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11月9日(水)13:00~14:00 講演会場Ⅰ(アスティとくしま 1階 多目的ホール1)

メカニカルストレスと骨

松本 俊夫

(徳島大学藤井節郎記念医科学センター‌顧問)

略 歴

1974年 東京大学医学部卒業 1977年 東京大学医学部第 1内科 医員 1978年 アメリカ合衆国エール大学内科内分泌部門 研究員

1982年 東京大学医学部第 4内科 助手 1987年 東京厚生年金病院内科 医長 1988年 東京大学医学部第 4内科 講師

1996年 徳島大学医学部第 1内科 教授

2004年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 生体情報内科学 教授(〜 2014年)

2006年 徳島大学医学部長・大学院医科学教育部長(〜 2009年)

2012年 徳島大学 副理事(〜 2016年)

2014年 徳島大学藤井節郎記念医科学センター長

2016年 徳島大学先端酵素学研究所 藤井節郎記念医科学センター 顧問 受 賞

2008年 日本内分泌学会 学会賞 2011年 日本骨代謝学会 尾形賞 2013年 日本骨粗鬆症学会 学術振興賞 2014年 日本骨代謝学会 学会賞

骨は活発な再構築を繰り返しており、力学的負荷は骨吸収と骨形成の平衡関係を維持する上で重要である。

宇宙の微小重力環境ではこの骨代謝平衡が壊れ、骨形成が抑制されると共に骨吸収は亢進する。その結果、

宇宙では6 ヶ月で10%近くという閉経後女性の10倍以上の速度で骨量が失われる。この宇宙での骨量減少 を防止するため、JAXA と NASA の共同でビスホスホネート(アレンドロネート)の週1回服用製剤を用い、

宇宙での骨量減少の防止効果を検討したところ、大腿骨近位部や腰椎での骨密度の減少が防止された。同時 に、骨カルシウムの動員増加による尿中カルシウムの増加も抑制された。しかし、骨吸収抑制薬による骨吸 収の抑制だけでは長期的な力学的負荷の低減による骨形成の低下に基づく骨量減少・骨強度低下は防止でき ない。

力学的負荷は、Wnt シグナル抑制因子であるスクレロスチンや Dkk-1,2などの発現を抑制し Wnt シグ

ナルの促進を介して骨形成を促進することが明らかとなっている。しかしこれらの Wnt 抑制因子の発現が

力学的負荷で抑制される機序は明らかでなかった。力学的負荷に反応して骨芽細胞系細胞での IL-11発現が

急峻かつ一過性に増加する。そして IL-11がスクレロスチン、Dkk-1,2の発現を何れも強力に抑制すること

が明らかとなった。さらに IL-11欠損マウスでは、全身の負荷骨の骨量が減少すると共に、力学的負荷に対

する骨形成反応が低下していた。IL-11は前駆細胞からの骨芽細胞分化を促進する一方、脂肪細胞分化を抑

制する。そして IL-11欠損マウスでは骨髄の脂肪髄化に加え、全身の脂肪組織が増大しインスリン抵抗性の

増大や耐糖能の低下も伴っていた。したがって、骨の力学的負荷に反応して発現が変化する IL-11が、骨量

のみならず全身の脂肪量にも影響を及ぼしエネルギー代謝の制御にも関与する可能性が明らかとなった。

第75回日本矯正歯科学会大会

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シンポジウム

11月8日(火)13:15~15:25 講演会場Ⅱ(徳島文理大学 むらさきホール)

輝いて美しく - 女性医療人へのエール -

水田 祥代

(‌学校法人福岡学園‌理事長、第 23回日本歯科医学会総会‌会頭‌

九州大学‌名誉教授)

略 歴

1966年 九州大学医学部卒業

1974年 九州大学大学院修了・医学博士取得(九州大学甲第 474号)

1989年 九州大学教授 2004年 九州大学病院長 2008年 九州大学理事・副学長

2011年 学校法人福岡学園・福岡歯科大学常務理事 2015年 学校法人福岡学園・福岡歯科大学理事長 受 賞

1995年 財団法人日本女医会 吉岡 弥生賞 2014年 西日本文化賞

2016年 世界小児外科学会連合(WOFAPS) TheLifetimeAchievementAwards 著 書

“Complicationsinneonateswithshortbowelsyndromeandlong-termparenteralnutrition”/SuitaS,MasumotoK, YamanouchiT,NaganoM,NakamuraM/JPEN/23(5):106-109,1999

“Changingprofileofparenteralnutritioninpediatricsurgery:a30-yearexperienceatoneinstitute.”/SuitaS, YamanouchiT,MasumotoK,OgitaK,NakamuraM,TaguchiS/Surgery/131:S275-82,2002

国を始め、社会的全体として女性医療人の離職を防ぐための環境整備への関心が高まっている。しかし、

依然として女性医療人の働く環境は厳しく、このような支援のエンドポイントは何かということや、その方 法などに支援する側とされる側の想いに「ずれ」があることも事実であり、両立支援は迷走している面も多い。

保育園の開設や当直の免除等で少しでも働くことで女性医療人支援を達成しているという錯覚はさけるべき であり、本当の意味での女性医療人支援は意思決定の場に女性が参加することであろう。

女性は男性に比べて決断力に劣るためにチームのリーダーとしては無理だという意見がある。しかし、こ れは個人の能力・資質の問題であろう。多くの国々で大統領や首相、企業や大学のトップとして女性が活躍 している。男女雇用機会均等法が施行されて25年以上経た我が国においても「女子力」が注目され、行政や 企業における女性の進出は進んではいるが、2015年の日本企業の管理職の女性比率を階級別に見ると課長 級9.8%、部長級6.2%であり、欧米先進国と比べてその水準は低い。学術の分野でも、女性研究者の全研究 者に占める比率は近年微増しているものの(平成6年8.6%、平成27年14.7%)、米国34.3%、英国38.1%

に比べると国際的にはかなり低い。また大学教員の職位でも平成27年度で女性教員は教員全体の23.2%で あるが、教授職は15.0%である。なぜこのように女性のトップが少ないのかということを考える時期に来て いる。

上司や男性同僚たちには女性の部下や同僚に対して常にフェアーであってほしい。チャンスもフェアーに 与え、評価もフェアーにしてほしいと願う。一方女性は本当に望むことであれば、育児や就業支援などの制 度設定のみをエンドポイントとして満足することなく、意思決定の場への参加をめざすことを躊躇しないで ほしい。確かにそういう立場につくと仕事量も増え、責任も増えるが、一方では自分の世界が広がり、視野 も広がり、能力もさらにアップし、人生が豊かになる。その素晴らしい醍醐味を十分味わってほしい。

美女、才女、猛女の DNA を持つ女性医療人たちよ、”Stay strong, better days will come!”

The 75th Annual Meeting of the Japanese Orthodontic Society

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