32,重心まわりの 慣性モーメントはI3 =m3r23/2となる.大円の重心とO点の距離d3= 0.14に対し て,平行軸の定理より,O点まわりの慣性モーメントは,

I3=I3+d23m3=π

2r34+d23πr232.49×105

となる.以上,この剛体板のO点まわりの慣性モーメントは,I =I1−I2−I3 = 9.61×105kg·m2//

● 問題8.1p83の略解

例題7.1の解答例p75で求めた運動方程式は,





m¨x=mgsinα−f (=F) ¨=r f (=T)//

であった.まず,これらからfを消去できる.消去後の式にはxθが混在するが,

球と斜面は滑らないと仮定したので,両者の間には弧度法の関係式x=r θが成立す る.rは定数だから2階微分の関係はx¨=¨となり,これからθに関する項を消去 できる.最後に,球の慣性モーメントI は,表8.1p82にある.これを代入すると,x 方向の運動方程式は,

¨ x=5g

7 sinα//

(

= mgsinα m+I/r2

)

8.3. 応用問題 85

A8

力学法則

8.1

p78の証明

図的に証明できる.例えばN = 4において,図7.2p70の内力のペアf14,f41に 着目すると,図7.4p72を重ねて,(質点を省き,内力を見やすく平行移動した)

のように作図できる.トルクの大きさは,符号付き面積により,

S=y1f14, S=y4f41 ∵(3.6)p23

として計算できた.図の2つの平行四辺形は,作用・反作用の法則より底辺の長さが等 しく(

|f14|=|f41|),作図より高さhが共通なので,両者の面積の絶対値は等しい.

さらに,作用・反作用の法則よりf14f41は逆向きなので,面積の符号は逆となり,

結局S=−Sの関係が判明する.ゆえに,この内力のペアが発生するトルクの総和は,

y1f14+y4f41=S+S=S−S= 0

のようにゼロとなる.残りのペアについても,同様にゼロとなるので,質点系の内力が 発生するトルクの総和はゼロである.一般のN 質点系についても同様に証明できる.

B8

慣性モーメントの導出

5.2p45の重心のときと同様に,次のような細分化と極限の手順をとればよい.

(1)剛体をn個の小片に分割する.

(2)各小片の位置ベクトルxiと,質量miをとる.

(3)これらを算法8.3p80に代入して,近似的な慣性モーメントInを求める.

そのうえで,極限limn→∞Inを積分として計算するわけである.

表8.1p82から,いくつか抜粋して計算してみる.被積分関数が慣性モーメント用 になるだけで,手順は重心の場合と同じである.

(b) 長方形板の慣性モーメント x方向に幅a,y方向に高さbをとった長方形を,

n個の小片に分割する.小片の位置ベクトルをxi = (xi, yi)T とし,小片のサイズ を∆x, ∆yと書く.長方形板の面密度ρ=質量/面積=M/(ab)より,小片の質量は mi=ρ∆x∆yと書ける.

以上を算法8.3p80に代入すると,近似的な慣性モーメントInは,

In=

n i=1

mi|xi|2=

n i=1

ρ∆x∆y·(x2i +yi2) (8.20)

となる.その極限n→ ∞をとるのだという気持ちを忘れずに,積分への書き換えp46 を行うと,

I=

∫∫

A

ρ(x2+y2)dxdy (8.21)

という積分公式が得られる.Aは長方形に含まれる座標点の集合,

A={(x, y)| −a/2≤x≤a/2, −b/2≤y≤b/2} (8.22) である.位置ベクトルの原点は重心であり,長方形の重心は中点であることに注意せよ.

さて,Aの全点を通過するような積分経路は,例えば,∫∫

A=∫b/2

b/2

( ∫a/2

a/2dx )

dy という2重積分で実現できる.さっそく実行すると,

I=

∫∫

A

ρ(x2+y2)dxdy=

b/2

b/2

( ∫ a/2

a/2

ρ(x2+y2)dx )

dy

=ρ

b/2

b/2

(a3 12+y2a

) dy=ρ

(a3 12b+ b3

12a )

=M ab

(a3 12b+b3

12a )

=M

12(a2+b2) (8.23) となり,表8.1の(b)の公式が得られる.

