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設置の趣旨及び必要性

1. 学校法人玉手山学園の沿革と現状

玉手山学園は、1942 年(昭和 17 年)4 月、初代理事長山田藤一により設立され た財団法人山田学園玉手山高等女学校に始まる。創立者山田藤一が掲げた校是は

「感恩」で、感謝の念に発して共に生きる喜びに目覚め、全ての人が幸せに生きる ことのできる社会の構築を目指して、その後、関西女子短期大学、関西医療技術専 門学校、関西福祉科学大学を順次開設してきた。

関西福祉科学大学は、社会福祉学部社会福祉学科という 1 学部 1 学科を持って平 成 9 年に創設された大学である。その理念は法人創設の理念と創設以来の伝統に鑑 みて、我が国の社会的構造、文化的病理に由来する社会の諸問題の解決のために、

社会福祉の専門家として社会に貢献できる人材を育成するとともに、併せて社会福 祉の研究を行うことにある。

とりわけ本学が養成しようとする福祉社会の構築者を、「福祉人間学」と「臨床心 理学」とに支えられた福祉の理論と技術の具現者としているところに、本学の特徴 がある。すなわち、「福祉人間学」に裏付けられた豊かな人間性と生命の尊厳に対す る深い洞察を備え、生きることの質に目覚めた個人として、「臨床心理学」に基づく 確かな援助技術の持ち主を育成することを主眼とするものである。

このような人材の育成が急務となった背景には、20 世紀後半における日本の高度 経済成長と国際化、価値の多様化に伴う産業構造、経済構造の急激な変化から、社 会構造、家庭構造の大きな変化に至る大波の中で発生してきた人間関係、家族関係 のひずみへの対応、また職場でのメンタルストレスへの対応が社会的に求められた という状況があった。それに応える形で本学の社会福祉学科は、高齢化問題に取り 組む高齢者保健福祉、尐子化傾向に伴う諸問題に取り組む児童福祉、社会的弱者で ある障害者福祉を本学の係わる領域と見定めて、それに対処できる人材の育成を社 会福祉学部の教育のカリキュラムに組み込んだのである。

そしてこのような本学の福祉教育の理論研究のために、学部創設から 4 年後の平 成 13 年には大学院社会福祉学研究科、臨床福祉学専攻修士課程(現在は博士前期課 程)を開設し、平成 15 年には博士後期課程と心理臨床学専攻修士課程を開設してい る。

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臨床心理学科について。本学は福祉提供者と福祉利用者のこころのつながりを重 視し、利用者のこころへの配慮を大切にするという福祉の基本的姿勢に基づき、質 的に高度な福祉サービスを求める時代の要請と、弱点を持ちながらも幸せな生を生 きることへの支援への要請に応えることを目指して、社会福祉学部の中に臨床心理 学科を開設した。

医療や福祉の現場で、こころの健康維持が身体の健康と健全な社会にとって極め て重要であるということが、再認識されてきたという状況がそこにはあった。そし て、その再認識に基づき、臨床心理学科はこどもの虐待問題、不登校問題、引きこ もりなどの深刻な問題に対応し、「こころ豊かな人間」や「生きる力」を育てる支援 のできる人材の育成、また、医療分野にあっては生活習慣病やストレス疾患にかか わる心理的要因への対処について支援し、健全な社会性を育む支援のできる人材の 育成を目標としたのである。これにより、人間生活、人間福祉全般を対象として、

人の幸せとこころの平和に資することのできる人材の育成と、福祉の現場にあって は社会福祉と臨床心理の協働による効率的なケアの推進を目指した。また、臨床心 理学科開設と同時に、大学院社会福祉学研究科の中に、心理臨床学専攻修士課程を 開設している。

臨床心理学科と二つ目の学部である健康福祉学部とが同時期に開設されたことか らも明らかなように、健康福祉学部は、一つ目の学部である社会福祉学部の理念を 発展させた延長線上にあると言える。すなわち、我が国の社会福祉へのニーズがま すます大きくなり、より広い領域での福祉活動がさまざまな形で必要となってきた 時期に、質的にもさらに高度な福祉サービスへの要望に応えて、福祉利用者が何ら かの弱点を補いつつもそこにとどまらなくて、弱点を持ちながら幸せに生きること を支援するという理念を、健康福祉学部の理念として打ち立てている。

健康福祉学部は、幸せな生を生きる原点の一つを健康に生きるという面において 取り上げている。具体的には現代の病の源の一つである心理的ストレスと生活習慣 に焦点をあてて、ストレスの軽減と生活習慣の改善という視点を入れた福祉の実践 を目指す人材の育成のために、健康科学科と福祉栄養学科という 2 学科をもって健 康福祉学部を構築した。

健康福祉学部では、本学がその標榜する臨床福祉の精神に則り、福祉の現場にお いて障害を持つ人にとどまらず、さまざまな形の援助を必要とする人々を対象に、

それらの人々が幸せな生活を送る基礎となる健康の維持、増進に貢献することが、

これからの福祉の発展に重要だと考えて、その面からのアプローチを行う教育カリ キュラムを構築している。

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康の保持・増進に寄与することがこれからの臨床福祉にとって極めて重要であると 考えている。

