以下の条件で見積もりを作成して1haあたりの歩掛(単価)を求めた。見積もりに際し人 件費は「平成22年度設計業務委託等技術者単価」の設計業務の人件費を適用した。諸経費は 直接人件費の 120%を計上し、技術経費として直接人件費+諸経費の 30%を計上した。それ ぞれの見積もり条件は以下のとおり。
① 既往調査成果を利用する場合の見積もり条件 設定した見積もり条件を表 2.1.9に示す。
表 2.1.9 既往調査成果利用の見積もり条件
No. 項目 条件
1 資料収集 既往調査成果の収集確認 2 GIS入力 既往成果によるGISデータ更新
1)対象面積:2.5k㎡
(沿岸方向10km・岸沖方向0.25km)あたりの数量 2)調査水深:約5m以浅
② 写真判読の見積もり条件
設定した見積もり条件を表 2.1.10に示す。
表 2.1.10 写真判読の見積もり条件
No. 項目 条件
1 資料収集 空中写真収集・簡易モザイク作成 2 写真判読 判読から原稿図作成まで
1)対象面積:2.5k㎡
(沿岸方向10km・岸沖方向0.25km)あたりの数量 2)調査水深:約5m以浅
第4回調査 藻場分布全 体の面積
201,212ha
第4回調査 アマモ面積 49,464ha 第4回調査 アマモ以外 の面積
151,748ha
写真判読(6割) 29,678ha 現地調査(4割) 19,786ha 判読する
49,464ha
判読する
151,748ha 写真判読(1割) 15,175ha 現地調査(9割) 136,573ha 第4回調査 今後の情報更新(面積は第4回調査の面積をもとに換算)
3 GIS入力 原稿図入力からGISデータ入力まで 4 空中写真等
(材料費)
カラー密着焼、縮尺1:10000
1枚あたり1.84 km × 0.55%(オーバーラップ分) = 1.0km 対象面積:2.5km2(沿岸方向10km・岸沖方向0.25km)当たりの数量
③ 現地調査の見積もり条件
設定した見積もり条件を表 2.1.11に示す。
表 2.1.11 現地調査の見積もり条件
No. 項目 条件
1 現地調査 1)調査方法:スポット法(潜水士による目視観察・写真撮影)
2)調査面積:2.5km2(沿岸方向10km・岸沖方向0.25km)当たりの数量
3)調査地点:沿岸方向250m、岸沖方向250mに各1地点、合計82地点 4)調査水深:0~20m
2 資料整理 現地データ整理から原稿図記入まで 3 GIS入力 原稿図入力からGISデータ入力まで
④ 単価表
上記の見積もり条件による藻場分布域250haあたりの見積額と、単位面積(藻場分布1ha)
あたりの単価を表 2.1.12に示す。
表 2.1.12 藻場情報更新単価表
作業種別 既往成果利用 写真判読 現地調査
藻場分布250haあたり見積(円) 319,000 678,000 4,349,000
藻場分布1haあたり単価(円) 1,276 2,712 17,396
4) 概算見積りのまとめ
更新フローを適用して、第4回・第5回基礎調査における全国の藻場分布情報を更新する 場合の概算調査費用は以下のとおりとなる。
○対象
①砂泥域に生育する代表的な藻場としてアマモ類(海草)を対象(水深5m以浅)
②岩礁域に生育する藻場としてガラモ場、カジメ類、コンブ類を対象(水深0~20m)
○調査・解析方法
検討した更新フローに基づいて実施。解析方法の比率は以下のとおりとする。
①写真等判読6:現地調査4(写真の比率は衛星画像2:空中写真8)
②写真等判読1:現地調査9(写真は空中写真のみ)
○概算見積もり
直近の基礎調査更新に適用可能な既往調査のデータを利用した場合のフローにおける、藻 場分布情報の調査手法別の面積比率は図 2.1.12に整理したとおりである。この面積をもとに 単価を掛け合わせてそれぞれ金額を積算すると以下のようになる。まずアマモ分布で水産庁
成果を利用できる部分については、面積が16,500haで単価が1,276円なので21,054,000円と なる。アマモ分布で写真判読がきる部分は、面積が 19,778ha で単価 2,712 円であるから 53,637,936円となり、現地調査については面積が13,186haで単価17,396円なので229,383,656 円となる。同様に、アマモ以外の箇所についてもそれぞれ積算すると、水産庁成果利用は面 積17,029ha、単価1,276 円から 21,729,004円、写真判読は面積13,472ha、単価 2,712 円から 36,536,064円、現地調査は面積121,247ha、単価17,396 円から2,109,212,812円となる。この 金額を合計すると、全国の藻場分布情報の更新経費は概算で2,471,553,472円となる。
一方、既往調査成果を利用しない場合の更新経費は、図 2.1.13に整理した面積比率と単価 表から、アマモ分布で写真判読が可能な箇所が面積 29,678ha、単価 2,712 円から 80,486,736 円、現地調査は面積19,786ha、単価 17,396 円から344,197,256円であり、アマモ分布以外に ついては、写真判読面積15,175ha、単価2,712円から41,154,600円、現地調査面積136,573ha、
単価17,396円から2,375,823,908円となる。この金額を合計すると、全国の藻場分布情報の更
