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英語音韻習得の状況

第 4 章 英語音声・音韻習得

4.4. 英語音韻習得の状況

日本語は、特殊音素を除くと全て開音節、つまりモーラ(拍)という単位であり、

モーラは日本語の基本的単位で時間的長さを表すものである。英語は音節という「聞 こえ」に基づいた単位で、実際にはモーラのようなきちんとした単位にはなっていな い点が習得を難しくしている点である。

川越いつえ(1999:99)は、音声の長さの単位として音節と拍について次のように 説明している。

例えば、「ロンドン」をいくつかに区切る時、英語話者は London /lʌn.dən/ と 2 つに区切るが、日本語話者は /ro. ɴ.do. ɴ/ と4つに区切る。英語話者は音節を単位と して句切り、日本語話者は拍(mora)という単位で区切る。音節は、母音を中心とし た音の集合で発音上の単位である。日本語の区切りでは、/ro. ɴ.do. ɴ/ の下線部には母 音がない。日本語で長さの単位となるものを拍という。日本語で1拍と数える単位に は、a. (子音)+母音 例)/ka/(蚊)/e/(絵)/kjo/(虚) b. 促音 /kokko/ (国 庫) c. 撥音 /koɴbaɴ/ (今晩) d. 長母音、二重母音(まま)の第二要素 /boo/

(棒)/ai/(愛) の4種がある。

日本語は、発音の単位であるモーラをもとに、特殊拍(まま)を除く単語の最後の 音は、母音で終わる開音節である。英語は、母音の前にも後にも子音若しくは連結子 音が連なることがあり、子音で終わる閉音節が多い。

なお、上記の二重母音は連母音のことであり、特殊拍は特殊音素のことである。

文字を使わずに音声による学習を進めている小学校外国語活動では、音節に関する 特別な説明はないが、ALTやDVDの音声を真似する事により、自然に英語の閉音節 が身についている児童が少なからずいる。

さらに、英語の二重母音や子音連結など、日本語にはない音をどのように発話する か、その実態を把握したいと思い本調査に取り組んだ。

加えて、川越いつえ(1999:87)は、英語と借用語の音節について以下のように述

67 べている。

例えば、英語の “dress” が日本語に借用されると「ドレス」となる。dress / drɛs/ と ドレス/doresu/ は似ているが、音のつながり方が違う。英語では /dr/ で始まるが、

日本語ではdrの間に母音 /o/ が入る。英語では /s/ で終わるが、日本語では /su/ と 母音/u/ が入る。母音をV、子音を Cで表すと両者は次のようになる。下線を引いた 音が日本語に借用されたために挿入された音である。

英 語 dress / drɛs/ C CVC 日本語 ドレス /doresu/ CV CV CV

日本語の方は子音と母音が交互に並んでいるが、英語では子音が連続し、しかも子 音で終わっている。日本語話者に「ドレス」を区切って発音するように頼めば、「ド.

レ.ス」と3つに区切る。これを子音と母音で見ると、CV. CV. CVで区切られている。

どの句切りも子音+母音(CV)の単位である。日本語話者は決して /dor・esu/ のよ うに区切ることはない。日本語では子音+母音(CV)が基本の単位で、これが集まっ て単語を作る。一方、英語話者にdress / drɛs/ を区切って発音するように頼んでも、

できないと言われる。CCVCが1つのまとまりで、これを/ d.rɛ.s/ のように区切るこ とはできない。英語ではCVCが基本で、さらに、/dr/ のような子音の連続 (CC) を もつことができる。単語の集合で作る、単音より大きな単位を音節(syllable)と呼 ぶ。音節は発音の際の基本単位である。CV型の音節を開音節、CVC型の音節を閉音 節と呼ぶ。

また、白畑知彦(2010 : 2)は、著書の中で、母語からの転移として音声の領域で 説明している。

英語の基本的な音節構造はCVC、つまり、語の最後が子音で終わる閉音節構造なの が一般的である。また、たとえばCCVCC(例:stand /stænd/ )といったように、2 つ以上の子音が連続する子音連結も可能である。一方、日本語は、語の最後が母音で 終わるCVと言う開音節構造が基本である。そして、若干の例外を除けば、子音連結 はないと考えてよい。このような日英語の音韻構造の違いから、日本語を母語とする 英語学習者の中には、たとえば、street /striːt/ という単語を発音する際、/sutoriito/ と いった具合に、各子音の後ろに余分に母音を付加して発音してしまう人がいる。この 原因は、おそらく開音節構造が基本である日本語の音節構造からの転移ではないかと 考えられる。

さらに、鹿島 央は、「日本語教師を目指す人のための基礎から学ぶ音声学」(2002:

85)の中で、日本語の音節の構造や音韻的な音節について、次のように説明している。

68 先ず、音節の構造について、

①[hæm] (英 語) ⇒ CVC

[hamɯ] (日本語) ⇒ CV・CV

②[sɑks] (英 語) ⇒ CVCC

[sokkusɯ] (日本語) ⇒ CVC・CV・CV

③[stæmp] (英 語) ⇒ CCVCC

[sɯtampɯ] (日本語) ⇒ CV・CVC・CV

④[stouv] (英 語) ⇒ CCVCC

[sɯtoːbɯ] (日本語) ⇒ CV・CVV・CV

日本語では一つの音節が、(C)V, (C)VV, CVNと簡単な構造であり、その数も少ない ということと、CVC、CVVの音節は特殊音(まま)を含むもので、特殊音は単独で音 声的な音節にはならない。一方英語では、CVC、CVCC、CCVCCとなかなか複雑な構 造になっている。このように単音の連続が一つの切れ目のない音節を形成している時、

言語により音節構造に、共通の音節と異なる音節があることになる。日本語でCVの 連続である[jo・ko・ha・ma]などを英語話者が[jok・ham]のようにCVCの組み合 わせで発音する傾向があるのは、その方が英語話者にとっては音節構造の点から自然 であるということになる。逆に、英語の例えば[print]については、日本語では音節 の初めと終わりに子音が連続することは許されないので[pɯ・rin・to]のようになる。

随分発音は違ってくる。(なお、特殊音とは特殊音素のことである。)

児童の母語である日本語と英語の音節やモーラについて、児童は一切の説明を受け る訳ではなく、指導する側の担任もALT も特段の意識をせずに授業を展開している。

ALT や電子黒板のDVDの英語を聞いて真似をするだけの児童に、英語の音韻習得が どの程度であるのか調査していくことにした。

4.4.1. 本研究の目的・内容・方法

本研究の目的は、次のように考える。英語音韻で、日本語と明らかな相違があるの は、英語閉音節や二重母音、子音連結などである。児童への発音に関する詳細な説明 はないが、英語音声をしっかりと聞き、日英語の音韻上の違いに気付き、真似をする ことで、どの程度発音できているか調査部分析し、実態把握をすることを目的とする。

調査内容は、M小学校6年生の学年末に音声調査をした20語から、閉音節9語14 項目、二重母音4語4項目、子音連結5語7項目を抽出して調べる。

閉音節に関する調査・・・・elephant, game, ride a unicycle, convenience store, France, get up, go to bed, study at school, eat lunch 二重母音に関する調査語彙・・・・game, play, station, go

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子音連結に関する調査語彙・・・・store, grandfather, France, study, school

調査方法としては、上記の語を音声収録したものを、ALTの音声と比較し、各調査 項目が正答は○、誤答は×、解答なしはレと評価し、分析する。なお、調査対象児童 は、M小学校6年生1学級30名である。

4.5. 音韻調査の結果と分析