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2 集積化皮膚感覚センサアレイ

2.6 製作

2.6.7 シリコンダイヤフラムアレイ

図 2.30 に示すようなシリコンダイヤフラムの形成を行う。回路表面に保護膜を塗布し,

裏面の多結晶シリコン膜,酸化膜を順にエッチングする。その後露出したシリコン面に対し て紫外線硬化樹脂SU-8によるダイヤフラムパターンを形成,ICP-RIEによるシリコンエッ チングを行い形成する。

図 2.30 シリコンダイヤフラムの形成

プロセス条件を確立するため,各工程について条件出しを行った。回路表面の保護膜につ いて,求められる条件は(ⅰ)裏面酸化膜エッチング時 BHF から 30 分以上回路面を保護可 能,(ⅱ)電極への損傷がないレジスト剥離液で除去可能,の2点である。この条件をS1818 もしくはPMER -LA900PMが満たすかどうかの確認実験を行った。

表 2.4 PMER P-LA900PM成膜条件

酸化膜状にアルミ電極を形成した基板上にS1818の成膜後,BHFによって酸化膜エッチ ングを行ったが,20分時点で剥離が開始しており,条件を満たさないことを確認した。

続いて,同条件で電極を形成した基板上に表 2.4に示す条件を用いて保護膜形成後,BHF に浸し,経過時間10分,20分,40分,80分のそれぞれについて,レジストの有無と電極 および酸化膜の腐食が無いかどうかの観察を行った。80分の時点で,基板外周部において,

保護膜の剥離が確認されたため,その時点で実験を終了した。

図 2.31(a)に保護膜形成直後の基板とBHFに80分浸した後の基板写真を示す。図 2.31(b)

単結晶Si(n型)

Si酸化物 レジスト n型拡散領域・PSG p型拡散領域・BSG 多結晶Si p型多結晶Si Al

レジスト SU-8

10µm n

塗布 3000rpm 30sec

ベーク 110°C 10min

条件

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に示すように電極及び酸化膜に変化は確認されず,また,80 分時点で保護膜が剥離してい る部分の酸化膜(膜厚0.7µm)は完全にエッチングされていたため,40分~70分の間に剥 離が起きた可能性が高い。これらのことから,条件のうち1つを満たすことが確認された。

(a)0分時 (b)80分時

図 2.31 BHF耐性調査

続いて,保護膜がレジスト剥離液を用いて除去できるかどうかの確認を行った。基板をレ ジスト剥離液に2分浸した結果を図 2.32に示す。図に示すように,保護膜は完全に除去さ れており,電極,酸化膜ともに腐食は確認されず,PMER P-LA900PMが回路保護に使用可 能であることが確認された。

図 2.32 保護膜除去後

続いて,基板裏面に SU-8 によるパターンを形成,ICP-RIE によるシリコンエッチング実 験を表 2.5に示す条件で行った。SU-8とシリコンの選択比が不明であったため,レジスト

に膜厚3.7µmのSU-8を用いて行ったが,プロセス途中でレジストが完全消滅したため,選

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択比は約1:70となる。750cycle行った時点で,全ての中間酸化膜が露出した。

表 2.5 ICP-RIE工程表

得られた選択比をもとに,SU-8の膜厚を 20µmに変更し,再度実験を行った。形成され たダイヤフラムの走査型電子顕微鏡による撮像を図 2.33に示す。各種ダイヤフラムの形成 が問題なく出来ており,製作に必要なプロセスを確立することができた。

図 2.33 ダイヤフラム形成結果 1工程 総計 1工程 総計

1 50 50 55 55

2 50 100 55 110

3 200 300 160 270

4 200 500 -

-5 100 600 -

-6 20 620 -

-7 30 650 -

-8 50 700 -

-9 50 750 - 475

同上

中間酸化膜層が完全に露出 同上

SU-8(3.7µm)が消滅した部分が存在 全ての箇所でSU-8が完全に消滅 SOIウェハの中間酸化膜層が一部露出 中間酸化膜層の露出が増加

同上 サイクル数[cycle] エッチング量[µm]

工程数 備考

表面のSU-8・エッチング面ともに異常なし

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