◆ ポスターディスカッション
糖尿病患者における禁煙後 1 年の経過について
村
むら田
た千
ち里
さと東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科 / 野村総合研究所 産業医 加藤 清恵、及川 洋一、香月 健志、富田 益臣、沖杉 真理、松岡 健平
穴澤 園子、島田 朗
東京都済生会中央病院 糖尿病・内分泌内科
【 目的 】喫煙は動脈硬化、癌、COPD などの原因となる。糖尿病患者では網膜症・腎症の増悪因子と なることも指摘されており、原則禁煙が推奨される。糖尿病患者における、禁煙 3 ヶ月後の禁煙成功率、
1 年後の継続率、禁煙前後の体重・HbA1c の変化について検討した。 標準手順書に従った保険診療に よる禁煙治療を希望した糖尿病患者 100 人を対象とした。
【 結果・考察 】男性 89 人、女性 11 人、平均年齢 61.2 ± 9.9 歳。治療法はニコチンパッチ使用 31 人、
バレニクリン使用 57 人、副作用のため両方使用 7 人、禁煙補助剤を使用せず診察のみの治療 5 人で あった。3 ヶ月後禁煙成功率:85% 、1 年禁煙継続率 61 %(1 年後再喫煙 27%、通院中断または転院 のため不明:12%)であり、「平成 19 年度診療報酬改定結果検証に係る特別調査 ニコチン依存症管 理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査結果概要」における全国平均に比較し禁煙成功・
継続率ともに高かった。慢性疾患の治療中である患者においては合併症への懸念などから禁煙のモチ ベーションも高く、また禁煙外来終了後にも続けて通院するため医師・看護師からの継続禁煙支援を 得られるため成功・継続率が高いと考えられる。1 年間禁煙を続けた群を継続群、1 年の間に再喫煙し た群を再喫煙群とした時、継続群は再喫煙群に比べて禁煙開始前の平均年齢が高く、HbA1c が低い傾 向があった。ニコチン依存度、治療法による差は認めらなかった。BMI は継続群では 0、3 か月、12 か 月 に お い て、25.0 ± 4.0, 25.0 ± 4.0, 25.5 ± 4.2kg/m2と、12 ヶ月後に BMI の増加を認めた
(p=0.0205)が、その差は 0.44 ± 1.33 kg/ m(体重 1.32 ± 3.9kg)であった。一般に禁煙後の体2 重の増加は 2-3kg とされているが、今回の検討ではそれよりも少なかった。従来より食事・運動療法 を継続して行っている糖尿病患者では禁煙中も適宜栄養相談などを受けることにより、禁煙の影響に よる体重増加を少なくすることができると考えられた。血糖コントロール、HbA1c は開始時、3 か月、
12 か月において変化は認められなかった。 喫煙によるデメリットとわずかな体重増加などの禁煙によ るデメリットを比較すると糖尿病患者でも禁煙が推奨されると考える。
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ニコチン貼付剤とバレニクリン酒石酸塩の両剤による 禁煙再治療例の検討
蜷
にな川
かわ杏
きょう子
こしんクリニック 野々山真樹 しんクリニック
【 始めに 】禁煙治療に際し、ニコチン貼付剤(以下ニコチネル ®)とバレニクリン酒石酸塩(以下バレ ニクリン)の両方の薬剤を使用した場合の相違について検討した。
【 対象 】禁煙の再治療に際し、初回治療時にニコチネル ®、再治療時にバレニクリンを使用した 5 例を 対象とした。平均年齢は 49.8+/ - 6.3 歳で全例男性であった。1 例はニコチネル ® にて 2 回治療した あとの 3 回目の治療であった。前回治療後から喫煙再開までの期間は平均 6.2+/-10.3 ヶ月であった。
【 方法 】アンケートにより検討した。各設問は以下の通りであった。1. ニコチネル® 使用時の副作用 は? 2. 再治療時にバレニクリンを希望した理由は? 3. バレニクリンによる治療はより容易か? 4. バ レニクリンによる治療は効果がより高いか? 5. バレニクリンによる治療の方が良いと思うか? 6. バレ ニクリンによる治療費用は高いか? 7. 治療に対する希望 8. 治療終了後の禁煙状況
【 結果 】 5 例とも再治療終了時点で禁煙成功であった。アンケートの回収は 3 例(60%)であった。総 じてバレニクリンによる治療の方が、効果も高く、治療方法としても同等か良い印象であった。両方 の治療とも副作用が出ており、値段も同等か、効果に見合う金額とのことであった。回答のあった 3 例のうち 2 例は禁煙が続いているが、1 例は治療後ストレスで再開していた。
【 考察 】母集団、回答数とも少数であるが、総じてバレニクリンの治療の方が良いとの印象であった。
しかしながら、バレニクリンを初回にも使用した症例の再治療時の成績は 72%の成功率で、バレニク リンそのものによる成功率上昇とは言い難いと考える。ニコチン摂取量が徐々に減る方法が良かった ので治療終了後が楽であったとの感想もあったが、初回にバレニクリン、2 回目にニコチネル ® を使 用した症例は無く、薬剤を変えることによる効果ははっきりしなかった。
