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英語の結果構文に関する分類及び意味制約

ドキュメント内 結果複合動詞の日中対照研究 (ページ 43-51)

第 2 章 日中結果複合動詞の概観

2.2 日中結果複合動詞と英語の結果構文に関する分類及び意味制約

2.2.1 英語の結果構文に関する分類及び意味制約

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以上をまとめると、日本語にも中国語にも英語のような結果構文に対応する結果複合動詞 があるが、日本語の結果複合動詞は英語のすべての結果構文と対応するわけではないのに対 し、中国語の結果複合動詞は弱い結果複合動詞のみならず、強い結果構文にも対応できる。

さらに、中国語結果複合動詞では、動詞も形容詞もV2として取ることができる。

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(A)は、主動詞が他動詞か自動詞かにより結果構文を分類している。それに対して、(B)

は前節で説明したように、Washio(1997)に則ったものである。(C)は目的語から見た分 類で、例文e, fではlaughという元々目的語が取れない非能格動詞が、結果構文では目的語 が取れるようになる。結果構文で現れる目的語を本来の目的語と区別して、「疑似目的語」と いう。それに対し、疑似目的語を取らない文とは目的語が現れないか、あるいは、主動詞の 本来の目的語を取る文である。

以下では具体的な例を用いて、疑似目的語を取る結果構文と取らない結果構文の区別を論 じる。(13)のような例は最も典型的な結果構文である。これらの例において、shot、paint、

kick は他動詞であり、他動詞ベースの結果構文と思われる。また、これらの結果構文は、

「Jesseは彼を撃った」「彼女は家を塗った」や「彼女はドアを蹴った」という行為によって、

「彼が死んだ」「家が赤くなった」「ドアが開いた」のような結果になったことを表しており、

すべての目的語は動詞と意味関係があり、動詞に意味選択される名詞句である。従って、こ れらは本来の目的語である。このとき、結果述語は削除されても、(14)に示すように、文と して成立する。

(13) a. Jesse shot him dead.

b. She painted the house red.

c. She kicked the door open.

(小野2009:2)

(14) a. Jesse shot him.

b. She painted the house.

c. She kicked the door.

一方、「疑似目的語」(fake object)と動詞との間には意味関係がない。疑似目的語を取る 動詞は他動詞でも非能格自動詞でもよいが、他動詞の場合は結果述語がないと、(15b)のよ うに奇妙な意味になってしまう。

(15) a. She wiped the dust off.

b. She wiped the dust.

(影山1996:246)

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Laugh や run のような非能格自動詞は、元々は目的語を伴わないが、結果構文の中では

himself、the pavementのような目的語が取れる。また逆に、結果述語があるときには、必

ず目的語が現れなければならない。つまり、動詞が非能格自動詞であれ他動詞であれ、結果 述語はその主語に当たるNPが直接目的語として実現することを要求するのである。

(16) Dora shouted *(herself) hoarse. (Levin & Rappaport Hovav 1995: 35)

(17) In the small hours of the nextmorning, when they were back at La Gracieuse, after dancing *(her feet) raw with Sam, … (Boas 2003: 5-6)

ここまでは、英語の結果構文についての様々な分類を簡単に説明してきた。次に、結果述 語の出現に必要な条件について、見ていこう。

Goldberg(1995)は結果構文に対する制約を、以下のようにまとめている。

(18) a. Two argument resultatives must have an (animate) instigator argument.

b. The action denoted by the verb must be interpreted as directly causing the change of state: no intermediary time intervals are possible.

c. The resultative adjective must denote an end of scale.

d. The resultative must be interpreted as a metaphorical path and is, therefore, subject to the Unique Path Constraint

e. Resultative phrases cannot be headed by deverbal adjectives.

(Goldberg 1995:193)

(18a)は、多くの英語母語話者にとって、二つの項をとる結果構文を使用するにあたり、

主語の位置に出現できるのは、有生のinstigatorのみであり、道具などの名詞は主語として 不適格であることを述べている。(19a)は彼女が咳をしたことにより、sickの状態になるこ とを表すのに対して、道具であるハンマーは結果構文の主語になれず、(19b)は成立しない。

(19) a. She coughed herself sick.

b. * The hammer pounded the mental flat.

(Goldberg 1995:193)

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次に、(18b)によれば、動詞によって示される行為が状態変化を直接引き起こすと解釈さ れなければならず、行為と状態の間に時間的間隔があってはならない。

この制約は以下のような図1と図2で表される。

Allowed

action

Time 図1

Disallowed:

action

Time 図2

(Goldberg 1995:194)

図1は動詞が表す行為の終点と同時に状態変化が起こっていることを示すのに対し、図2 はその行為が終わった後、少し時間が経ってから、状態変化が起きていることを表す。

Goldberg(1995)によれば、行為と状態変化の間に時間差がある図2の場合では、結果構文

は成立しない。たとえば(20)では、Goldberg(1995)によると、必ず気持ち悪くなるとい う状態変化するまでずっと食べ続けたと解釈される。つまり、最後の結果状態に至る原因は 食べ続けるという動作にあり、食べ物ではない。

(20) He ate himself sick.

(Goldberg 1995:194)

同じことが(21)にも当てはまる。(21a)のSamは自分の自由を妨げているあらゆる足 かせを断ち切り、そのことによってすぐに自由を得たという意味である。Samが自分を切り

Change of State

Change of State

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つけたあと、捕らえた人たちが彼を自由にしたという解釈にはならない。(21b)のSueが死 んだのはSamに撃たれた直後であり、SamがSueを撃ち、Sueがその後病院で死んだとい う意味では用いられない。

(21) a. Sam cut himself free.

b. Sam shot Sue dead.

