解釈第18条(第2項から第4項)の規定内容の根拠に関し,以下,各項の概要について 示す。
(1)建物の鉄骨その他の金属体を接地工事の接地極に使用する場合(第2項)
(a) 規定根拠
「昭和47年 電気設備の技術基準の解説」第21条の解説によれば, 「高層ビル 等ではその鉄骨と大地との接触面積も大きく,また広がりも大きいので,地表面 にあらわれる電位傾度が第17条の解説で述べた単独接地極の場合よりも小さく なる場合が多い。したがって,その鉄骨等を1線地絡電流の比較的小さい非接地 式高圧電路に関係するA種又はB種接地工事の接地極に利用することを認めてい る。しかし,万一の場合を考慮して,地絡時の電位上昇を50〜60V以下に抑制す るため鉄骨等と大地との間の電気抵抗を2Ω以下としている。 」と記載されている。
(b) 数値根拠
イ.「地絡時の電位上昇:50V〜60V以下」について
最近の文献として, 「平成21年度 電気施設技術基準国際化調査(電気設備)
報告書」 (平成22年3月 電気設備技術基準国際化委員会)において,以下のとお りまとめられており,これらに準拠しているものと推定される。
a .JIS C 60364‑4‑41(感電保護)
充電部地絡時における露出導電性部分の対地電圧が規約値の50V を超えな いようにと規定されている。
b.IEC61200‑413(間接接触に対する保護)
人体通過電流との関係から,規約接触電圧限度として50V が決められてい る。この規格は,電技解釈第152 条(臨時電線路の施設)において,35kV 以 下の特別高圧機械器具を人が触れるおそれがある路上等に施設する場合の規 制として,接触電圧及び歩幅電圧を,IEC61200‑413 の接触電圧の基準値以下 に抑制することとして引用されている。
c.電技解釈第40 条
※(地絡遮断装置の施設)
金属製外箱を有する使用電圧が60V を超える低圧の機械器具であって,人 が容易に触れるおそれがある場所に施設するものに接続する電路には,地絡 遮断装置の施設が要求されている。
※H23改定で第36条に条文番号が変更されている。
<参考>
「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説」第19条【保安上
又は機能上必要な場合における電路の接地】の解説によれば, 「接触電圧,歩
幅電圧等については,これをいくらにすべきかという確定した結論は出され
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ていないが,一例として,AIEE(アメリカ電気学会)の委員会報告として次 のような値が示されている(C.F. Dalaziel博士により,人間が耐え得る衝撃 電流の値として示されたもの。→解説19.1図) 。
なお時間に関係のない危険接触電圧としては,ドイツで65V,スイスで50V,
イギリスで40Vというような低い値がとられている。我が国の中性点直接接地 系統の発変電所等の構内では,作業員は,ゴム靴等をはいており,事故時間 も短いことから,一般に,歩幅電圧や接触電圧としては,150Vが目安とされ ている。 」と記載されている。
ロ.「鉄骨等と大地との間の電気抵抗を2Ω以下」について
制定時の数値根拠は見あたらなかったが,後述する第3項「金属製水道管を接 地極に使用する場合の要件」において, 「大地と水道管路との接地抵抗値が2Ω 以下である場合は,接地効果がそれだけ良好であるので,分岐点から5mを超え る場所で接続してもよいこととした。 」とされており,これを準用していると考 えられる。
なお, 「平成21年度 電気施設技術基準国際化調査(電気設備)報告書」 (平成 22年3月 電気設備技術基準国際化委員会)では,TT系統の場合の一線地絡電流 値として, 「電技解釈第19条第2項
※「B 種接地工事の接地抵抗値は,第24条
※又 は第25条
※の規定により接地工事を施す場合は,前項の規定にかかわらず,5Ω 未満の値であることを要しない」の規定から,150V/5Ω=30A とした。 」という 算出を実施している。 (※H23電技改定で条文番号が変更されている。 )
上述の電技解釈第36条(旧40条)に定める地絡時の電位上昇60V以下と合致す
る要件を求めると,鉄骨等と大地との電気抵抗は2Ω以下であることが必要であ
り,これを根拠としているとも考えられる。
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(2)金属製水道管を接地極に使用する場合の要件(第3項)
(a) 規定根拠
「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説」第18条の解説によ れば, 「金属製水道管を接地極とすることについては,一般に極めて低い接地抵抗 値が容易に得られるので,電線路,機器等の保安上望ましいことであり,アメリカ 等の諸外国では広く採用されており,効果をあげていた。一方,我が国では,水道 管を通じる電撃等の危険及び水道管の化学的腐食などを問題として一般的に行わ れていなかったが,B種接地工事として試験的に実施された結果,これらの問題を 生じないことが確認されたので,水道管路を各種接地工事の接地極に使用すること ができることとした。 」と記載されている。
なお,当該項の各号には金属製水道管路を接地極に使用する場合の具体的要件を 定めているが,昭和29年の電気工作物規程制定時には「別に定める告示による」と されており,解説の中では, 「接地線を水道管に接続する位置,接地工事の方法は,
今後さらに検討改善すべき点でもあるので,告示の第8号で定めている。 」との記載 にとどめられていたが,昭和40年の電技解釈改正時に規定として取り込まれている。
いずれの規定も,接地極の長期的な信頼性,有効性を確保するための要件である。
(b) 第1号の規定根拠
第1号は,接地極として使用できる金属製水道管路のサイズおよび接地線との接 続箇所およびそのときの接地抵抗値についての規定である。昭和29年の電気工作 物規程制定時には当該の数値規程は存在せず,告示第8号にて具体的要件が明示さ れている。当時の解説では, 「接地線と金属製水道管路との接続箇所は堅固な本管 の部分またはその近くで行うことを原則」とすることとしており,そのための具 体的数値についての規定根拠が述べられている。以下,数値根拠の調査結果を示 す。
イ. 「金属製水道管:内径75mm以上」 「分岐点からの距離:5m」について
「電気協同研究 関東接地方式専門委員会資料集」 (昭和19年6月)によれば,
「水道管の主管は東京市旧市内150㎜,同新市部100㎜が標準で75〜350mmの範囲 にある。 」と記載されている。一般的な水道管主管径が当時75mm以上であったこ とから,これを接地極に使用すべく採用されたと推定される。
また,同資料によると, 「100mm管並200mm管より分岐せるサービスパイプに衝 撃電圧を加えて実験した結果,分岐点より約5m以内ならば水道管端子電圧はサ ービスパイプと主管とで大差ない。又主管の径が75mmでも100mmでも接地効果に 大差ない」ことより, 「分岐点から5m」の制約を設けたと推定される。
以上より,検討当時の金属製水道管の敷設状況および,衝撃電圧試験の結果
を踏まえ,金属製水道管の内径に関する規程を75mm,分岐点からの距離を5mと
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ドキュメント内
平成23年度電気設備技術基準関係規格等調査役務請負報告書
(ページ 52-55)