Ⅲ−3−5
平成9年 技術基準の解釈 第154条
○ 通信線の強度が機能性化され引張強さ(性能)と線種・直径(規格)
により規定された。
・ 「引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6㎜の硬銅線を使用する場合」
平成23年 技術基準の解釈
Ⅲ−3−6
気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月25日 日本電気協会) 」第136 条の解説によれば, 「発・変電所は大半が無人化,自動化され,これらの制御を一括し て電子計算機により前処理し,最終判断のみを制御所又は給電所の運転員が行っている のが現状である。何らかの原因により,情報が失われ又は情報に誤りが生じると正しい 操作が困難となり,混乱を起しかねない。したがって,電力保安通信線全般の信頼性を 確保するため,その施設方法を規定している。 」と記載されている。
また, 【複合ケーブルを使用した通信線の施設】については, 「平成23年版 電気設備 の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月25日 日本電気協会) 」第136条第3 項の解説によれば, 「水力発電所では,ダム・水路等の取水設備のゲート操作等を発電 所又は技術員の駐在所から操作するため,電力線と通信線を施設する必要があるが,架 空電線及び架空通信線では,山岳地を通過するため,保守が困難であり,また,土砂崩 れ等により損壊しやすかった。そのため,導水路を利用し,電力線と通信線とを束ねた 複合ケーブルを使用した施設方法が多く採用されてきた。○
61基準で,これらの複合ケー ブルを規格化し,基準の整備をすることにより,ダム・水路等の施設ばかりでなく,一 般的な電力保安通信設備まで使用できるようにした。 」と記載されているが,明確な根 拠となる資料は見当たらない。
以下に各項の制定根拠の概要について示す。
a.重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある場所に施設する電力保安 通信線の防護措置について〔第136条第1項, (旧解釈 第154条第1項) 〕
「改正点解説付 電気設備技術基準(昭和61年3月改正 日本電気協会) 」第165条 の改正点の解説によれば,「第1項では重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受ける おそれがある箇所に施設する通信線には,適当な防護措置又はこれらに耐える防護 被覆を設けることが規定された。 」と記載されている。
この規定内容は, 「解説 電気設備の技術基準(第5版) (昭和61年9月20日 文一 総合出版) 」第201条【ケーブル工事】の「重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受 けるおそれがある箇所に施設する電線には,適当な防護措置を設けること。 」と同じ 規定内容である。
また, 「解説 電気設備の技術基準(第5版) (昭和61年9月20日 文一総合出版) 」 第165条の解説によれば, 「重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがあ る箇所」の例として, 「直接地中に埋設する場合,コンクリートに直接埋設する場合」
を挙げている。
このことから,本規定内容は, 【ケーブル工事】並びに【地中電線路の施設】を参 考として規定されたと推定される。
Ⅲ−3−7
b.架空電力保安通信線の強さについて〔第136条第2項, (旧解釈 第154条第2項) 〕 「改正点解説付 電気設備技術基準(昭和61年3月改正 日本電気協会) 」第165条
の改正点の解説によれば, 「旧条文では,添架通信線の強さ及び種類が規定されてい たが,今回これを電力保安通信線全体について見直すとともに,光ファイバケーブ ルが追加された。第2項では,架空通信線の強さ,及びちょう架用線の種類と強さが 規定された。 」と記載されている。
また, 「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月 25日 日本電気協会)」第136条第2項の解説によれば, 「通信線は自然災害などの外 的損傷を受けやすい設備であることから,第一号イは,通信線をちょう架用線(メ ッセンジャーワイヤ等)によりちょう架するよう規定し,ロでは,そのちょう架用 線の材料は金属線とするよう規定している。光ファイバケーブルの場合に金属線以 外のものを使用できるのは,光ファイバケーブルが絶縁物であることから,ちょう 架用線も金属製以外のものを使用すると誘導電圧が生じず,作業上安全であるため である。ハは,ちょう架用線の安全率を高圧電線並みにするよう規定したものであ る。 」と記載されている。
以上のことから,既に規定されていた添架通信線の強さ及び種類等の規定内容を 参考として通信線の強さが規定されたと推定される。
c.複合ケーブルを使用した通信線を道路に埋設する場合の施設方法について
〔第136条第3項第一号, (旧解釈 第155条第1項) 〕
「改正点解説付 電気設備技術基準(昭和61年3月改正 日本電気協会) 」第165条 の2の改正点の解説によれば, 「第1項では,施設できる場所等について規定された。
これは構造上,複合ケーブルは高圧電線と通信線が近接した物であるので掘削等に よる混触を招くおそれがあるためである。 」と記載されている。
また, 「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月 25日 日本電気協会)」第136条第3項の解説によれば, 「第一号は,複合ケーブルを 使用した通信線を道路に埋設して施設する場合の施設方法について規定している。
これは,複合ケーブルを使用した通信線を道路に埋設して施設する方法は,ボーリ ング調査,道路工事又は道路に管等を埋設する工事のときに,ケーブルが損傷する ことが多く,金属製の刃等によりケーブルが損傷した場合には,通信線に電力が侵 入し,通信機等を損傷させるだけではなく,人に対し非常に危険なためである。 」と 記載されている。
