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 本研究では、被災高齢者の今後の恒久的居住地における住生活指向を明らかに することと、現状の高齢者専用住宅の震災時の実態を明らかにすることを目的に、

仮設住宅入居者及びシルバーハウジング、インナーシティ住宅居住者を対象に2 つの調査研究を行った。

 その結果、本調査対象の65歳以上の高齢者は全体の約4割を占め、男女比は、

前期高齢者では6対4で男性の方が多くなっているが、後期高齢者では4対6で

女性の方が多い。

 また、震災前の世帯構成に関しては、前期高齢者では、単独世帯、夫婦のみの

世帯が3割強つつでほぼ半々であるが、後期高齢者では、4対2で単独世帯の方

が多くなっている。これを前期高齢者、後期高齢者合わせた65歳以上の高齢者に ついてみると、単独世帯が35.4%、夫婦のみの世帯が32.3%で、厚生省の調査と 比較すると、夫婦のみの世帯、単独世帯ともにより多く、特に単独世帯について は約2割も多い。このことより被災した高齢者においては、震災前より一人で暮

らしていた者がかなり存在していたと言える。

 現在仮設住宅での世帯構成については、前期高齢者、後期高齢者においても、

単独世帯、夫婦のみの世帯ともに震災前より若干増加している。これも前期高齢 者、後期高齢槍合わせた65歳以上の高齢者についてみると、単独世帯が39.0%、

夫婦のみの世帯が37.7%であったが、県調査結果では、単独世帯が51.2%、夫婦 のみの世帯が38.9%と、県調査の方が高齢者の単独世帯の割合がより多くなって いる。このことより現仮設住宅においては、一人暮らしの高齢者や高齢の夫婦の みで暮らしている高齢者世帯が8割から9割を占めていることがわかる。

 震災前の住宅に関しては、前期高齢者の4割強が、後期高齢者においては約5 割の者が持家居住であり、住宅の種類別では、戸建て住宅居住であった者が前期

高齢者では約4割、後期高齢者では3割強と最多となっているが、後期高齢者で は文化住宅や長屋居住であった者も各々約3割、約2割と多い。これは高齢者の 持家率の高さを反映したものと言えるが、同時に比較的建築時期の古い住宅に住 んでいた高齢者の多いこともうかがえる。

 このような都市部の高齢者が今後望んでいる居住形態としては、夫婦又は単身 での居住を、前期高齢者では各々3割強づっ、後期高齢者では各々2割強つつの者 が望んでいる。しかし本調査対象はもともと単独又は夫婦のみ世帯が多いため、

希望としては一人暮らしや夫婦での居住を望む者が多くなっているが、現在の仮 設住宅での世帯構成と比較すると、単身での居住を望む者は減少しており、また 同居に関しても希望は少なく、後期高齢者では1割強も減少している。これより 割合的には他の調査結果よりも低い近居を望む者が増加していると言える。

 希望の住宅に関しては、やはり持家指向が強く、後期高齢者では戸建て持家や

公的分譲住宅の希望が各々約4割、2割強となっており、公的借家希望は約2割

と少ない。しかし前期高齢者に関しては公的借家希望が3割強と戸建て持家希望 よりやや多く、公的分譲住宅希望も約2割となっている。また老人福祉施設の希 望については、やはり後期高齢者の方により多くみられる。

 また高齢社会における集合居住として、第1に望む住宅タイプについてみると、

65歳を境として差がみられ、65歳未満の年齢層では一般世帯も高齢者世帯も関係 なく完全に混住している「住棟内分散型」の希望が多く、一方65歳以上の高齢者 層では高齢者住戸が1階に配置され、高齢者がある程度まとまって居住している

「住棟内集中型」をより多く望んでいる。しかし身体が弱った場合に望む住宅タ イプについては年齢層による有意な差はみられず、1,2階が福祉施設になってい るシルバーハウジングの希望が最も多くなっている。次いで後期高齢者では先の 高齢者住戸が1階に配置されている住宅の希望が多く、前期高齢者では24時間ヘ ルパー付の協同で生活する新しいタイプの居住型の希望があげられている。

