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第 5 章 ステレオタイプ抑制による逆説的効果の個人差の検討:

5.1.2 方法

実験参加者

大学生122名(男性53名,女性65名,不明4名;平均年齢19.65歳,SD = 1.08) が調査に参加した。回答項目に欠損のあった30名を分析から除外し,92名のデ ータが分析に用いられた。なお,除外した30名は,優位ステレオタイプ抑制あ り条件が 13 名,優位ステレオタイプ抑制なし条件が 17 名であり,条件間の欠 損に大きな違いはみられなかった。

材料

配布された質問票は,調査者が異なる 2 つの質問紙がセットになったもので あった。1つ目の質問紙は「文章に関する研究の予備調査」と称され,「調査A」

と「調査B」で構成されていた。2つ目の質問紙は「社会的集団に対する印象形

成の予備調査」と称されていた。1 つ目の質問紙の「調査 A」は,「専業主婦」

と「キャリアウーマン」のイメージについて評定させる課題であり,これによ って,女性の優位ステレオタイプ的特性の利用可能性と非優位ステレオタイプ 的特性の利用可能性の測定を行った。具体的には,「専業主婦」と「キャリアウ ーマン」について,それぞれ異なる32個の特性語(Table 5.1.1, Table 5.1.2; 沼崎 他,2006)が当てはまるか当てはまらないかをたずねた。当てはまると回答し た特性語についてのみ,当てはまる程度を1(弱い)―7(強い)の 7 件法で評

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定させた。「専業主婦」と「キャリアウーマン」の評定の順番は参加者ごとに無 作為化されていた。

続いて「調査B」では,女性の写真を提示し,その人物の日常的な一日を想像 させ 5 分間で記述させる課題を行った。その記述の際に優位ステレオタイプ抑 制の操作を行った。具体的には,「以下の写真の女性が普段過ごしている一日を 想像して以下の記述欄に書いてください。」という教示があり,その下には女性 の写真と記述欄があった。このとき,優位ステレオタイプ抑制あり条件にのみ

「専業主婦のような一日は書かないように注意してください。」という優位ステ レオタイプを抑制させるための教示が記載されていた。優位ステレオタイプ抑 制なし条件には,そのような教示は記載されていなかった。

2 つ目の質問紙では,「女性」に対する印象をたずねる課題を行った。これに よって,優位ステレオタイプ的判断の測定を行った。具体的には,課題間の影 響を最小限に抑えるために,「アメリカと中国,男性と女性,大学生と高齢者と いう 6 つの集団についての基礎データを収集しています。これら 6 つの集団の 内,一つの集団にだけ回答していただきます」という教示が記載されていた。

実際は,すべての参加者が「女性」について回答するように作成されていた。「女 性」について,優位ステレオタイプ的特性の利用可能性の測定に用いられたも のと同様の特性語 32 語(Table 5.1.1)がどの程度当てはまるかを,全く当ては まらない(1)―非常によく当てはまる(7)の7件法で回答させた。ただし,4 つの項目が逆転項目となっていた。具体的には,「頼りない」項目を逆転項目と して「頼りがいのある」に,「意志の弱い」項目を逆転項目として「意志の強い」

に,「親しみやすい」項目を逆転項目として「親しみにくい」に,「面倒見の良 い」項目を逆転項目として「面倒見の悪い」に変数名を変更した。

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1 頼りない 17謙虚な

2 受け身的な 18世話好きな

3 うるさい 19優雅な

4 依存的な 20優しい

5 おしゃべりな 21控えめな 6 臆病な 22面倒見の良い 7 でしゃばりな 23おしとやかな 8 意志の弱い 24家庭的な 9 うわさ好きな 25もの静かな 10 弱々しい 26気立てのよい 11 おせっかいな 27純真な

12 口出しする 28流されやすい 13 意見のない 29可愛らしい

14 干渉的な 30温かい

15 親しみやすい 31おっとりした 16 八方美人な 32協力的な

Table 5.1.1

 優位ステレオタイプの利用可能性の測定に用いた項目

1 有能な 17自信のある

2 頑固な 18威圧的な

3 冷静な 19独立した

4 孤独な 20自分勝手な 5 勇敢な 21指導力のある

6 強引な 22高圧的な

7 気ままな 23分析的な

8 批判的な 24無愛想な

9 はっきりした 25決断力のある

10 傲慢な 26攻撃的な

11 孤高の 27堂々とした 12 独りよがりな 28打ち解けない 13 意思の強い 29統率力のある

14 支配的な 30闘争的な

15 論理的な 31束縛されない 16 そっけない 32とっつきにくい

Table 5.1.2

非優位ステレオタイプの利用可能性の測定に用いた項目

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手続き

調査は,授業時間内を利用し数回に分けて行われた。調査者は,質問票を参 加者に配布し,先に行われる課題における抑制の教示によって次の課題で行わ れる評定においても抑制を続けてしまうという可能性を考慮し,課題間の影響 を最小限に抑えるために以下の教示を行った。セットになっている 2 つの質問 紙は調査者が異なり,1つ目の質問紙は「文章に関する研究の予備調査」であり,

2つ目の質問紙は「社会的集団に対する印象形成の予備調査」であることを強調 した。調査は調査者の指示に従って進められた。調査後,文書によるデブリー フィングを行った。調査の実施時間は約20分であった。