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年と今後に向けて

ドキュメント内 第9回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 152-164)

◆ 一 般 口 演

無煙映画大賞の 10 年と今後に向けて

 上

かみ

 喜

さがみ無煙社会をめざす会

 東京のタバコ問題首都圏協議会主催の「2005 年望年会」で第 1 回の表彰式をしてから丸 10 年、そ して 2006 年から禁煙学会が主催するようになって足掛け 10 年となりました。映画は北海道の松崎道 幸先生の論文(「映画の喫煙シーンはタバコを吸う子どもを増やす」)にあるように未成年者の喫煙開始 のきっかけとして大変影響力の強い媒体です。ですから映画製作者がそのことを理解し、自らが自己 規制をしていかなければなりません。一方、タバコ会社としても、影響力が強い媒体だからこそ FCTC を無視してでも広告宣伝に活用したい媒体です。では、どうしたら未成年者を喫煙開始から予防する ことができるのでしょうか。私は「人は褒められることで変わる。」という信条があり、その信条に基 づき映画の中でタバコの出ない無煙の作品を制作した監督や会社を評価してきました。映画界の無煙 化を進めるには多少回り道かもしれませんが結果的には確実な道だと思っています。そのかいあって か、最近の映画の喫煙シーンはかなりタバコの害について考慮されるようになってきました。タバコ はくわえるだけとか、火をつける前にカットするとか、実質的にタバコの害を避けた演出も目立って きました。10 年の取り込みは理解ある関係者を少しずつではありますが増加させているようです。今 後に向けては、会員の皆様がそれぞれの立場や場面で「タバコについての真実」を一般人の常識とし てひとりでも多くの人に根付かせることが、映画関係者にタバコ会社や広告代理店が触手を伸ばそう とした時の歯止めになると信じています。今この場にいる人のすべてが「お金のためにタバコを吸お うとは決して思わない」ように映画界や広告代理店、芸能プロダクション、ひとりひとりの俳優やス タッフの気持ちに訴える活動をし、お金のために魂を売るようなことはしない、という常識を一般化 していきたいと決意を新たにしています。過去の受賞作品名(作品賞のみ) * 2005 年、2006 年は 該当なし 2004 年度 「父と暮せば」2007 年度 「キサラギ」2008 年度 「おと な り」2009 年度  「アンダンテ 〜稲の旋律〜」2010 年度 「ツレがうつになりまして」2012 年度 「しあわせのパ ン」2013 年度 「はじまりのみち」2014 年度 「魔女の宅急便」

O13-5

水タバコの危険性等について

さん

 東

とう

 太

たい

 介

すけ

樹徳会 上ヶ原病院

 今年 3 月に第 16 回 WCTOH(World Conference on Tobacco or Health: タバコと健康に関する国際会 議)が開催されました。さまざまな課題が議論されましたが、開催地がアラブ首長国連邦のアブダビ ということもあって水タバコの広がり(特に若年者)、危険性等の発表が多くみられました。幸い日本 では、これらの地域ほど広まってはいませんが興味本位の使用や今後流行する可能性も否定できませ ん。また一部には「水タバコは、普通のタバコより安全であり」等の誤った情報が散見されます。今 回の発表では水タバコの危険性、広がり、法律上の問題等について報告いたします。

O13-6

熊本出身の名学僧面山瑞方が作った「禁煙数え歌」は 儒学者林鵞峰によるタバコ讃歌のパロディ

くる

 馬

 明

あき

 規

のり

とげぬき地蔵尊高岩寺

【 緒言 】著者は熊本出身の学僧で曹洞宗中興の祖師、面山瑞方(めんざんずいほう 1683 〜 1769 熊本 市植木町生 流長院で出家 禅定寺で住職 (1))の禁煙語録の一部に解説を加え上梓したが(2)、語録の 全容は未だ明らかではない。なかでも『永福結夏語録(えいふくけつげごろく)』中の『憎煙酒歌』は、

儒学者 林羅山一門の「タバコ礼讃歌」のパロディとされているが、永らく出典不明であった。そこで 著者は林家一門の膨大な著作を検索し、元歌を『鵞峯林學士詩集』第 71 巻『煙酒歌』と同定し報告 する。

【 結果 】『煙酒歌』(元歌)一つ吸えば、唇辺の腥を洗うがごとし(タバコを吸うと唇の生臭みがとれ る)二つ吸えば、満口、歯牙にそそぐ(煙が口・歯を清める)三つ吸えば、のどに透けて、うっ滞を散 す(のどがすっきりする)四つ吸えば、腸を捜して、何物かさえぎん(便通がよくなる 以下略)『憎 煙酒歌』(替歌)一つ吸えば、我をして鼻孔をおおわせしむ(タバコ煙が来ると私は鼻をふさぐ)二つ 吸えば、堪忍し、ひそかに歯をくいしばる(くいしばってがまんする)三つ吸えば、のどにむせて、退 屈を生ず(のどにつかえてうんざりする)四つ吸えば、扇をもってあおぐもさえぎりがたし(あおいで も除去できない 以下略)元歌の序詞「一吸、二吸、三吸」は林鵞峰の「能動吸煙の反復」を示すが、

替歌の「一吸、二吸、三吸」は面山が蒙る「受動喫煙被害の蓄積」を表現している。

【 考察 】『煙酒歌』は、ニコチン離脱症状が喫煙行為で急激に緩和される快感を巧妙に「数え歌」で 表現し、正当化している。一方、面山は能動喫煙の快感を受動喫煙被害に、タバコ礼讃歌を嫌煙歌に 書き換え、ユーモア溢れる喫煙者批判を展開している。知る限り『憎煙酒歌』より古い「禁煙替歌」

「禁煙数え歌」は把握できなかった。 語録には面山が受動喫煙で常に頭痛が発生するとの記載もあり、

受動喫煙症が面山の禁煙推進の原動力になった可能性がある。また江戸期の儒学者の強烈な「仏教批 判」展開を受け、面山が林家一門の著作物調査を通してひねり出した余興的著作とも推察される。

【 結語 】『憎煙酒歌』は日本最古の「禁煙数え歌・替歌」の可能性がある。曹洞宗学的に高く評価さ れる学僧面山の意外なユーモア精神を感じ取れる。(1) 鏡島元隆 『日本の禅語録』第 18 巻 卍山・面 山 1978.(2) 千葉公慈 来馬明規『祖師に学ぶ禁煙の教え』仏教タイムス社 2011.