 このように身体が弱った揚合にはシルバーハウジングを希望する者が年齢層 に関わりなく多くなっているが、現状のシルバーハウジング等高齢者専用住宅に おける震災時の住生活実態に関する調査の結果では、ケアスタッフである生活援 助員(LSA)による震災直後の安否確認は約3割強と少なく、誰からも安否確認さ れなかった者も約1組みられ、緊急通報装置もうまく機能していなかった事が明

らかとなった。

 また水の運搬や食物の確保等の震災時の宰援に関しても、支援を得ていない者 が多く、得た者でも親族から最も多くなっており、ボランティアや近隣からの支 援はほとんど得られていなかった事等が明らかとなった。

 住宅における高齢者配慮点としては、日当たりや風通しの良さへの配慮希望が 最も多く、次いで使いやすい風呂や、洋式トイレ、段差の解消などが続いている。

 またコミュニティに対する希望としては、全体傾向では以前住んでいた所、交 通の便のよい所の希望が約4割づつと多くあげられているが、特に後期高齢者で は親しみ易い人や家族のように助け合える人の多いコミュニティ等、よりソフト 面における希望も他の年齢層よりも多くみられる。

 コミュニティの年齢構成に関しては、全体的にはいろいろな年齢層のいるコミ ュニティの希望が過半数を占めているが、これも年齢層別にみると年齢が上がる につれ同年代のみや同年代の多いコミュニティを望む者も多くなっている。

 しかしこのことに関連して、高齢者専用住宅調査の食物確保の支援について住 宅の建築様式別に、高齢者のみの住宅と一般世帯と混住している住宅とを比較す ると、一般世帯と混住している住宅の方が支援を得ていない者は少なく、ボラン ティアからの支援も約4割の者が受けているという事が明らかとなっている。

 また地域に望む生活関連施設には、病院・診療所が最も多く、次いで食料品店、

行政の窓口施設が続いている。宅配店や高齢者福祉施設に関しては高齢者により 多く、若年層とは異なる点と言える。

 住生活におけるつきあい面に関しては、震災前の住宅地では全体傾向では多少 あった者が約5割、非常に多かった者が約3割となっているが、年齢層別には高 齢になるほど非常に多かった者は増加している。つきあいの必要性も約8割の者 が認めており、非常に必要とする者は前期高齢者に約4割と最も多くみられ、高 齢になるほどより強く認めていることがわかる。

 そのため仮設住宅へ移ってからはっきあいが減ったと答える者が約6割と若中 年層より多く、増えた者については若年層ほど多くなっている。しかし仮設で知

り合いの出来た者は約8割と50歳未満の若年層より約1割強多く、団地でのつき あいに対しても、全体的にはまあまあ良いが過半数を占めているが、年齢層別に は高齢になるにほど肯定的であると言える。また同年代の知り合いも若年層より 多く、高齢になるほど同年代には気の合う人を見つけやすいと回答している。

 仮設へ移ってからの友人・知人との交流は約7割の者にあり、年齢層による差 はそれほどみられない。また別黙々との交流に関しては、年齢があがるにつれ別

居子の訪問は3割強の者が、電話での交流は6割強の者が、毎日又は週1回程度

の頻繁なつきあいをしている。しかし、全く別居子との交流のない者も約1割弱

みらμる・

 また助け合いに関して、65歳以上の高齢者層の震災前後の状況と現仮設住宅及 び恒久的居住地での希望を比較した結果、前居住地では気軽なおしゃべりや買い 物の頼み合いなどが多く行われていたが、仮設住宅に移ってからはそれらは減少 し、おかず等のおすそわけや互いの安否の確認が増加している。また現在の仮設 住宅で今後望む助け合いには、急病時の看護介助や、悩み事の相談、日曜大工の 手助け等をあげる者が多くなっている。そして更に恒久的居住地においては、そ の割合は高くなり、より親密な緊急性を要する助け合いを望んでいることがわか

る。

 また65歳未満の若中年層に関しても、震災前後及び希望との比較を行った結果、