(Goldberg 1995:194-195)

Rappaport Hovav & Levin(2001)は、主動詞が状態変化を直接的に引き起こすという点 には賛成するが、英語の結果構文、とりわけ疑似目的語を取る結果構文には行為と状態変化 の間に時間差がある例も見られることを指摘している。

(22) Sam sang enthusiastically during the class play. He woke up hoarse the next day and said, ‘Well, I guess I’ve sung myself hoarse.’

(Rappaport Hovav & Levin 2001:775)

(22)では、歌を歌ったあと、すぐ声がかすれた状態になったわけではなく、ある程度の 時間が経過したあとでも、I sung myself hoarseが問題なく成立している。

この例に対してGoldberg(2004:546)は、singは直接的に働く実物がなく、動作が直接 的にあるいは直ちに結果を引き起こさないように見えるが、実はそうではないと反論する。

(22)では、歌を歌うと同時に、声が少しずつかすれていき、歌い終わったときに、声の調 子がもう悪くなったかもしれない。ところが、実際の状況を考えると、人がそれぞれ、かす れるということに気が付く時間が異なっている。換言すれば、Samは歌を歌った後に、喉が すでにかすれていたが、本人が気付いたのは次の日であるので、(22)のような発話をした。

さらに、行為と結果状態の間に、本当に時間的な間隔があるだと考えられれば、(23)のよう な文は成立するはずであるが、(23)のように、一週間後になって、歌いすぎたことが原因で 声がかすれたとは考えにくい。

(23) * Sam sang enthusiastically during the class play. One week later, his throat became to be bed and he said ‘Well, I guess I’ve sung myself hoarse.’

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したがって、英語の結果構文において、主動詞は直接的に動作を引き起こさなければなら ず、かつ動詞と結果の間には時間的な継続性も存在する。すなわち、英語の結果構文には「直 接的な因果関係」と「時間的な継続性」の両方が必要である。

続いて、(18c)の制約を見て見よう。この制約によれば、形容詞結果述語は尺度上の終点 を示さなければならない。尺度上の終点を示さない形容詞では、(24)のように結果述語とは なれない。Funny、happy、damp、dirtyのような形容詞は明瞭な基準また最大値を持たな いためである。

(24) a. * He drank himself funny/happy.

b. * He wiped it damp/dirty.

(Goldberg 1995:195)

ではどのような形容詞が尺度上の終点をもつのであろうか。Wechsler(2005)は三つの基 準で形容詞を分類する。それを踏まえて、三原(2009)はKlein(1980)、Hay et al.(1999)、 Kennedy(1999)、Kennedy & McNally(2005)を参照したうえで、Wechslerの分類を以 下のように論述している。

まず、第一に段階性(gradability)の有無に基づいて、形容詞が段階的形容詞と非段階的 形容詞に区別される。さらに、量を示す句 a little と一緒に現れるかどうかにより、形容詞 はどちらのタイプであるかが分かる。段階的形容詞は a littleと一緒に現れるのに対して、

非段階的なものは現れない。

(25) a. 段階的形容詞(gradable adjectives)

long/flat/full/straight/expensive

b. 非段階的形容詞(non-gradable adjectives)

dead/triangular/invited/sold

(三原2009:156)

三原(2009)によると、段階的形容詞は文脈や世界に関する知識から推論される「基準」

に従って解釈される。例えば、「PRADA’s bag is expensive」という文では、高級なブランド の商品として値段が高いのか、普通のバックとして高いのかによって、高さの基準が異なる

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といった具合である。高級なブランドの商品として考えるとき、30万のプラダのバックは20 万のLVより高いかもしれないが、百万円のエルメスと比べると、高いとは言えない。しか し普通のバックの値段と比べれば、一番安いプラダのバックとしても、高いと思われる。そ の一方、「expensive」と異なり、「The box is empty.」という場合は、emptyについての基 準は1つしかない。それはemptyに最大値(極点)がデフォルトとして内在化しているであ る。したがって、第二の分類基準で、最大値を持つかどうかにより、段階的形容詞を(26)

のように分けられる。最大値を持つ形容詞つまり閉じたスケールの形容詞は totally や

completely と共起できるが、expensive、long などの開いたスケールの語は共起できない。

(26) a. 閉じたスケールの形容詞(closed scale adjectives)

totally/completely {full/empty/dry}

b. 開いたスケールの形容詞(open scale adjectives)

??totally/completely {long/wide/short/cool}

(三原2009:157)

閉じたスケールの形容詞はさらに下位分類することができる。

(27) a. 最大極点を有する閉じたスケール(maximal end-point closed scale adjectives)

full/empty/straight/dry

b. 最小極点を有する閉じたスケールの形容詞(minimal end-point closed scale adjectives)

wet/dirty

(三原2009:157)

上記の第三の分類について、三原(2009:157)は、極点とは銘打たれてはいるものの、

その極点が極めて少量でもよいことから、開いたスケールの形容詞と類似する振る舞いを見 せると述べている。

いじょうをまとめると、尺度上の終点という性質がある形容詞は(27b)の非段階的ある いは(27a)の最大極点を有する閉じたスケールのようなものである。これらの形容詞は結 果述語になりやすい。そして、Goldberg(1991)に従えば、(26b)や(27b)のような形容

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