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3 医療分野への集積化センサの応用手法の検討

3.5 評価

製作を行ったセンサ実装型内視鏡フードの評価を行った。特性評価を行った実験系の概略 図を図 3.8に示す。評価を行った項目は,圧力特性,光に対する応答,温度依存性の補償,

耐酸性の4点である。

図 3.8 評価実験系

まず,圧力の応答特性について,評価を行った結果を,図 3.9 に示す。圧力分解能は

0.8mmHgであり,目標である1mmHgを満たす結果となった。

図 3.9圧力に対するセンサ信号の応答

続いて,照度変化に対する耐性評価を行った。今回は遮光膜を形成したセンサチップと,

形成していないセンサチップのそれぞれに対してレーザー光を照射し,その際の出力信号 の応答を取得した。図 3.10は波長532nmおよび 635nmの1mWレーザー光をセンサダ イヤフラムに対して照射した際の,圧力信号の変化を示している。クロム遮光膜を形成する

Pump Applying air pressure Reference

pressure gauge

Measuring circuit signal

heater

Laser

532 & 635nm 5mW/cm2

Pressure chamber

Reference Temperature Sensor

0 10 20 30 40 50 60

0 2 4 6 8 10

Output Signal [mV]

Pressure [mmHg]

Sensitivity:0.06 [mV/mmHg/V]

Resolution:0.8 [mmHg]

58

ことにより,光に起因する誤差が 99.8%以上低減されていることが確認できる。この結果 は,内視鏡光源の照度約2µW/cm2に対して単純比例で計算すれば,圧力誤差0.5mmHg以 下の性能に相当する。

図 3.10 光に対するセンサ信号の応答

続いて,温度補償の検証を行った。図 3.11は,温度変化に対する,メインのセンサ信号お よび温度補償用信号の変化をプロットした結果である。腹腔内の温度は,本来の体温から,

概ね気温程度で送気されるガス温度の幅で変動するため20℃~40℃程度のレンジでの計測 を行った。それぞれの信号が,温度に対して概ね線形に応答していることが確認できる。ま た,補償後信号が温度に対する依存性を低減できていることが確認できる。

図 3.11 温度補償の検証結果

最後に,実際に圧力と温度が両方変化する環境下でのセンサ動作の確認実験を行った。実

験は水温20℃と30℃の水槽に対して,センサパッケージを同一の水深に配置することで温

度変化を与えた。また,水深を制御することで,圧力の印加を行った。図 3.12は,各温度 領域を往復するセンサに対して,7.5mmHg の圧力を3回ずつ印加した結果である。温度,

1.E-07 1.E-06 1.E-05 1.E-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00

0 0.05 0.1 0.15 0.2

Signal Change Ratio

Thickness of Cr Light Shielding [µm]

Theory@532nm Theory@635nm Experiment@532nm Experiment@635nm 10-0

10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7

Signal Change Ratio

-0.25 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00

15 20 25 30 35 40 45

Output Signal [mV]

Temperature [℃]

Compensated signal Vout

Vtemp

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圧力が同時変化する環境化においても,補償後のセンサ信号温度依存性が低減しており,圧 力計測が行えている。

図 3.12 リアルタイムでの温度補償の検証結果 -40

-20 0 20 40

0 300 600 900 1200 1500

Comp. Signal [mmHg]

Time [s]

-40 -20 0 20 40

0 300 600 900 1200 1500

PressureSignal [mmHg]

Time [s]

15 20 25 30 35

0 300 600 900 1200 1500

Temperature [℃]

Time [s]

60