第 6 章 継続的なまちづくり活動を行っている活動団体の傾向
第 1 節 調査の目的と調査概要 1. 事例調査からみた団体の特徴
これまで地域住民による活動事例として第1部の新潟県村上市の取り組みをはじめ、第 2部の村上を含めた 17 の事例について、各事例について特徴を捉え継続的な活動の要因 や今後の課題について考察してきた。以下にこれまでの事例調査の結果から 1) 地域コミュ ニティ、2) 運営方法、3) コアメンバーの特徴、4) 連携、5) 継続への取り組みについて多 くの事例で見られた特徴を示す。
1) 地域コミュニティの状況
各組織の形成において基盤となるコミュニティや既存の活動があり、これらが活動を継 続させる要因のひとつとなっていることがわかった。
2) 運営方法について
ほとんどの事例でメンバーが個々の能力を生かしながら役割を担いながら組織や活動の 運営に取り組んでいる状況であった。活動の規模や集客数の拡大を目指すのではなく、継 続させるためにむしろ現状を維持し、リピーターの増加やイベントの質の向上を目指した 取り組みが行われていた。組織のメンバーや参加住民に対する負担の軽減、モチベーショ ンの維持が図られているなど、継続のための組織的努力を行っている。
3) コアメンバーについて
多くの事例で 50 〜 60 代が中心となり活動に取り組んでいる状況であった。一方で、地 元や他地域から移住してきた 30 代を中心とした若い世代が参加する組織も少数であるが 見ることができた。
4) 連携について
他の組織との連携は、多くの事例で当該地域における活動に重点が置かれており、他の 地域や団体との連携についてはあまりみられなかった。行政との連携については多くの事 例で確認できたが、互いのニーズを把握し、良好な連携方法を模索していくことで、さら なる可能性を見出せるのではないかと考えらえる。
5) 継続のため取り組みについて
次の世代へ組織や活動を継承していくことが課題となっている中で、空き家活用などの 方策により、若者を中心とした他の地域からの移住者と地域住民によって既存の文化を継 承しながら組織が新たに更新されている事例もあり、I ターンや U ターン者による継続的 なまちづくりの新たな可能性を見ることができた。
2. 調査の目的
本章では、第 1 部、第 2 部の事例調査の結果を踏まえ調査項目を設定し、各地で継続的 な活動を行っている団体を対象にアンケート調査を実施した。本章では、各地で継続的な 活動を行っている団体について、組織の運営方法や活動の現状を捉え、国内における活動 組織の傾向を把握することを目的とする。
調査の目的は以下の 4 項目にまとめられる。
1) 団体の運営方法
団体の組織運営の特徴を捉え、継続的な活動の背景と実態について検証する。
2) コアメンバーの状況
活動を牽引するコアメンバーの特徴を捉え、継続的な取り組みについて検証する。
3) 活動地域との関係性
団体が活動を行っている地域との関係性に着目し、地域にある様々な資産の活用状況や 地域住民との関わり方について調査し、活動の発生と継続との関わりを検証する。
4) 発展・展開
行政や他の団体、他の地域との連携について把握し、今後活動を継続していくためにど のように展開しようとしているのか、現状を把握する。
1) から 4) について調査結果をまとめ、これまで活動を成功させてきた団体の特徴を明 らかにし、今後の活動の展開から活動団体の継続的な活動の方向性について考察する。
3. 調査概要
調査の実施概要について表 6-1 に示す。本章の調査では、継続的な取り組みが行われて いる代表的な事例について調査を行うため、公的機関からある一定の評価を得ている団体 を対象とした注 1)。また、アンケート調査を実施するにあたり、調査対象の数を確保できる こと、団体の名称や所在、連絡先等が確認できることを条件とし、以下の2つを対象とし た。総務省主催のふるさとづくり大賞1), 注 2)、国土交通省主催の地域づくり表彰2), 注 3)を受
賞した活動団体 459 件注 4)である。このうち調査協力の了承が得られた 226 件注 5)にアンケー ト調査を依頼し、アンケート用紙を郵送もしくはメールにて配布し、177 件の回答が得ら れた。回答率は8割弱(78.31%)であった。なお、調査を行った 177 の団体については 資料編(表 6-3)に示す。
アンケート調査の項目は表 6-2 に示しが、アンケート調査票は資料編に示している。主 な調査項目は以下の7項目である。
1) 団体の概要について
団体の基本的な概要を捉えるため、団体の所在地や組織形態、活動年数などについて調 査を行った。活動年数については年数による違いについて検証を行うため、10 年未満につ いては最近の活動の状況を把握することを目的として 3 年未満、3 年以上5年未満、5 年 以上 10 年未満と期間を区切っている。
2) 団体の活動について
団体がどのような分野で活動しているか把握し、活動のスタイルや活動頻度について調 査を行った。活動分野については、今回対象とした賞の趣旨からまちづくり等の活動を行っ ている団体が多いことは想定できるが、実際の活動分野について明らかにする。なお活動 分野については、特定非営利活動法人の定款4)にある活動分野を参考に作成した。各団体 が自分たちが取り組んでいる活動に関連する情報や参考としている事項の情報源について も調査項目に加えた。
3) 構成員、コアメンバー
活動を行っている構成員の特徴を捉えるため、年代等の属性や活動開始時からのメン バー構成の変遷などについて調査を行う。第 1 部、第 2 部の事例調査では調査対象の多く が 60 代を中心としたコアメンバーの取り組みであったが、年代による取り組みの違いな どについても明らかににしていく。
