◆ 一 般 口 演
タバコ問題情報センター設立 30 年を振り返って
渡
わた辺
なべ文
ふみ学
さとタバコ問題情報センター
1985 年 11 月 16 日、東京千代田区の麹町会館で、平山雄博士を代表に「たばこ問題情報センター」
(以下センター)の設立総会が行われました。その後センターは、専門誌『TOPIC』を発行、1989 年 までに7冊を発刊し、大幅に遅れているわが国のたばこ規制対策を何とか改善させたいと、全国各地 で「禁煙・嫌煙」活動に取り組んでいる医師、教師、弁護士、市民運動家の方々のサポートを得て、
1987 年の「たばこと健康世界会議」を迎えるに至りました。1989 年 4 月、当時、タバコと健康全国 協議会(川野正七会長)の機関紙として『タバコと健康』を創刊。渡辺が編集長として発行に踏み切り ました。1991 年 1 月、『タバコと健康』を『禁煙ジャーナル』と改題し、また、平山先生の意向も あって、センターの代表に渡辺が就任しました。『禁煙ジャーナル』は現在 No.274(2015 年 10 月現 在)まで発行を続けており、全国各地の禁煙推進オピニオン・リーダー(医師・教師・弁護士・禁煙活 動家・ジャーナリストなど)に会員になって頂き、センターの維持・運営を継続しております。なお、
2010 年、石井英男医療支援基金(田中潤理事長)のバックアップによって、一般社団法人タバコ問題 情報センターと改組しております。
O6-5
山形県における生活保護受給者の喫煙と 禁煙治療に対する認識の実態
松
まつ浪
なみ容
よう子
こ山形大学 医学部 看護学科 古瀬みどり1)、川合 厚子2)
1)山形大学 医学部 看護学科、2)社会医療法人公徳会トータルヘルスクリニック
【 目的 】山形県における生活保護受給者の喫煙の実態と禁煙治療に対する認識を明らかにする。
【 方法 】 2014 年 10 月〜 2015 年 3 月、社会福祉事務所に調査協力を依頼し、生活保護受給者を対象に 喫煙に関する自記式アンケートを行った。ただし、認知症などで意思疎通が困難な者、施設に入所・
入院中の者を除外した。
【 結果 】 1000 人中 361 人が回答した(回答率 36.1%)。そのうち、年齢、性別、喫煙状況の項目に回 答がなかった 29 人を分析から除外し、332 人を分析対象とした(有効回答率 33.2%)。平均年齢 60.1 歳、男性 202 人(60.8%)、女性 130 人(39.2%)、現在喫煙者は 155 人(46.7%)で、喫煙率は男性 57.9%、女性 29.3%であった。過去喫煙者は 96 人(28.9%)で、過去喫煙者の禁煙動機で最も多いの は病気であった。喫煙経験なしの者は 81 人(24.4%)であった。喫煙者の喫煙開始年齢の平均は 19.0 歳(最小 7 〜最大 63)、習慣化年齢 20.8 歳(最小 10 〜最大 60)、喫煙本数は 14.4 本(最小 1 〜最大 50)、 起 床 後 最 初 の 喫 煙 は「5 分 以 内」 が 最 も 多 く 66 人(42.6%)、 次 い で「6 〜 30 分」41 人
(30.3%)であった。喫煙者のうちタバコ代を負担に感じている者は 60.6%で、「食費が足りなくなっ た」者が 24.5%であった。喫煙者のうち禁煙治療を知っている者は 137 人(88.4%)、禁煙治療の保 険適用を知っている者は 69 人(44.5%)であった。喫煙者の 57.4% が過去に禁煙した経験があると回 答した。喫煙者の禁煙ステージは、準備期 11.0%、関心期 12.9% と禁煙したいと思っている者が半数 以下であった。「無料なら禁煙治療を受けたい」と回答した者は 42 人(27.1%)、「詳しい説明を聞き たい」16 人(10.3%)、「少しなら説明を聞いてもいい」32 人(20.6%)で、過半数が禁煙治療に関心 を持っていた。
【 結論 】山形県における生保受給者の喫煙率は男女共に高かった。喫煙者の多くはタバコ代を負担に 感じており、過去に禁煙経験があり、禁煙治療に関心を持っていた。一方で、禁煙治療の保険適用を 知っている喫煙者は少なく、禁煙ステージ「無関心期」の者が多いため、禁煙治療の広報・周知、禁 煙の動機づけの必要性が示唆された。
※本研究は H25-27 年度科学研究費助成事業による助成を受けて実施した。
O7-1
自前の禁煙外来を持たない
単科精神科病院における禁煙支援のすすめ
―外来デイケア看護における禁煙支援―
岩
いわ野
の清
きよ美
み健生会 明生病院 看護部
七瀬谷美穂1)、阿部 裕子2)、小山 裕子3)、小田 浩一3)
1)健生会 明生病院 看護部、2)健生会 明生病院 薬局、3)健生会 明生病院 医局
【 はじめに 】
