第 5 章 ステレオタイプ抑制による逆説的効果の個人差の検討:
5.3.3 結果
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た。第二回目の調査後,デブリーフィングを行った。
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的複雑性という個人差を扱っているため,重回帰分析を用いた。条件ごとの男 女の内訳は,ステレオタイプ抑制あり条件は男性 43 名,女性 31 名であり,ス テレオタイプ抑制なし条件は男性 40 名,女性 37 名であった。参加者の性,ス テレオタイプ抑制,認知的複雑性およびそれらの交互作用項を説明変数,ステ レオタイプ的判断を基準変数として重回帰分析を行った。基準変数であるステ レオタイプ的判断の得点は,以下のように算出した。まず,女性の数学能力に 対する判断を測定した3項目(「理論的考えができそう」,「図形問題に強そう」,
「数字に強そう」)について,得点が高いほどステレオタイプ的な判断を行って いることを示すように,逆転の処理を行った。次に,3 項目の平均値を算出し,
その値をステレオタイプ的判断の得点とした。探索的に「理論的考えができそ う」,「図形問題に強そう」,「数字に強そう」の 3 項目すべての組み合わせの平 均値を基準変数として以下の重回帰分析を行ったが,「理論的考えができそう」
と「数字に強そう」の平均値でしか有意な結果は得られなかった。そこで以降 では,基準変数であるステレオタイプ的判断の得点として,「理論的考えができ そう」と「数字に強そう」の平均値(M = 4.18, SD = 0.95)を用いた分析につい て示す。
以下の重回帰分析の結果で示されているように,「図形問題に強そう」項目を 除いた他の 2 項目(「理論的考えができそう」,「数字に強そう」)の平均値につ いて結果が得られたことから,女性の数学能力に関するステレオタイプは,図 形問題に関することではなく,数字や理論的考えに関することである可能性が 考えられる。
重回帰分析を行う準備として,参加者の性とステレオタイプ抑制に関する条 件をダミー変数化した(男性= 1, 女性 = 0;ステレオタイプ抑制あり条件= 1, ス テレオタイプ抑制なし条件 = 0)。さらに,それらと認知的複雑性の得点,ステ
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レオタイプ的判断の得点を平均値が0,分散が1のZ得点に換算して標準化した。
次に,参加者の性,ステレオタイプ抑制,認知的複雑性およびそれらのすべて の組み合わせの二次の交互作用項と三次の交互作用項を説明変数,ステレオタ イプ的判断を基準変数として重回帰分析を行った(Table 5.3.1)。その結果,モ デルが有意であり(R2 = 0.10, F (7, 143) = 2.17, p < .05),参加者の性×ステレオタ イプ抑制×認知的複雑性の交互作用効果が有意であった(β = -0.22, t = -2.39, p
< .05)。交互作用効果が有意となったことから,Cohen & Cohen(1983)に基づ
く単純傾斜の検定を行った(Figure 5.3.1)。この検定では,説明変数の平均±1SD の値について分析を行う。つまり,認知的複雑性得点の平均+1SD を認知的複 雑性高条件,認知的複雑性得点の平均-1SD を認知的複雑性低条件として分析 を行った。その結果,男性において,認知的複雑性低条件では,ステレオタイ プ抑制あり条件はステレオタイプ抑制なし条件よりも,ステレオタイプ的判断 の得点が高く(β = 0.52, t = 3.29, p < .01),認知的複雑性高条件では,ステレオタ イプ抑制の効果は見られなかった(β = -0.10, t = -0.64, n.s.)。さらに,男性にお いて,有意傾向ではあったがステレオタイプ抑制あり条件では,認知的複雑性 高条件は認知的複雑性低条件よりも,ステレオタイプ的判断の得点が低く(β =
β p
参加者の性 .06 .43
ステレオタイプ抑制 .05 .51
認知的複雑性 .04 .65
参加者の性×ステレオタイプ抑制×認知的複雑性 -.22 .02 F (7, 143) = 2.17, p < .05
「理論的考えができそう」と「数字に強そう」の平均値を基準変数とした 重回帰分析の結果
説明変数 R2 = .10
Table 5.3.1
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-0.34, t = -1.89, p < .10),ステレオタイプ抑制なし条件では,認知的複雑性高条件
は認知的複雑性低条件よりも,ステレオタイプ的判断の得点が高いことが示さ れた(β = 0.28, t = 2.32, p < .05)。女性においては,有意な結果は得られなかった。