4) 団体の運営方法について
団体の運営方法を把握するため、役割分担の状況や情報発信の方法などについて調査を 行った。第 1 部、第 2 部の事例調査の結果から、役割分担についてはメンバーの負担軽減 や個々の能力を生かした得意分野での参加が活動の継続の要因となっているのではないか と考えており、第 3 部の調査でもその実態について調査を行う。メンバーの多くが他の仕
対象
総務省主催のふるさとづくり大賞、国土交通省主催の地域づくり表彰を受賞 した個人・団体のうち、行政149件、研究機関11件を除外した活動団体459件。
このうちアンケート調査への協力について了承が得られた活動団体を対象と した。
実施日 2016 年 6 月初旬〜 9 月末
件数 226 件 回答数 177 件(回答率 78.31%)
実施方法 配布:対象者に郵送もしくはメールにて送付 回収:郵送もしくはメールにて返信
表 6-1 実施概要
事に従事しながら活動に取り組んでいる状況を鑑み、団体の活動拠点や活動費用の財源な どについて調査を行う。
5) 地域にある地域資源・資産・文化の活用状況について
第 1 部、第 2 部の事例調査の結果、多くの事例で活動地域における地域資源を活用した 取り組みが行われていたが、古い街並みなどの景観や人材など様々であった。地域資源の 活用状況や地域コミュニティとの連携について調査を行う。
6) 地域住民、地域内外の団体および行政との連携・協働の状況
団体の活動に対する地域住民への理解や活動への参加状況など、地域住民との関わり方 について調査を行った。第 1 部、第 2 部の事例調査では特にイベント等の活動では地域住 民を巻き込みながら取り組んでいる状況であったが、第 3 部の調査においても地域住民の 参加状況について調査を行う。また地域内、地域外の団体や行政との連携状況について把 握し今後、連携先として考えている団体について調査を行う。
7) 今後の活動について
今後、団体が活動を継続していくための取り組みや改善点について調査を行った。第 1 部、
第 2 部の事例調査ではメンバーの高齢化による活動の担い手不足などが聞かれた。第 3 部 の調査の対象団体の状況について把握し、今後の展開について検証を行う。
調 査 項 目 回答方式 質問 1 はじめに、貴団体の概要についてご記入ください。
1 団体名称 記述
2 団体の所在地 記述
3 主に活動をしている地域について 単一選択・記述
4 問 3 の主に活動をしている地域の範囲について 単一選択
5 団体の形態 単一選択・記述
6 団体の設立年 記述
7 活動年数 単一選択・記述
8 組織形成において母体となった団体について 単一選択・記述
質問 2 貴団体の活動について教えて下さい。
9 活動分野 複数選択・記述
10 活動スタイル 複数選択・記述
11 活動頻度 単一選択・記述
12 活動に必要な情報はどのようにして得ているか 複数選択・記述
質問 3 貴団体の構成員、コアメンバーについて教えて下さい。
13 構成員の人数 単一選択
14 設立時と比べて、構成員の人数の増減について 5 段階評価
15 コアメンバーはいるか。 ※ 2) いない→問 24 へ 単一選択 16 コアメンバーの人数について ※問 15 で 1) いる と回答された方のみ 単一選択
17 コアメンバーの男女比について 単一選択
18 コアメンバーの年齢層について 複数選択
19 コアメンバーのうち、特に人数の多い年齢層について 複数選択
20 コアメンバーの U ターン者の有無 単一選択
21 コアメンバーの I ターン者の有無 単一選択
22 設立時と比べ、コアメンバーの人数に増減について 5 段階評価
23 設立時のコアメンバーで、現在もコアメンバーとして活動してる方はどの程度いるか 質問 4 団体の運営方法について教えて下さい。
24 団体を運営する上で役割分担の有無 ※ 2) していない→問 26 へ 単一選択 25 どのような役割がありますか ※問 24 で 1) している と回答された方のみ
26 定例会や会議を行っているか。行っている場合はその頻度について 単一選択・記述 27 活動運営費はどこから得ていますか
28 貴団体の主な活動拠点(日常的な会議、業務、練習などを行っている場所)はありますか 29 活動の情報発信の方法について、どのような媒体
30 情報発信を行う際、重要視している点
質問 5 活動している地域にある地域資源・資産・文化の活用状況を教えて下さい。
31 活動している地域にある資源・資産について、活用していますか。 複数選択 32 活動地域の既存のコミュニティから協力や支援を受けていますか。 複数選択 33 問 32 について、それはどのような協力や支援ですか
質問 6 地域住民、地域内外の団体および行政との連携・協働の状況について教えて下さい。
34 地域住民に対し、どのような方法で貴団体の活動への理解や協力を得ていますか 35 貴団体の活動に構成員以外の地域住民が参加していますか
36 貴団体が、これまで協働で活動をしたことがある団体はありますか 37 今後どのような団体との連携・協働が重要だと思いますか
38 これまで行政からどのような協力や支援を受けてきましたか ※行政以外 39 今後、行政による協力や支援において、特に求めることは何 ※行政以外 質問 7 今後の活動に関する質問です。
40 今後も活動を継続するために重点的に改善していきたい項目
表 6-2 調査項目