第 5 章 形態素習得
6.3. 英文理解に関する調査と結果の分析 ―H 小学校の場合 ・・・・・・・・108
6.3.2. 調査結果とその分析
本調査では、聞こえる英語をカタカナ表記して評価する方法なので正確な解答では ないかもしれないが、句・文の単位で聞きとり、意味理解できていると判別できるも のを評価している。概ね聞き取りができ意味理解もできていれば評価 4、語や句の重 要な部分を捉えていれば評価3とし、英文の中の1~2語や1つの句を聞き取り意味 理解ができていれば評価2、全く解答なしか誤答の場合は評価1 としている。児童の 解答③の「ワッツ カラー デゥ ユー ライク」、「あなたは何色がすきですか」は 評価4に、⑦「ワッ デュ ユ スタディ- オン マンデ」、「月曜のじかんわりは 何がすき?」と聞き取りはほぼ評価4であるが、動詞の意味が違うので総合的に評価 3 とし、⑲「ノー アイ キャンツ ピアノ」、「私はピアノがきらいです」は、一部 可として評価2、理解不可能や無解答を評価1として集計したものが下のグラフであ る。なお、グラフの縦軸は児童数38名、横軸は問題1~20である。
評価値4~1の内容については、上記に記述している。
なお、問題20問の聞き取りと意味理解の総合評価の状況は、次の通りである。
0 5 10 15 20 25 30 35 40
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
4 3 2 1
図6-11 英文理解の評価表
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問題番号 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 評価4 33 34 22 29 25 31 15 10 14 3
3 3 3 4 3 4 1 6 14 8 30
2 1 0 6 4 3 4 6 7 3 2
1 1 1 6 2 6 2 11 7 13 3
(単位:人数)
問題番号 ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ 評価4 17 17 28 28 1 29 23 30 17 7
3 3 5 4 4 9 2 10 2 12 5
2 6 6 3 3 9 6 2 4 7 16
1 12 10 3 3 19 1 3 2 2 10
(単位:人数)
さらに、本調査文の聞き取りと意味理解を別々に評価したものが次の表である。
問題文 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 評価4 36 35 33 35 35 36 31 26 25 4
3 1 2 1 1 0 1 2 9 3 32
2 0 0 0 1 0 0 2 0 0 1
1 1 1 4 1 3 1 3 3 10 1
(単位:人数)
問題文 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 評価4 34 36 23 30 27 32 17 11 16 30
3 3 2 4 3 4 1 5 13 6 4
2 1 0 6 4 3 4 5 9 3 1
1 0 0 5 1 4 1 11 5 13 3
(単位:人数) 表6-13 問題別聞き取り、意味理解の総合評価
表6-14 問題別聞き取り調査1
表6-15 問題別意味理解調査Ⅰ
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問題文 ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ 評価4 34 26 30 32 6 37 35 37 22 15
3 2 0 5 4 12 0 1 0 8 15
2 0 7 1 0 11 0 0 0 7 1
1 2 5 2 2 9 1 2 1 1 7
(単位:人数)
問題文 ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ 評価4 17 17 32 30 2 29 23 30 25 7
3 3 5 2 3 11 2 10 2 9 5
2 6 6 2 3 8 7 3 5 3 16
1 12 10 2 2 17 0 2 1 1 10
(単位:人数) 全体的にみると、80%前後の児童が理解している文は、① I like apples. ② I don’t like spiders. ④ I like red and blue. ⑥ I like triangles. ⑬ When is your birthday? ⑭ My birthday is June twelfth. ⑯ Can you play soccer? ⑱ Can
you play the piano? の8つの文である。これらの文は、当然理解できない児童が非
常に少なく、内容的にも児童には分かりやすい文であったようだ。どの文も新出事項 の学習時に聞き取り・発話の練習をし、典型的な文として児童の記憶に残りやすかっ た内容と考える。どの文も単文で短く、単語も馴染みがあり、学習中の発話練習で多 くの児童が記憶できたものであろう。I like ~ という文はよく聞き取り理解できてい る構文である。⑬、⑭ の文も「あなたの誕生日はいつですか」、「私の誕生日は~」と いう英語表現を6年生の5月中旬から6月中旬にかけて何度も練習し、よく記憶して いるようで、文理解もよくできている。
聞き取りは 80%以上できていて意味理解が 70%程度と若干不十分な文が、③ What color do you like? ⑤ What shape do you like? ⑯ Can you play soccer? ⑰ Yes, I can. I can play soccer. の 4 つの文である。⑦ What do you study on Monday? や⑪ How many giraffes? の聞き取りは31名以上できても意味理解は17 名程度と非常に少ない場合もあった。児童は、WhやHで始まる疑問詞疑問文の聞き 取りはかなり出来ても意味理解は未だ十分にできていないようであった。
聞き取りは不十分であるが意味理解は概ねできている文が、⑩ I’d like milk and pizza.の文である。これは、敬体の丁寧語で日本語表記すれば、”I like ~.” も “I ‘d like
~.” もほぼ同じような「好きです」という丁寧な表現になるので正答が多くなってい る。
表6-16 問題別聞き取り調査Ⅱ
表6-17 問題別意味理解調査Ⅱ
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名詞の複数形の間違いや前置詞の脱落は文の大意に大きく影響しなければ理解でき ていると捉えて評価している。聞取りも意味理解もかなり出来ている①,②,④,⑥ の文は、5 年の単元「好きなものを伝えよう」や「友達にインタヴューしよう」で学 習した英文であり、児童もよく記憶しているようである。また、⑭、⑯、⑱は、6 年 の単元であるが、1学期に「友達の誕生日を調べよう」や「できることを紹介しよう」
で学習し、児童が興味を持ち会話練習もよくしていた内容である。これらの文は、各 単元の典型的な英語表現で、児童にとっても興味・関心があり、理解しやすく記憶し 易いものであると考える。
これに対して、評価4の児童が1桁の英文は、⑩ I’d like milk and pizza. ⑮ In Australia, Christmas is in December in summer. ⑳ I can help my friends. であ った。⑩は、”I’d like ~ “ の聞き取りが難しい文であったが、評価3の児童が30名 もいて、児童は本問題の意味をある程度理解できていると考える。問⑮は、授業中も 丁寧に指導を受けたものではなく英語音声を聞き、意味を知り、日本との違いに興味 関心をもつ程度の経験をした内容である。挿絵をヒントに学習したことを想起する児 童もいるかも知れないが、何よりも児童にとっては長文で、英語を聞き取りカタカナ 表記をするとともに、続けて意味を日本語で表記する作業は、児童には負担が大きか ったかも知れない。問⑳は、動詞 help の意味が分からなかったようで、解答できて いた児童が 11 名(29%)であった。文全体の日本語表記になると、文意が伝わる書 き方ができた児童が7名、ある程度理解できる児童が5名の計12名(32%)であっ た。動詞は、1つでも理解できないと、文の意味を理解することは困難になる。