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The 75th Annual Meeting of the Japanese Orthodontic Society

大会プログラム講演要旨学術展示症例展示 症例報告Academic ExhibitsCase Exhibits著者索引

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第75回日本矯正歯科学会大会

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サテライトセミナー 1

11月7日(月)18:30~20:30 講演会場Ⅰ(アスティとくしま 1階 多目的ホール1)

オキシタラン線維の咬合の安定性における役割を考察する

中島 一記

(‌福岡歯科大学成長発達歯学講座矯正歯科学分野‌助教)

略 歴

平成 17年 福岡歯科大学歯学部歯学科卒業

平成 23年 福岡歯科大学大学院歯学研究科歯学専攻博士課程修了 平成 23年 福岡歯科大学大学院卒後助教

平成 26年 福岡歯科大学助教 受 賞

平成 24年 第 71回 日本矯正歯科学会大会 優秀発表賞

歯周組織の生体力学的特性を理解することは、矯正治療後の咬合の安定性を考える上できわめて重要であ る。これまでは、歯周組織の主な研究対象はコラーゲン線維であったが、いくつかの報告では、弾性系線維 に属するオキシタラン線維もまた、その安定性に関与していることを示唆している。

オキシタラン線維は、1958年に米国 NIDR の Harold M. Fullmer によって発見され、歯根膜、腱、靭 帯、血管外膜、真皮など生体外力が加わる部位に分布している。弾性系線維の異常は大動脈解離や肺気腫な どの疾患と密接に関係していることが報告されている。歯根膜でのオキシタラン線維は、歯軸に対して平行 に走行して歯根を三次元的に囲んでおり、コラーゲン線維と直交あるいは交叉し存在することから、歯根膜 に弾性と柔軟性を与え、脈管の機械的支持や血流調節作用などの機能を担っていると考えられている。しか し、その機能についての詳細は不明である。

これまで我々は、細胞培養における研究で、オキシタラン線維の形成機構を明らかにしてきた。細胞伸展 装置を用いた mechanical stress 付与により、歯根膜線維芽細胞から形成されたオキシタラン線維束は太 くなり、その調節には Fibulin-5 や EMILIN-1 が関与することを明らかにした。また、mechanical stress 付与により細胞が再配列しオキシタラン線維が細胞の長軸に直交するようになった。これらの結果は、オキ シタラン線維が外力に対して線維束の太さを増大させるだけでなく、ある方向性をもって凝集することを示 しており、これは生体における歯根膜組織の機能維持に関連していることが考えられる。

本講演では、これまで報告されてきた矯正治療におけるオキシタラン線維の動態と、我々の研究結果を照

らし合わせながら、咬合の安定性に関して考察していきたい。

第75回日本矯正歯科学会大会

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サテライトセミナー 2

11月7日(月)18:15~20:15 講演会場Ⅱ(徳島文理大学 むらさきホール)

先天性多数歯欠如症例への集学的アプローチ

須田 直人

(‌明海大学歯学部歯科矯正学分野‌教授)

略 歴

1988年 北海道大学歯学部卒業

1992年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士取得)

1993年 メルボルン大学附属セントビンセント医学研究所VisitingAcademics 1995年 日本学術振興会特別研究員

1998年 東京医科歯科大学大学院顎顔面矯正学分野助教 2005年 東京医科歯科大学大学院顎顔面矯正学分野講師 2010年 明海大学歯学部歯科矯正学分野教授(現在に至る)

受 賞

1995年 アメリカ骨代謝学会YoungInvestigatorAward 1998年 日本矯正歯科学会学術奨励賞

2002年 歯科基礎医学会賞

1歯から数歯程度の先天性欠如は一般集団の10.1%と比較的高頻度でみられるが、智歯を除く6歯以上の 先天性多数歯欠如の発症は0.1-0.3%程度と報告されている。このような多数歯欠如は、咬合、咀嚼、審美、

発音など多岐にわたる障害の原因となる。治療においては、矯正歯科、口腔外科、補綴科などによる集学的 アプローチが必要となり、2012年の診療報酬の改定に伴う6歯以上の先天性部分(性)無歯症の保険収載以降、

矯正歯科が果たす役割が大きくなっている。

先天性多数歯欠如症例に対する集学的アプローチでは、連携治療を経て最終的に確立される咬合や歯列に、

矯正歯科治療による歯の移動をどのように活用するかが重要となる。そのため治療方針の決定や治療計画の 立案の段階から、矯正歯科医は他科の担当医と綿密な話し合いを通じて、治療のゴールを共有していくこと が重要である。この時 anchor screw をはじめとした最新の歯の移動技術に基づいた治療計画を他科の担当 医に理解してもらう必要がある。また同時に、矯正歯科医は他科で行われている cutting edge な歯科治療 を十分理解し、治療計画に生かしていく必要がある。

本シンポジウムでは、先天性多数歯欠如症例における歯の欠如に起因した顎態パターン、顎骨・歯槽骨の

特徴、口腔内で欠如を免れた歯の特徴などを踏まえながら、集学的アプローチの実例を基に矯正歯科医が果

たすべき役割について考えたい。

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