O13-7

バレニクリンによる禁煙補助治療を行った 性同一性障害の 2 例

 藤

とう

   恒

ひさし

湘南藤沢徳洲会病院 神経内科

大嵩 紗苗1)、山田 仁美2)、大塚 美幸2)、原  千春2)、亀井 徹正1)

1)湘南藤沢徳洲会病院 神経内科、2)湘南藤沢徳洲会病院 看護部

 性同一性障害(gender identity disorder, GID)の 2 例に対してバレニクリンによる禁煙補助治療を 行ったので報告する。症例 1 は 39 歳、生物学的女性(ブリンクマン指数 360、TDS 9 点、呼気中 CO 濃度 22ppm)。他院精神科にて双極性障害と GID と診断され、炭酸リチウム 600mg とブロマゼパム 9mg を処方されていたが、ホルモン療法や性別適合手術は受けていなかった。精神科主治医と連携し つつバレニクリンによる禁煙補助治療を行って 12 週後禁煙に成功した。治療中に、生物学的には女性 であることを想起するとして、氏名ではなく姓で呼称されることを患者が希望したため、診察や会計 の際などには姓で呼ぶように統一した。その後、再喫煙・再治療を繰り返した。対人関係において精 神的ストレスを感じた際に喫煙していることが判明したので、ストレスを感じた際の対処法を提案し、

長期的な禁煙の維持に成功した。症例 2 は 50 歳、生物学的女性。(ブリンクマン指数 510、TDS 8 点、

呼気中 CO 濃度 13ppm)。他院精神科にて GID と診断され、ホルモン療法と両側乳房切除術を行った が、当科受診時にはホルモン療法を行っておらず、精神科にも通院していなかった。バレニクリンに よる禁煙補助治療を行って 12 週後禁煙に成功した。症例 1 同様に、姓で呼称されることを患者が希望 したので希望に沿って対応した。 GID 患者は対人恐怖やうつ状態などの精神疾患が合併することが多 いとされており、バレニクリンによる禁煙補助治療を行う際には精神状態に注意しなければならない 場合がある。また、患者の望む性の人格として接することが重要であり、呼びかけたり身体診察を行 う際には患者の希望に沿う姿勢と配慮が必要である。

O14-1

精神科病院職員における禁煙に対する意識の変化

やま

 西

にし

   誠

まこと

医療法人陽和会 南山病院

宮城 武志、大濱 純子、佐藤あや子、安里 元貴、譜久原 弘、譜久原朝和 医療法人陽和会 南山病院

【 目的 】ニコチン依存症の治療は、周囲のサポートが必要とされる。そこで当院職員の禁煙に対する 意識を調査し、病院全体でサポートできる環境づくりを行う。

【 方法 】全職員を対象とした喫煙に関する意識調査(2011 年、2014 年及び 2015 年実施)及び加濃式 社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)(記名式で 2014 年及び 2015 年実施)を用いて得られた有効 回答を評価した。

【 成績 】全職員の非喫煙化を 2009 年に達成した当院において、喫煙経験のない非喫煙群と喫煙経験の ある前喫煙群とで比較すると、2014 年度の KTSND(平均値± SD)は、非喫煙群(109 名)で 10.3 ± 5.0、前喫煙群(43 名)で 10.2 ± 4.6、2015 年度の非喫煙群(136 名)で 7.6 ± 4.6、前喫煙群(52 名)

で 7.4 ± 5.7 となり、それぞれの群間に差はなかった。年度別で比較すると、2015 年度の前喫煙群及 び非喫煙群は 2014 年度に比べ有意に低値となった。また、喫煙に関する意識調査においては、いず れの年度でも 85%以上の職員が敷地内の喫煙について分煙では十分でないと回答し、さらに 95%以 上の職員が病院、学校や役所などの公的機関は敷地内禁煙であるべきと回答した。

【 結論 】当院では 2003 年より禁煙活動を開始し、2007 年 5 月には敷地内全面禁煙を実施した。禁煙 活動に取り組み始めた当時は勉強会などの活動が精力的に行われ、2009 年 1 月には全職員の非喫煙化 に成功した。しかし、敷地内全面禁煙という環境に慣れてくると同時に職員全体の喫煙に対する意識 が低下し、2014 年度の職員全体の KTSND は 10.3 ± 4.9 という結果となった。そこで 2014 年度では、

新入職員への研修も含め、禁煙に関する教育を再度職員へ実施することで、2015 年度の職員全体の KTSND を 7.6 ± 4.9 へと有意に改善することができた。精神疾患を持つ患者は健常者よりも喫煙率が 高く、禁煙による精神症状の悪化を伴うことも報告されているが、当院において敷地内禁煙を 8 年間 継続できていることは精神疾患患者でも禁煙が可能であることを見出せたと考える。ニコチン依存症 を治療するには職員全体でサポートできる環境づくりが良い影響を与えると考え、今後も禁煙に関す る意識を低下させないためにも教育を継続的に行っていくことが重要である。

ドキュメント内 第9回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 152-164)