以上のことから,複合ケーブルは高圧電線と通信線が近接したものであり,掘削 等によりケーブルが損傷した場合には,機器の損傷及び人への危害を与えるため,
複合ケーブルの施設方法が規定されたと推定される。
Ⅲ−3−8
d.複合ケーブルを使用した電力保安通信線に直接接続する通信線について
〔第136条第3項第二号, (旧解釈 第155条第2項) 〕
「改正点解説付 電気設備技術基準(昭和61年3月改正 日本電気協会) 」第165条 の2の改正点の解説によれば, 「第2項では,複合ケーブルの通信線に接続する通信線 の施設条件が明示された。 」と記載されている。
また, 「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月 25日 日本電気協会)」第136条第3項の解説によれば, 「第二号は,複合ケーブルを 使用した通信線に直接接続する通信線について規定している。複合ケーブルの通信 線については,電力線としての規定により,その保安が確保されている。これに直 接接続された通信線(絶縁変圧器又は中継線輪等を介して結合するものを除く。 )に ついても,複合ケーブルと同様に危険であることから,本号で規定している。 」と記 載されている。
以上のことから,複合ケーブルを使用した通信線に直接接続する通信線は,常時 誘導電圧が誘起するため,他の通信線と異なり,非常に危険であるため,複合ケー ブルの通信線に直接接続する通信線の施設条件が規定されたと推定される。
e.電力保安通信線を暗きょ内に施設する場合の施設方法について
〔第136条第4項, (旧解釈 第154条第4,5項) 〕
「改正点解説付 電気設備技術基準(平成4年4月改正 日本電気協会) 」第165条 の改正点の解説によれば, 「暗きょ内に通信線を施設する場合については,万一の火 災発生時の人的被害及び設備損傷に伴う社会的影響を考慮し,第4項において通信線 の耐燃措置又は暗きょ内の消火対策を施すよう追加規定された。 」と記載されている。
また, 「平成23年版 電気設備の技術基準(省令及び解釈)の解説(平成23年10月 25日 日本電気協会) 」第136条第4項の解説によれば, 「第4項は,昭和59年11月の洞 道内電話ケーブル火災(東京都世田谷区)を受け,地中電線と同様(→第120条第3 項) ,通信線を暗きょ内に施設する場合は,通信線に耐燃措置(→第120条第3項,第 125条第5項)を施し,又は暗きょ内に消火設備を設けることを④基準で規定した。
これは,一般的に通信線は発火源となることはないが,暗きょ内に併設される他の 設備に火災が発生した場合の通信線への類焼を防止するため,通信線の耐燃措置等 を施すこととしたものである。 」と記載されている。
以上のことから,昭和59年11月の洞道内電話ケーブル火災(東京都世田谷区)が 発生したことに鑑み,通信線の耐燃措置又は暗きょ内に自動消火設備の設置が義務 付けられた。
(2)数値
a.ちょう架用線によりちょう架しない場合の通信線の強度に係る規定について
Ⅲ−3−9
〔第2項第二号, (旧解釈 第154条第2項第一号) 〕 通信線の強度として,電気工事規程(明治44年9月)に「直径八厘五毛(≒2.6㎜)
の円形の鉄線またはこれと同等以上の線条」と規定されたが,この数値根拠は見当 たらない。
なお,同規程の中で低圧引込線は「直径八厘五毛(≒2.6㎜)の円形の銅線または これと同等以上」と規定されているが,平成15年度に当委員会にて実施した根拠調 査結果においても同様に, 『明治44年の数値の根拠は「日本電気協会会報第30号(明 治45年3月) 」に「一般に架空電線の太さを増加し電線路を堅牢ならしめるものなり」
とあるが,直接的な数値根拠となる資料は見当たらない』と報告されている。
「電気工作物規程」(昭和24年12月)の第109条では通信線の強度の対象が,鉄線 から硬銅線に変更となっている。同規程第25条で銅線に対する強さと太さの関係が 規定されており,太さ2.6㎜の鉄線は太さ2.6㎜の硬銅線と同等の強度となっている。
「改正 電気工作物規程解説(昭和25年5月10日 商工会館出版部) 」の解説によ ると, 「普通の架空線の場合には低圧電線と同じく2.6㎜以上のものでなければなら ない」とされている。その後,通信線の強度は変更とならず現在に至っている。
結論として, 『直径2.6㎜以上の硬銅線の明確な数値根拠となる資料は見当たらな い。 』
引張り強さ2.30kNの数値根拠については,平成9年の「電気設備技術基準」の機能 性化に伴い,同基準の解釈が制定され, 「この解釈において,性能を規定しているも のと規格を規定しているものとを併記して記載しているものは,いずれかの要件を 満たすことにより,当該省令を満足することを示したものである。 」という考え方が 示され,これに則り,直径2.6㎜の硬銅線の引張り強さである2.30kNと同等以上のも のと規定された。
b.複合ケーブルの施設について〔第3項, (旧解釈 第155条第1項第四号,第2項第四号) 〕
(a)複合ケーブルを使用した通信線の土冠(1.2m以上)について
複合ケーブルを地中に埋設する場合の土冠は1.2m以上とされているが,解釈第120条
【地中電線路の施設】第4項に「地中電線の埋設深さは,車両その他の重量物の圧力を 受けるおそれがある場所においては1.2m以上,その他の場所においては0.6m以上である こと。 」という規定があり,これは昭和7年から規定値の変更はない。このことから,昭 和61年に複合ケーブルが新規に規定された際に,地中電線路における土冠の規定値1.2m に整合させたものと考えられる。
なお,解釈第120条にて規定される地中電線路の土冠の根拠については,平成18年度
当委員会にて調査済みであり,それによれば,大正9年7月内務省訓令「道路法第28条第
1項の規定による占用の許可又は承認に関する件」での規定値を取り入れたものと推定
されている。
ドキュメント内
平成23年度電気設備技術基準関係規格等調査役務請負報告書
(ページ 167-196)