健康科学科では、福祉施設、医療施設、学校のみならず、企業人を中心とした社 会人を対象に、メンタルヘルスに重点を置いたメンタルヘルス・カウンセリングを 行いうる能力を養成できるカリキュラムとなっている。

また、この学科では養護教諭一種免許の取得を目指すことができるが、ここでも メンタルヘルスの素養と指導能力を基礎にしての教育体系にしている。

福祉栄養学科では従来の管理栄養士の活動の範囲をさらに広げて、幼児や高齢者、

さらには各種福祉施設で栄養に関する知識に加えて福祉の知識を兼ね備え、それら を使って栄養指導や食生活管理を行う能力を持った学生を養成している。福祉栄養 学科の名称に「福祉」の文字を入れているのは、栄養学の知識を高めるだけではな くて、社会的・心理的問題の解決を援助する能力の養成にも力点をおくことを表明 するためであり、本学科の特徴を作っている。その結果、心身両面での健康保持に 関わる高い専門的学識を習得し、社会福祉についての理解力と洞察力を身に付けた 栄養指導の専門家の養成を目指した学科を実現させている。

一方、玉手山学園は 1981 年(昭和 56 年)に関西女子医療技術専門学校(現関西 医療技術専門学校)を開設、当初は歯科技工士学科、医療秘書学科の 2 学科であっ たが、1995 年(平成 7 年)に理学療法学科(定員 40 名)、1996 年(平成 8 年)に 作業療法学科(定員 40 名)を増設した。2009 年までに関西医療技術専門学校(旧 関西女子医療技術専門学校を含む)の理学療法学科は 448 名、作業療法学科は 347 名の卒業生を送り出した。そのうちのほとんどが、現在、医療ならびに福祉の分野 で専門技術者として活躍し、近畿地区を中心にこの分野で多大の貢献をなしている。

これまでは専門学校設立当初の社会的要請に基づき、医療・福祉現場における即戦 力を持った専門技術者の養成をおこなってきた。

2. 保健医療学部設置の趣旨及び必要性

(1)保健医療学部開設がなぜ必要か

①障害者の治療に当たる療法士には、医療人として必要な基礎知識と共に医療人 としての豊かな人間性と教養を身につけることが必要である。

②リハビリテーションのスキルに対して、より専門性が求められるようになった。

1960 年頃までのリハビリテーションは主として整形外科領域の疾患に対するも のであった。しかし近年、医学分野の専門分化に伴って、従来、運動器や神経障 害を中心としていたリハビリテーションも理学療法分野においては心疾患・呼吸

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病態の知識はもちろん、リスクに対する知識も必要とされる。また、作業療法分 野においては身体機能と精神機能に加え、地域・高齢期が重要な位置を占めるよ うになり、精神機能も認知機能を分化するようになっている。従って、専門学校 では積み上げ方式で授業が進んでいた理学療法治療学や作業療法治療学の内容を、

専門分野にしたがって明確に分ける。そして、基本的な学習の上に立って、学生 時代より各々の分野に対する関心を明確にし、各分野の関連科目を選択科目とし て履修することで、将来的な専門分化に対応可能とする必要がある。

③人口の高齢化により、長期にわたるケアとシステムの変革が必要となった。

尐子・高齢化に対応するため、平成 17 年には介護保険制度が改正され、生活機能 を維持する予防を重視したサービスを提供することとなった。従って、高齢期に は「予防概念」をリハビリテーションに導入することが必要となった。さらに、

高齢化社会においては慢性疾患が主流となり、急性疾患と外傷対策として発展し たリハビリテーション医学には新たな変革が必要とされている。

従って、15 年前に開設された当時の専門学校では特に注目できていなかった

「高齢者」を理解するカリキュラムや「高齢者」を対象とした療法学を組み込ん だカリキュラムを構築する必要性が求められている。

④障害者の生活を支援するリハビリテーションが必要となった。

これからの時代は障害者の自立と社会参加が急速に進むと考えられ、社会連帯に よる自立支援、並びに介護・福祉の理解がリハビリテーション専門職にも求めら れている。専門学校では障害者の生活支援を考える教育は想定されておらず、こ の点を加味した教育を行う必要性が求められている。

以上述べた社会的要請に応えるには、関西医療技術専門学校が3年制であったこ とも大きな要因であるが、現状の専門学校でのカリキュラムでは困難である。専門 学校では理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則に定められた科目履修に時 間の大部分を使わざるを得ず、医療に関わる職業人として必要な教養科目設置の余 裕がなかった。また、専門科目履修も時間の関係から詰め込み型となり、考えなが ら知識や技術を身につけることで質の高い応用のきく学問習得体制とは なってい なかった【参考資料 1】。これらの現状を踏まえ、既設の関西福祉科学大学に、医療 専門技術職としての理学療法士ならびに作業療法士養成のための学部を設置する。

これに伴い、新たに開設する保健医療学部は従来の関西医療技術専門学校を大学に 平行移動するのではなく、新たなる教育理念を設定し、これに伴って教育課程も見 直す。