2012 年 2 月 22 日に敷地内禁煙を達成するまで、当院には自前の禁煙外来は無かったため、全額自 費での禁煙補助薬使用など患者負担も多かった。その上、各病棟の喫煙室と敷地内の喫煙所とを段階 的に廃止する取り組みと同時に、全ての病院利用者に対する禁煙支援を行うことが求められ、敷地内 禁煙のゴールを前に手探りでの試行錯誤を繰返してきた。
今回、敷地内禁煙の実現という大きなゴールを前に、自前の禁煙外来を持たない単科精神科病院*で も実施できる禁煙支援を経験したので紹介したい。《*敷地内禁煙達成後の 2012 年 4 月 25 日、明生病 院は熊本県下の単科精神科病院初の禁煙外来(保険診療)を開設した。》
【 外来デイケア看護師による他の禁煙外来(保険適用)受診支援 】
敷地内禁煙実現前のデイケアには、外扉のすぐ脇に喫煙所があった。喫煙所の撤去スケジュールを 前に喫煙問題を皆で話題にすることから始めた。禁煙についての関心が高まるにつれ、実際に保険適 用のある他の医療機関の禁煙外来を受診しようとする利用者も現れた。しかし、精神疾患を持つとい う理由で受診を拒否される人が続き、壁に突き当たった。そこで、外来デイケア看護師が中心となっ て、精神疾患をもつ人を受け入れることが可能な医療機関を開拓し、必要に応じて、保険適用による 禁煙治療に支障のない程度に精神症状が安定している旨の診療情報提供書作成を主治医に依頼した。
さらに看護師は、治療を希望するものの一人では受診をためらうデイケア利用者と当該クリニック前 で待ち合わせ、受診をサポートするなど工夫した。
【 禁煙支援プログラム「ピース会」】
2010 年 12 月、デイケアプログラムに禁煙支援心理教育プログラムを立ち上げた。目的は、ニコチ ン依存症の学習や動機づけ、メンバー同士のサポート。医師、薬剤師、看護師だけでなく、アルコー ル依存症治療プログラムの経験を有する精神保健福祉士なども運営に関わった。禁煙に成功する者、
再喫煙を繰り返す者など様々であるが、本音で話し、お互い励ましあいながら、活動を継続している。
【 今後の課題 】
現在、デイケアは「タバコの持ち込み禁止」となっているが、約束を守れない利用者や、禁煙の意 志はあるものの、なかなか実現できない人もいる。しかし、問題が生じても決してペナルティを課す ことはせず、「敷地の外でも禁煙を!」という気持ちで、主治医も交えながら根気強く禁煙支援を継続
O7-2
循環器疾患で入退院した患者の禁煙支援を考える
藤
ふじ田
た勝
かつ美
み三菱京都病院 看護部
西村 清佳1)、山部さおり1)、松本 祐子1)、大野美紀子3)、加藤 雅史2,3)
横松 孝史2)、三木 真司2)
1)三菱京都病院 看護部、2)三菱京都病院 心臓内科、3)三菱京都病院 内科(禁煙外来)
【 背景 】当院では循環器疾患で入院してきた患者に、心臓リハビリテーション(以下心リハ)を通じ、
パンフレットなどの媒体を使用し禁煙指導を行っていた。しかし指導者により内容に偏りがあり、統 一した情報提供の必要であった。そのため 2014 年 6 月から集団指導方式に変更した。患者により禁 煙に対する行動変容ステージが異なるため、集団指導後にベッドサイド訪問をおこなっている。
【 目的 】集団指導と個別のベッドサイド訪問という指導方式が、退院後の禁煙継続に有効であったか、
また今後の課題を考える。
【 禁煙教室施行期間 】 2014 年 6 月〜 2015 年 6 月
【 対象 】上記期間内入院中に心リハで禁煙教室を受講した 40 名(男性 36 名 女性 4 名)
【 結果・考察 】禁煙教室を受講した患者は、関心期 33 名(82.5%)、無関心期 6 名(15%)、維持期 1 名(2.5%)であり、入院を機に禁煙に興味がある患者は受講者の 8 割以上である。患者は入院の原因 となった疾患に禁煙が必要であることを認識していることを示唆する。一方、退院後禁煙継続できな かった者は 10 名(禁煙教室受講者の 25%)という結果になった。その内訳は入院中から無関心期で あった者 5 名、入院時は関心期であったが再喫煙してしまった者 5 名(受講者の 15%)であった。関心 期で禁煙教室受講をしても、退院後その 15%が再喫煙した結果となった。しかしベッドサイドで聞い た彼らの言動を振り返ると、喫煙はニコチン依存症と知りながらも、喫煙はいいものという認知の歪 みがあり、集団指導という情報提供だけでは知りえなかったことを把握でき、個別のベッドサイド訪 問は有効であったと考える。また当院では入院していた科での外来受診、もしくは心リハ外来があり、
それが禁煙継続の確認の場となる。その割合は禁煙教室受講者の 22 名(55%)に上り、循環器以外の 入院で禁煙を確認しているものも含めると 26 名(65%)となり、退院後も看護師のみならず医師も禁 煙継続の確認の意識が高いことがわかる。このような恵まれた環境のなか、禁煙継続の今後の課題と して、禁煙教室受講後の個別のベッドサイド訪問で知りえた情報を分析し、禁煙継続につなげられる ように外来に情報提供していくことが必要であると考える。