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第 5 章 対話型進化的多目的最適化 65

5.4 考察

なくするために,早い世代(1〜5世代)で擬似人間評価を行い,その後(6世代以 降)で4目的のみのMOGAでの最適化は,擬似人間の目標とする間取りに近く,

かつ世代の後半では4目的のみの最適化や擬似人間のみの最適化よりも良いフィッ トネス値を得ることがこの問題設定では可能であることが判明した.更に人間評 価の回数を5回以下にできる可能性もあり,最初に大まかな部屋の位置を手動で 指定することも考えられる.

動線や採光などの不可避な条件も適応度判定に取り入れている.その不可避な 条件は全てを満たさない個体は間取りとして成立しないが,その個体が進化の過 程で最適化される可能性があるため,本研究の設定では無効の個体(計画案)と して破棄することはしていない.無効個体として破棄し個体を再算出した場合は,

より広域の探索を行うアルゴリズムとなる.広域探索は利点ではあるが進化速度 は遅くなることが予想される.また,本システムは自動計画システムではなく計 画支援システムであり,計画案の一部分に致命的な欠点があったとしてもユーザ がその判断によって計画案を修正することを想定している.ただしユーザがその ような判断ができない場合は目的のフィットネスや問題点を表示するなどの必要は ある.

今回の実験では部屋の種初期値を乱数により決定している.それは先見知識を 用いず設定した条件(目的)のみでの最適化実験のためでもある.先見知識を用 いて大まかな種の位置を決めれば探索空間を限定することができ進化計算も効率 的に行われる.しかし一方では解を限定することにもなるため,本システムの目 標のである「思いもよらなかった案」や解の「多様性」に反することになる.

第50世代が進化の到着地点であるということではない.例示した図は進化過程 の瞬間であり,そこで現れる間取りが必ずしもその試行の最終的な結果を示すも のではない.またその時点において明らかに排除されるような解であっても後の 進化によって良い解となる可能性は残されている.システムを使用する者の計画 に関する知識や技能が不十分ならば,不適切な解の排除を行うシステムの方が良 いであろう.これに対して計画の専門家であれば,不適切な解も僅かな修正によっ て良い解にすることが出来る可能性もある.

擬似人間の評価値のみでの最適化で100試行の実験も行った.10試行の場合(図

5.3(b))と比べてほとんど差は見受けられない(図5.14).今回のシステム設定で

は21個体,10試行でも100試行と同様の平均フィットネス値が得られると言える.

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

0.50 0.55 0.60 0.65 0.70 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00

4 Objectives

Generation

Fitness

Obj1 Area Size Obj2 Proportion Obj3 Circulation Obj4 Sunlighting

図 5.14: 第1〜50世代を擬似人間による評価での単目的最適化の100試行平均の4

目的に関する収束特性.

6 章 建築計画支援システム主観評