【 結語 】禁煙再治療時にニコチネル ® ⇒バレニクリンを使用した症例について検討した。治療成績は 良好であったが、アンケートによる調査では、その原因ははっきりしなかった。
禁煙治療における介入の質が成功率に与える影響
―資格保有の有無による成功率の比較―
小
こ池
いけ啓
ひろ司
し日本禁煙学会理事長
田代 真優2)、呉橋 博子2)、甲斐 和枝2)、菅澤 英一3)、亀田 光二4)、渡邊 智記3)
2)日自衛隊阪神病院禁煙外来、3)防衛医科大学校外科1、4)防衛医科大学校臨床検査医学
【 背景・目的 】
自衛隊阪神病院は平成 23 年 10 月より保険診療を開始した。開設当初より平成 24 年まで認定指導医 が全て担当していたが、人事異動により認定指導医が初診のみを担当し、第 2 回目より他の医師が交 替で担当することとなった。
今回、医師の介入の質によって禁煙治療の成績に差異が見られるのか自験例で retrospective に検討 した。
【 対象 】
平成 23 年 10 月から平成 27 年 3 月までの間に自衛隊阪神病院の禁煙外来を受診した 269 例のうち、
保険診療の基準を満たし、他院紹介、移行期を除いた 240 例(男 231 例、女 9 例)で、喫煙指数 ;508
± 242(200 〜 1596)、TDS;7.7 ± 1.4 点、FTND;5.9 ± 2.2 点、KTSND;15.2 ± 5.4 点、初診時 CO 濃 度 ;16.3 ± 8.2ppm、HbCO% ;3.2 ± 3.5% である。
【 方法 】
平成 24 年 10 月までの初診患者で指導医が主に担当した 153 例を前期群、同年 12 月以降に初診の 87 例を後期群として、背景因子、初診より 12 週時点の治療完遂率、同成功率を比較した。成功の基 準は 12 週時点で 1 か月以上喫煙していないものとした。
担当医の交替以外に看護師、薬剤師の介入等に変更はないものとした。
【 成績 】
両群で背景因子に差はなかった。
両群の治療完遂例は前期群 97 例(63.4%)、後期群 60 例(69.0%)で差はなかった。治療中断後不 明の 1 例を除いて、前期群 152 例中成功 133 例(88.1%)、後期群 87 例中成功 62 例(71.3%)であり、
前期群で高率であった。
【 考察 】
一般に治療の完遂と成功率は比例するとされているが、今回の検討では異なっており、診療側、受 診者側それぞれの因子が推察される。成功率の差には 2 回目以降の受診時の指導医の介入による上乗 せ効果が考えられ、成功率に関与する因子であることが示唆された。
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妊婦の再喫煙予防プログラム試案の検証
小
こ林
ばやし淳
じゅん子
こ山形大学 医学部 看護学科 森鍵 祐子
山形大学 医学部 看護学科
【 目的 】女性喫煙者にとって妊娠は禁煙の動機づけとなるが、出産後までの再喫煙が課題である。
本研究は、妊娠を契機に禁煙した女性喫煙者への再喫煙予防プログラム試案の効果を検証することを 目的とする。
【 方法 】
1 対象者 介入群:Y 県M保健所管内で調査の協力を得た 1 市 2 町で平成 24 年 9 〜 12 月開催の 母子健康手帳交付に来所した妊娠を契機に禁煙した妊婦。対照群:介入群と同市町で同時期開催の 4 か月児健康診査に来所した母親。
2 方法 介入群:各市町任意の 2 か月間で開催した母子健康手帳交付に来所した対象者に、
再喫煙予防を目的とするアセスメントシート(問診票・禁煙継続の認識チェックシート)と 支援マニュアル(個別支援のポイント・ミニパンフレット)を用いて支援する。
出産後の 4 か月児健康診査(平成 25 年 5 〜 11 月)の問診の際に喫煙状況を尋ねる。
対照群:介入と同時期の 4 か月児健康診査に来所した
母親に、質問紙により当該児の母子健康手帳交付時と調査時点での喫煙状況を尋ねる。
3 倫理的配慮 書面と口頭で研究目的と方法、市町並びに個人が特定されないこと、協力の可否は自 由意志、
否であっても不利益は生じないこと等を説明し書面で意思を確認。
【 結果 】
1 介入群 母子健康手帳交付来所者 98 名中妊娠を契機に禁煙した妊婦 17 名。年齢 26.9(± 4.9)歳。
身近な喫煙者あり 14 名(内夫 9 名)、禁煙継続の認識(100 点満点):継続する(意思)25 点 1 名、90 点台 2 名、100 点 12 名、
禁煙継続できる(自己効力感)27 点 1 名、67 点 1 名、80 点台 3 名、100 点 10 名。
4 か月健康診査時の喫煙状況:転居等を除く 14 名中禁煙継続 12 名、再喫煙 2 名。
母子手帳交付時に身近な喫煙者ありは禁煙継続 9 名、再喫煙 2 名。
禁煙継続の意識は再喫煙者が禁煙継続者よりも優位に低く(p < 0.05)、自己効力感は差がなかった。
2 対照群 4 か月児健康診査来所者 94 名中当該児の妊娠を契機に禁煙した母親 14 名。喫煙状況:禁煙 継続 11 名、再喫煙 3 名。
3 母子手帳交付時の支援と 4 か月児健康診査時の喫煙状況との関連は認められなかった(p=0.65)。
【 結語 】妊婦の再喫煙予防プログラム試案の効果は認められなかった。
一方、母子健康手帳交付時の禁煙継続の意思が十分でない妊婦は、再喫煙のハイリスク者となる可能 性が示唆された。