新経費は概算で2,841,662,500円となる。
上記は全国の藻場分布情報を対象としているが、地域を分割して更新を行う場合はそれぞ れの面積を推定することで、同様に概算の積算を実施することが可能となる。なお、参考と して、1/25,000 地形図 1 面あたりの面積でいくらになるか試算してみた。この場合の作業量 は、地形図の1辺は約10kmなので、沿岸方向10kmで岸沖方向0.25kmあたりの数量となり、
2.5k ㎡(=250ha)となる。地形図上に海岸線が直線で横切っているとして、海岸線から岸沖
0.25km の範囲すべてに藻場が分布しているような状態があるとした場合の概算見積額とい
うことになるが、アマモとアマモ以外の比率は第4回基礎調査の調査結果による比率を適用 すると、アマモが61haでアマモ以外は189haが存在していることになる。既往調査のデータ を利用しない場合を想定すると、この面積と単価から、アマモの写真判読面積37haで99,259 円、現地調査面積24haで424,462円であり、アマモ以外の写真判読面積19haで51,257円、
現地調査面積170haで2,959,060円となる。したがって、1/25,000地形図1面あたりの既往調 査のデータを利用しない場合における藻場分布情報の更新費用概算額は、3,534,038円となる。
(6) 検討結果のまとめ
第 4 回・5 回調査の藻場分布情報を全国的に更新するために実施可能な手法を検討した。以 下に検討結果をまとめる。
y 第4回・5回調査のデータ内容確認
x 第4回・5回調査ともに面積1ha以上の藻場が対象であるが、第4回調査は水深20m 以浅を対象としているのに対し、第5回調査では水深10m以浅の現存藻場を対象にし ている点が異なっているため、注意が必要である。
x 調査項目は、第 4 回・5 回調査ともに藻場タイプ、粗密度、面積を調査している。調 査を都道府県委託で実施している点や、資料調査のほかヒアリングや現地調査も実施 している点も同様である。
x 調査結果は第4回調査では1/50,000地形図に整理していたが、第5回調査では、1/25,000 地形図上に整理されている。
y 既往調査成果の利用可能性
x 水産庁が平成18年度から20年度の3ヵ年で実施した藻場資源の長期変遷調査では、
日本全国の自治体や研究機関における既往の調査成果や研究成果を収集しGISで利用 できる形式でデータベース化を行った。また全国6箇所で現地調査も実施した。
x これらの成果の中において、比較的広範囲を調査し、調査結果の藻場分布情報が藻場 タイプなどの情報とともにポリゴン情報としてGIS化されている成果については利用 可能性が高いと判断された。調査対象がアマモに限定されているものの広範囲で高精 度な調査を行っているものもあり、アマモに限るが、更新情報として利用できる。
x ただし、これらの成果は調査方法が航空写真判読、現地調査、両者の併用などさまざ まであり、利用に当たっては調査精度の違いを考慮しておく必要がある。
x また、調査範囲は狭いが、全国6 箇所で実施された現地調査の成果は高精度な調査が 実施されており、今後の基礎調査の参考になる。
x 成果の二次利用については、調査を実施した機関や、水産庁、および水産庁から委託 をうけてデータベース化を実施した財団法人海洋生物環境研究所に対して、利用の制 限や再配布の制限について確認の上、必要な手続きをとることにより利用が可能にな ると考えられる。
y 更新手法の検討
x 既往調査成果を利用可能なものは利用し、利用できない箇所は航空写真や衛星画像に よる判読を行い、判読が出来ない箇所は現地調査を行う、段階的な調査フローの採用 により効率的な情報更新が可能となる。
x また、情報更新に利用可能な既往調査成果が無い場合のフローとして、始めから判読 および現地調査を行う調査フローも作成した。
y 概算調査費の算定
x 検討した更新フローにしたがい、既往調査成果を利用する場合、判読および現地調査 については、砂泥域に生育するアマモ類は写真判読が6割程度可能で残り4割が現地 調査、岩礁域に生育する藻場については写真判読が1割程度可能で、残り9割が現地 調査を必要とする前提として概算見積もりを整理した。
x 試算の結果、藻場全体面積の約 1/4 がアマモであり、そのうち約 3割について水産庁 成果が利用可能、残り約7割のうちの約6割が写真判読可能で残り約4割は現地調査 が必要となる。一方、全体の 3/4がアマモ以外であり、このうちの 1 割強は既往成果 が利用可能だが、大部分は既往成果を利用できず現地調査が必要となる。
x 概算調査費は、既往調査成果を利用する場合と、利用しない場合では大きな差がでな かった。これは現地調査にかかるコストが大きいこと、全体として現地調査が必要と 判断される面積が大きいことから、相対的に差がでなかったことによる。
x 従来の基礎調査と整合のとれた調査内容で全国の藻場分布情報を更新するためには、
現地調査を広範囲に実施する必要があり調査費用も膨大なものになる。更新費用見積 もりのなかで現地調査費用が大半を占めることから、調査費を圧縮するためには、ア マモ類に限って写真判読のみで調査を行うなどの対応も視野にいれておく必要がある。