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11月8日(火)9:25~11:25 講演会場Ⅰ(アスティとくしま 1階 多目的ホール1)

ガミースマイルを伴う上顎前突症における歯科矯正用 アンカースクリューによる改善とその安定性について

宮澤 健

(‌愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座‌成人矯正歯科特殊診療科‌教授)

略 歴

1988年 愛知学院大学歯学部卒業、愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座入局 1994年 カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校 医学部整形外科、外科留学 1996年 愛知学院大学大学院歯学研究科卒業(歯科矯正学)

1997年 愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座 助手 2001年 愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座 講師 2004年 愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座 准教授 2010年 愛知学院大学成人矯正歯科 特殊診療科教授 日本矯正歯科学会 認定医、指導医、専門医

歯科矯正用アンカースクリュー(以下 OAS)が薬事承認されてから、OAS が矯正歯科治療の現場で多用 されてきている。その効果はきわめて有効で、近年では絶対的固定源の概念が、これから矯正治療を学ぼう としている若い先生方の中においてもしっかりと確立されてきていると感じている。

我々は、以前より OAS が可能な限り安心安全に使用できるように、正中口蓋部への植立と付加装置の併

用による治療を行ってきた。これによってマルチブラケット治療法による上顎前突に対する水平的な絶対的

固定源として用いるだけでなく、上顎大臼歯部の垂直的な要素である、いわゆるバーティカルコントロール

のために積極的に応用することが可能となった。このことは、四半世紀以上前に Dr. Root がレベルアンカ

レッジシステム(LAS)の概念と治療の中で既に提唱していた、 『成人症例においても必要に応じて下顎の “ 成

長 ” を増加させること』という達成項目を、予知性を持って具現化できることを意味している。さらに、我々

は、上顎大臼歯の圧下が上顎前突におけるガミースマイルの改善にも有効であることを報告してきた。そこ

で今回は、マルチブラケット法を用いた上顎前突症の治療における積極的なバーティカルコントロールの有

効な方法やその開始時期、また、安定性について日々の臨床より感じていることを述べてみたい。

第75回日本矯正歯科学会大会

大会プログラム講演要旨学術展示症例展示 症例報告Academic ExhibitsCase Exhibits著者索引

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臨床セミナー 2

11月8日(火)9:30~11:25 講演会場Ⅱ(徳島文理大学 むらさきホール)

歯科矯正治療における低出力レーザー応用の可能性

清水 典佳

(‌日本大学歯学部歯科矯正学講座‌教授)

略 歴

1977 日本大学歯学部卒業 1982 日本大学松戸歯学研究科修了 1985 日本大学講師 松戸歯学部勤務

1986 - 1988 カナダトロント大学 MRCgroupinperiodontalphysiology研究員 1999 日本大学助教授 歯学部勤務

2003 日本大学教授 歯学部勤務 2004 日本大学歯学部付属歯科病院副病院長 2007 日本大学歯学部付属歯科病院病院長 2012 日本大学歯学部次長

2014 日本大学歯学部附属歯科技工専門学校校長 2015 日本大学歯学部研究担当

日本矯正歯科学会認定医、指導医(1990)、専門医(2006)

歯科領域では骨修復関連治療が数多くあり、骨修復を促進できれば治療効果を顕著に向上できると考えら れる。近年、低出力レーザーの生体組織に対する光刺激作用が注目され種々の生物学的効果が報告されてい るが、その効果の十分なコンセンサスは得られていない。低出力レーザーの効果を科学的に証明し、その発 現機序を解明できれば、効果的な臨床応用が可能になるであろう。我々は低出力レーザーの骨形成促進作用 に着目し、in vivo 、in vitro の研究からいくつかの興味ある結果を得たので紹介する。

上顎劣成長患者に正中口蓋縫合の急速拡大を行い、縫合部の骨修復をはかる。そこでラット正中口蓋縫合 急速拡大モデルを用い、レーザー照射が縫合部骨形成に与える影響を検討したところ、照射群では縫合部骨 形成量が有意に促進され、拡大初期に反復照射することが有効であることがわかった。また、歯の移動時の レーザー照射では、歯の移動量や牽引側骨形成量および圧迫側破骨細数が有意に増大していた。また、成長 期ラット脛骨に植立したアンカースクリュー周囲への照射は、スクリュー周囲の骨形成促進作用を伴うスク リュー動揺度の減少がみられた。

一方、骨芽細胞を用いた in vitro の実験では、培養初期のレーザー照射で細胞の分化、増殖促進を伴った、

bone nodule 形成促進作用が見られ、レーザーの標的細胞は未分化細胞であることが示唆された。さらに

これらの現象は、骨形成関連の局所因子や転写因子発現亢進を介してしていることもわかった。これらの結

果より、低出力レーザー照射は骨形成促進作用を有しており、種々の骨修復関連治療に応用できる可能性が

あると考えられた。

The 75th Annual Meeting of the Japanese Orthodontic Society

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