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4 構造色による触覚検出センサ

4.2 設計

4.2.1 光学設計

68

69

図 4.9 ギャップ0。15µmにおける入射角に対する干渉波長の変化

単波長の変化で情報検出を行う場合,100nmから200nm程度の領域もしくは300nmから

450nm程度の領域を検討する必要がある。続いて,シリコンの光学定数 [1]を,図 4.10に

示す。

図 4.10 シリコンの光学定数 380

454 528

602

676

750

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

増加的干渉波長[nm]

入射角[degree]

0.0 0.2

0.4 0.6 0.8 1.0

3

4 5 6 7

380 454 528 602 676 750

消衰係数

屈折率

波長 [nm]

n k

70

図 4.11 クロムの光学定数[1]

続いて界面の反射率を計算する方法としては,フレネルの式がよく知られている。反射面に 対するp偏光(入射面に平行)およびs偏光(入射面に垂直)の反射率はそれぞれ,

2

cos ' ' cos

cos '

cos 

 

 

N N

N

I

rp

N

(4.2)

2

' cos ' cos

' cos '

cos 

 

 

N N

N

I

rs

N

(4.3)

で与えられる。ただし,

ik n

N  

(4.4)

であり,θおよびθ’はそれぞれ入射角と屈折角である。また,通常の光(円偏光)におい てはp偏光およびs偏光の存在比が50:50であるため,二つの式の平均値を考えればよい。

図 4.12 各波長における空気からシリコンに対する反射率の入射角依存性

1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 3.1 3.3 3.5

380 430 480 530 580 630 680 730 780

波長[nm]

n k

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0 20 40 60 80

反射率

入射角[degree]

380 420 470

530 580 600

690 750

71

一例として,空気-シリコン間での反射率の計算結果を示す。まず空気からシリコンに入射 する際の反射率を図 4.12 に示す。反射率は各波長において,入射角60度程度までは大き な変化は無く,平均としては概ね0。4程度となった。続いて,シリコンから空気に対すて 入射する光の反射率を計算した。その結果を図 4.13に示す。結果としては,10度以上の入 射角においては,ほとんどの波長で全反射が起きることがわかった。

図 4.13 各波長におけるシリコンから空気に対する反射率の入射角依存性

続いて,光の減衰について,ベールの法則を用いて強度変化の計算を行った結果を図 4.14 に示す。

 

 

  

kx I

I 4

0

exp

(4.5)

図 4.14 シリコンの波長毎の光の吸収特性 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

反射率

入射角[degree]

380 420 470

530 580 600

690 750

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 2 4 6 8 10

強度変化

距離[µm]

380 420 470

530 580 600

690 750

72

図 4.15は,クロム中を進む光が距離に対してどれだけ減衰するかを示したプロットで ある。このプロットから距離0。1μm以上になると,ほとんどの光がクロムに吸収されるこ とが分かる。

図 4.15 クロム膜厚に対する入射光の強度変化

続いて,デバイス構造に入射した光に対する反射光のスペクトルを,RGB値に換算しど のような色になるのか計算を行った。図1に制作を検討しているデバイスの構造を示す。反 射膜であるクロムは膜厚100nm,ガラスはエッチングを行うが,基板厚さは300μmである ため,計算にはこの値を使用した。

図 4.16 センサ構造のモデル

図 4.16は,計算を行ったいくつかの構造間ギャップにおける波長に対する反射率の変化 である。(a)はガラス層膜厚∞での計算結果,(b)はガラス層厚を 300µm として計算した結 果である。ガラスを計算に含めることで,ガラス自体の干渉光が高周波成分として追加され ることがわかる。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

強度変化

距離[µm]

380 420 470

530 580 600

690 750

Glass SiO2

Si 100nm Cr

変化

300µm

73

(a) ガラス層厚∞

(b) ガラス層厚300µm

図 4.17 各構造ギャップごとの波長に対する反射率スペクトル

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

380 430 480 530 580 630 680 730 780

反射率[%]

波長[nm]

215nm 140nm 290nm

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

380 430 480 530 580 630 680 730 780

反射率[%]

波長[nm]

215nm 140nm 290nm

74