第 6 章 建築計画支援システム主観評価実験 85
6.2 評価実験
6.2.2 アンケート結果
アンケート(付録参照)の7項目についての結果を表6.1に,システム(実験)
A・Bについての結果を表6.2にまとめた.またこれらを図6.6,図6.7,図6.8に
表した.次に,各項目についてグループ別の特徴を述べる.
• 操作は簡単だった(図6.6(上)):両学生のグループで全員が「強くそう思 う」,建築実務者グループでは概ね「そう思う」の傾向が見られた.
• 評価するのは簡単だった(図6.6(中)):芸術情報系学生は「そう思う」,建 築系学生は「どちらでもない」,建築実務者は「そう思わない」にグラフの 山がある.
• 最終的に又は途中であなたの欲しい間取りができた(図6.6(下)):芸術情 報系学生は全体に分散しているが,建築系学生と建築実務者は「そう思う」
に山がある.
• 最終的に又は途中で妥当な複数の間取りができた(図6.7(上)):芸術情報 系学生は全体に分散しているが,建築系学生と建築実務者は全員が「そう思 う」を選んでいる.
• 最終的に又は途中で思ってもみなかった間取りができた(図6.7(中)):芸 術情報系学生は「そう思う」と「強くそう思う」を選び,建築系学生は「ど ちらでもない」を中心に分散し,建築実務者は「そう思わない」に山がある が「そう思う」の方にも分散している.
• 刺激になった(図6.7(下)):芸術情報系学生と建築実務者は「そう思う」方 に山があり,建築系学生は全体に分散している.
• このシステムに実用の可能性はあると思う(図6.8(上)):3つのグループ共 に「そう思う」に山がある.
• 2つのシステムの違い(良い間取りが得られたまでの時間,待ち時間,その 他)が感じられましたか?1,2の順序で実験(図6.8(中)):全体として見 ると「ほぼ同じ」と「システムBが良い」付近を多く選んでいる.
• 2つのシステムの違い(良い間取りが得られたまでの時間,待ち時間,その 他)が感じられましたか?2,1の順序で実験(図6.8(下)):建築系学生の 一人を除いて,「システムBが少し良い」と「システムBが良い」を選んで いる.
表 6.1: アンケート結果1.凡例:(1)まったくそう思わない,(2)そう思わない,
(3)どちらでもない,(4)そう思う,(5)強くそう思う.単位は人.
芸術情報系学生グループ (1) (2) (3) (4) (5)
操作は簡単だった 0 0 0 0 5
評価するのは簡単だった 0 0 1 3 1
最終的に又は途中であなたの欲しい間取りができた 0 2 1 2 0 最終的に又は途中で妥当な複数の間取りができた 1 0 1 2 1 最終的に又は途中で思ってもみなかった間取りができた 0 0 0 2 3
刺激になった 0 1 1 3 0
このシステムに実用の可能性はあると思う 0 0 2 3 0 建築系学生グループ (1) (2) (3) (4) (5)
操作は簡単だった 0 0 0 0 5
評価するのは簡単だった 0 1 2 1 1
最終的に又は途中であなたの欲しい間取りができた 0 0 1 4 0 最終的に又は途中で妥当な複数の間取りができた 0 0 0 5 0 最終的に又は途中で思ってもみなかった間取りができた 0 1 2 1 1
刺激になった 0 1 2 0 2
このシステムに実用の可能性はあると思う 0 0 2 3 0 建築設計実務者グループ (1) (2) (3) (4) (5)
操作は簡単だった 0 0 1 2 2
評価するのは簡単だった 1 2 1 0 1
最終的に又は途中であなたの欲しい間取りができた 0 1 0 4 0 最終的に又は途中で妥当な複数の間取りができた 0 0 1 4 0 最終的に又は途中で思ってもみなかった間取りができた 0 3 0 1 1
刺激になった 0 0 1 2 2
このシステムに実用の可能性はあると思う 0 0 2 2 1 合計 (1) (2) (3) (4) (5)
操作は簡単だった 0 0 1 2 12
評価するのは簡単だった 1 3 4 4 3
最終的に又は途中であなたの欲しい間取りができた 0 3 2 10 0 最終的に又は途中で妥当な複数の間取りができた 1 0 2 11 1 最終的に又は途中で思ってもみなかった間取りができた 0 4 2 4 5
刺激になった 0 2 4 5 4
表 6.2: 2つのシステムの違い(良い間取りが得られたまでの時間,待ち時間,そ の他)が感じられましたか?凡例:(1)システムAが良い, (2)システムAが少し 良い, (3)ほぼ同じ, (4)システムBが少しよい, (5)システムBがよい.単位は人.
(1) (2) (3) (4) (5)
芸術情報系学生グループ
1,2の順序で実験 0 0 2 0 1 2,1の順序で実験 0 0 0 2 0
建築系学生グループ
1,2の順序で実験 0 0 1 2 0 2,1の順序で実験 0 1 0 1 0
建築設計実務者グループ
1,2の順序で実験 0 0 0 2 0 2,1の順序で実験 0 0 0 1 2
合計
1,2の順序で実験 0 0 3 4 1 2,1の順序で実験 0 1 0 4 2
図 6.6: グループ別アンケート結果グラフ1.
図 6.7: グループ別アンケート結果グラフ2.