(a)細い棒の慣性モーメント (b)の長方形において,幅a=l,高さb= 0を代入 すると,(a)の公式が得られる.

(c) 直方体の慣性モーメント 表8.1の直方体の高さcを,0まで圧縮すると,(b) と同じ形状の長方形が得られる.そうみなしたときの面密度を調べてみる.まず,直方 体の3次元の密度はρ=M/(abc)である.この密度が高さcに渡って均等に分布し ているから,高さcを0に圧縮したときの面密度は,cM /(abc) =˙ M/(ab)となり,

「(b)直方体」の面密度に一致する.形状が同じで,面密度も等しいので,(b)と(c) の公式は同じになる.

その他の公式については,5.2節p45での重心の導出を参考にしながら,各自試み られたい.

C8

力学法則

8.3

p83の証明

離散剛体のときは,(8.17)p80の総和を,部品ごとにグルーピングすることが「分 割」である.例えば,質点数N = 7,分割数m= 3のとき,

I= (m1|x1|2+m5|x5|5)

| {z }

部品I1

+ (m3|x3|2+m4|x4|2+m7|x7|2)

| {z }

部品I2

+ (m6|x6|2)

| {z }

部品I3

のような任意の分割が確かに可能である.連続剛体のときも,質点近似のために分割し た小片を,再度グルーピングするようにして同様に証明できる.

9

運動量の保存則

運動方程式を解かずに,運動の性質を調べる方法が2つある.1つが「運動量の保 存則」,もう1つが「エネルギーの保存則」である.ここでは,外力が0のときに使 える前者について学ぶ.(後者は次章で学ぶ)

9.1 運動量と角運動量

力学でいう「保存」とは「時間変化しない」という意味である.したがって,保存 量の見つけ方としては,時間微分が(☆).

= 0となるような ☆ を探しまくればよい.

9.1.1 運動量の保存

外力を受けない質点の運動x=Oについて,(☆).

= 0となるような ☆ を探し てみる.これは簡単で,両辺をmで割り,

¨ x= ( ˙x).

=O (9.1)

と変形すれば,☆= ˙xが見つかる.すなわち,

外力を受けない質点は,その速度を保存する.

となり,これはニュートンの第1法則p60そのものだ.

次に,2質点系を考える.外力はないが,内力はあってよいとする.

m1x¨1=f, m2x¨2=f (f は内力) (9.2) 内力f,−f があるので,もはや単独では= 0にできない.そこで,7.3.2節p73な どで散々やったように,両辺を総和すると,m1x¨1+m2x¨2=Oとなる.この条件か ら(☆).

= 0となるような ☆ を探すと,

m1x¨1+m2x¨2= (m1x˙1+m2x˙2

| {z }

).

=O

のようなものが見つかる.この量P :=☆=m1x˙1+m2x˙2 を,質点系の全運動量 (total momentum),各pi :=mix˙i を運動量という.N 質点系でも同様に考えて,

次の法則を得る.

力学法則9.1 (運動量の保存則) 外力を受けないN 質点系の全運動量,

P :=

N i=1

pi =

N i=1

mix˙i (9.3)

は保存する(時間変化しない).

例題9.1 (弾速測定器— Step 1) 質量m1,速度v1の弾丸を,天井から紐で釣って静

止(v2 = 0)させた質量m2の緩衝材の重心めがけて打ち込む.

着弾直後に,弾丸と一体となった緩衝材の速度v2を求めよ.

9.1.2 角運動量の保存

2質点系(9.2)の両辺のトルクをとり,

m1x1x¨1=x1f, m2x2x¨2=−x2f

両辺を総和すると,力学法則8.1p78が効いて,m1x1x¨1+m2x2x¨2 =Oとな る.これから(☆).

= 0となるような ☆ を取り出すと,算法8.2p79より,

m1x1x¨1+m2x2x¨2= (m| 1x1x˙1{z+m2x2x˙2}

).

=O

となる.この保存量,

L:=☆=m1x1x˙1+m2x2x˙2 =x1p1+x2p2

を,質点系の(重心まわりの)全角運動量(total angular momentum)という.各 li:=xi∧(mix˙i) =xipi を角運動量という.N 質点系でも同様に考えて,次の法 則を得る.

ドキュメント内 2017年版PDF (ページ 91-97)