秋田ゾーンは船越から道川漁港までの海岸である。中央には旧雄物川とその南側には雄物 川が流入し、旧雄物川河口を挟む形で秋田港の港湾施設がある。近年は雄物川からの流出土 砂の減少や漁港の防波堤建設による沿岸漂砂の阻止により、局所的な堆積、侵食が生じてい る。
砂浜の背後には能代ゾーンと同様にクロマツの海岸林が続いている。秋田市を中心とした 海岸林は「夕日の松原」といい、延長16kmに及び、林帯幅の最も狭い浜田地区で平均80m、
飯島では平均1.2kmもある。植栽は記録的には1700年代が始まりであるが、多くは明治末~
昭和初期植えられたものである12。近年はマツクイムシによる“松枯れ”が重要な問題とな っている3。
現地踏査によると汀線付近の勾配は船越で1/10とやや急であるが、南に行くにつれて緩く なり雄物川河口周辺では1/20と緩い。
z 防波堤等の建設で波の遮蔽域の形成に伴い砂が移動した
z 広範囲にクロマツの海岸林が続いている
z 前浜側はコウボウムギ、後浜側はハマニンニクが主体
海岸の変化要因は、タイプは1の「防波堤等による周辺域からの砂の移動」とタイプ5「安 定」がある。砂丘植生と海岸林はほぼ全域に発達している。
砂丘植生は、前浜側はコウボウムギ、後浜側はハマニンニクを主体としている。被度は1970 年代では2が多く、2000 年代では2~3が多い。向浜地区については、土地利用の拡大によ り1970年代の砂丘植生の67%程度(26.75ha)がその他に変化している(図 3.7.24)。
12村井宏・石川政幸・遠藤治郎・只木良也:日本の海岸林,ソフトサイエンス社,p513,1992.
面積(ha,%)
3.61 , 9%
26.75 , 67%
9.44 , 24%
1:砂浜 2:砂丘植生 3:海岸林 4:その他
図 3.7.24 1970年代の砂丘植生の遷移・維持状況(向浜地区)
(1970年代砂丘植生だったエリアの2000年代における区分内訳)
① 向浜地区
向浜地区は秋田港から雄物川河口までの延長約5.6kmの海岸である。海岸の変化要因はタ イプ1に該当し、秋田港の建設による港内への砂の移動が原因とされる。汀線は防波堤直近 では若干前進しているが、それ以外では 50~100m 後退し侵食している。土地利用は砂浜や 砂丘植生の減少が多い。
1970年代(1975年)
0 100 200 300 400 500 600
1750 2050 2350 2650 2950 3250 3550 3850 4150 4450 4750 5050 5350 5650
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
1:砂浜 2:砂丘植生 3:海岸林 4:その他
2000年代(2005年)
0 100 200 300 400 500 600
1750 2050 2350 2650 2950 3250 3550 3850 4150 4450 4750 5050 5350 5650
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
図 3.7.25 土地利用の変化(向浜地区中央~北部)
1970 年代汀線 向浜地区 秋田港
雄物川 旧雄物川
雄物川
② 下浜地区
下浜地区は雄物川河口から島式漁港である道川漁港までの延長約 17.6km の海岸である。
海岸の変化要因はタイプ 5に該当する。南端に漁港が建設され防波堤直近に周辺の砂が移動 して堆積している。砂丘植生は汀線が前進した北部で発達している。海岸林は中央部から南 部で減少している。
1970年代(1975年)
0 100 200 300 400 500 600
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 17000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
1:砂浜 2:砂丘植生 3:海岸林 4:その他
2000年代(2005年)
0 100 200 300 400 500 600
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 17000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
図 3.7.26 土地利用の変化(下浜地区南部~中央部)
1970 年代汀線 下浜地区
雄物川 道川漁港
離岸堤群
離岸堤群
道川漁港 雄物川