神林・阿賀野川ゾーンは北から荒川、胎内川、加治川、阿賀野川と多くの河川が流入する、
岩船港から阿賀野川河口までの海岸である。海岸線は岩船港の北側で北東-南西方向に向き を変え、比較的長い砂浜海岸が新潟東港まで続く。新潟東港には長大な防波堤があり、この 防波堤で沿岸漂砂が分断される形となっている。
海岸侵食による砂浜の減少は各地区で起きており、その要因は、岩船港防波堤による南向 きの沿岸漂砂の阻止や波の遮蔽域への砂の移動、ならびに流入河川からの土砂供給量の減少 などさまざまである20。また海岸林の前進など陸域の土地利用の変化に起因した海岸もある21。
藤塚浜地区は海岸侵食が著しく、土塁工の陸側には林帯幅265m のクロマツ林が生育する が、汀線から150m付近までは風の影響を強く受けて樹幹の傾倒が甚だしい。
現地踏査によると汀線付近の勾配は新潟東港から北側で 1/18と緩く、南側では 1/10 とや や急である。底質は灰黄色の細砂で、飛砂が多く砂丘が発達している。砂丘上にはコウボウ ムギやハマヒルガオ等の砂丘植生が多く、砂丘背後から海岸線に沿って走る道路の間には海 岸林が続いている。
z 防波堤による南向きの沿岸漂砂の阻止や波の遮蔽域への砂の移動、ならびに流入河川から の土砂供給量の減少などにより、各地区で海岸侵食が生じている
z 汀線付近の勾配は新潟東港から北側で1/18、南側では1/10とやや急で、底質は灰黄色の細 砂からなる
z 砂丘が発達して砂丘植生が多く、砂丘背後から海岸線に沿って走る道路の間には海岸林が 続いている
海岸の変化要因は、タイプ 3「河川・崖からの供給土砂の減少」と防波堤等による南向き の沿岸漂砂の阻止から、タイプ2「防波堤等による沿岸漂砂の阻止」が複合している。また、
岩船港に隣接する神林地区ではタイプ 1「防波堤等による周辺域からの砂の移動」であり周 辺海岸で著しい侵食が生じている。砂丘植生は、漁港の建設や離岸堤の設置などにより堆積 している区間では拡大が見られる。その他の区間では海岸林の前進と相まって衰退傾向が見 られる。
20宇多高明:日本の海岸侵食,山海堂,p.422,1997.
21宇多高明・黒木利幸・中村利行・柿市勝重:保安林防護と海岸侵食-新潟県北部中村浜の例-,海洋開発論文集,第19巻,pp327-332,
2003.
① 神林地区
神林地区は岩船港から荒川河口までの延長約4.4kmの海岸である。海岸の変化要因はタイ プ1に該当し、岩船港防波堤の建設による港内への砂の移動が原因とされる。汀線は南部で 後退が著しく後退量は50mを越えている。一方、汀線が前進した北部では沿岸方向約1kmに わたって砂丘植生が見られる。海岸林はほぼ全域にあり変化は少ない。
1970年代(1975年)
0 100 200 300 400 500
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
1:砂浜 2:砂丘植生 3:海岸林 4:その他
2000年代(2007年)
0 100 200 300 400 500
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
図 3.7.44 土地利用の変化(神林地区)
1970 年代汀線 神林地区
岩船港
三面川 荒川
荒川 岩船港
② 村松浜地区
村松浜地区は胎内川河口から落堀川河口までの延長約8.2kmの海岸である。海岸の変化要 因はタイプ2と3に該当する。北部では激しい侵食が生じており汀線は最大50m後退してい る。1970年代に全域で見られた砂丘植生は、砂浜の減少と海岸林の前進でその多くが減少し ている。
1970年代(1975年)
0 100 200 300 400
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
1:砂浜 2:砂丘植生 3:海岸林 4:その他
2000年代(2007年)
0 100 200 300 400
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000
沿岸方向距離(m)
占有延長(m)
図 3.7.45 土地利用の変化(村松浜地区)
1970 年代汀線 村松浜地区
新潟東港
落堀川 胎内川 加治川
落堀川 胎内川