図 6.8: グループ別アンケート結果グラフ3.
次に,記述式アンケートのコメントを以下にまとめる.なお,重複するコメン トは省略した.
• あなたが評価のために注意した事項(評価基準)は何ですか?(複数回答可)
– 極端な形(細長いなど)の室空間ができないように考慮した.(1名)
– 水まわりの位置,リビングの広さ,リビングとダイニングの関係,リビ ング・水まわりの採光・通風.(1名)
– 4つの部屋の広さ,位置.(1名)
– 部屋同士のアクセス,広さ,最初に入る部屋,採光など.(1名)
– 採光がしやすいものか.一定の動作ができる面積が確保されているか.
(1名)
– 水まわりの位置,大きさ.南面に接する部屋が水まわり以外のもの.南 北,それぞれ一面に部屋がないもの.玄関の位置に水まわりやBRがな いもの.(1名)
– 間取り.廊下からLR,LRから各室への出入り口.採光(年面を水また はDK等ですべてつぶさない).廊下からの出入口(LDとつながる).
(1名)
– 水まわりの位置,規模,形状.ベッドルームの大きさとDK・LRとの 関係.(1名)
– 機能的にあり得ない状態を「1」とした(1グリッド巾のもの).水まわ りなどでの必要な大きさと大きく外れるもの(大きすぎる,小さすぎ る)を低い評価とした.部屋の南北など,個人の好みが分かれる所は極 力評価しなかった.(1名)
– はじめは単純に1つ1つを見て,それぞれについてどんな間取りか判断 しようといたのですが,途中からそれでは終わらないと思い,少し自分 の評価基準を入れて判断しました.1.水まわりをDKが隣合せの方が良 い,2.水まわりとBRが隣合せの方が良い.(1名)
– 各々の部屋の広さ(リビングは広め,ベッドルームは狭め).部屋の位 置(北と南を強く意識しました).(1名)
– それぞれの部屋の大きさ(縦横比).BR,水だけが通路側になっていな いか.(1名)
– 部屋間の移動は便利か.極端な広さの偏りが出ないようにした.(1名)
– 部屋の大きさが極端でないこと.LRとDKが面していること.LRが 窓(南)側にあること.(1名)
– 水場の大きさと位置.ベッドルームの大きさ.リビングの大きさ.(1名)
• 操作性はどうでしたか?自由に記述ください.
– 簡単だった.
– 扱いやすかった.
– 軽快で良かったと思います.
– 5段階評価で考えやすかったが慣れてくると10段階でも良いのでは.(1 名)
– 画像から実像を頭の中に描いてイメージする必要,時間が要るのでその 意味では大変だった.(1名)
– 操作性は問題ないのですが,だんだん同じプランが複数出てくるように なって,それらを分けようと荒く判断をして並べ替えをするのですが,
その時に同じプランがまとまってくれなかったのが,少しわかりにくい と思いました.(1名)
– わかりやすかった.(1名)
– 特に問題はありませんでした.(1名)
– 操作は簡単で比較しやすかったが,もう少し細かい分類(複数の比較項 目)レベルで比較できるオプションが欲しいと思った.(1名)
• 表示は2D,3Dのどちらをどの程度使用しましたか?
– 2Dを使用した.3Dの方が空間を想像しやすかったが間取り同士を比較 する時に面積の違いがわかりにくい印象を得た.(1名)
– 2Dのみ使用.(複数名)
– 2Dが7割,3Dが3割.(1名)
– ほぼ2D.(1名)
– ほぼ全て3D.(1名)
– 2Dのみ(3Dになるとイメージが縛られ,窓,入口,廊下など,その他 のイメージを想像し難くなると思ったため).(1名)
• 全体システムについての問題点・改良点,アドバイスがありましたらお願い します.
– 空間として想像するのが少し難しかった.例えば,家具の大きさがわか るものが画面上にあれば,よりスケール感がつかみやすくなるのではな いかと感じた.
– 玄関などもっと具体性を増した方がよいと思う.(1名)
– 3Dの方がもう少し立体的だともっと間取りの違いがわかりやすかった かと感じました.(1名)
– DR,LRの違いをつけても良いかもしれません.→個人的にはあまり
違いをつけませんでした.(1名)
– BR南面パターンが少なかったように思う.1つのテーマに沿って答え るように出来れば(リビングが南面しない時のパターン作りなど).(1 名)
– 4つの機能での分類で限定されているため「空」があるものほど魅力的 な感じがする.5段階評価の中にも多種の評価理由があるので,その部 分も踏まえて統計できればこのシステムの完成度も増すのではないか.
(1名)
– 水廻りについてはサイズを6〜12とか,ある範囲で絞った方が良いので は.1グリッド巾のでない様にすることができればベター.(1名)
– テストが進むにつれて,プランが絞られてくると思うのですが,21あ るプランを同じように何度も見ていると頭が疲れてきて微妙な違いの 判断をするのがつらくなってきました.進むにつれて,プラン数は減っ てきてはだめなんでしょうか?(1名)
– 3Dの場合,もう少しリアルな表現があるといいと思います.例えば陰 影です.間取りよりも家具の配置システムの方があると便利だと思いま した.(1名)
– 数字が5,4,3,2,1になっていると並び替え時に見やすいかもしれません.
(1名)