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私たちの行う日々の禁煙支援

ドキュメント内 第9回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 50-80)

変容ステージ準備期にある患者への支援 苅

かり

 込

こみ

 利

 衣

亀田総合病院

 当院を受診される患者の多くは変容ステージの準備期にある。禁煙の必要性やメリットをより多く 感じ、何かよい方法はないか?少しでも楽に止められる方法はないか?と具体的な禁煙方法を求めて 来院される。変わりたいと思う気持ちや自分自身の「変わる力」を感じ、未来の自分についても考え はじめているが、禁煙開始後の離脱症状や誘惑場面での不安もかかえ自信はまだまだ低めである。自 信の強化と誘惑場面での対処方法検討などをしつつ、患者自身がもつ「変わる力」を最大限に引きだ し「これならできそう!やれそうだ!」という気持ちを一気に高め、自己決定のもとに行動を開始で きるように行う、準備期にある患者への支援について紹介する。

変容ステージ無関心期・関心期にある患者への支援 内

うち

 田

 久

鎌田クリニック

 禁煙支援って何なのか難しく考えていないだろうか。

 禁煙外来でなくても、まだタバコを止めようと思っていない患者にもできる支援がある。ちょっと 気になる患者、周りにいないだろうか。採血中にポケットのタバコが見えた時。タバコの匂いが漂っ てきた時。問診に喫煙履歴、喫煙本数が書いてあるのを見つけた時。何をしたらよいか、しなくては いけないかではなく、この患者はタバコについてどう思っているのか、ということから始めてみると ちょっと楽しい禁煙支援が見えてくる。医師の前だと語れなくても私たち看護師になら語ってくれる。

看護師なら誰でもできる日常の禁煙支援を紹介する。

特別企画 Ⅰ

2 部:シンポジウム

変容ステージ実行期・維持期にある患者への支援 藤

ふじ

 本

もと

 恵

けい

 子

熊本市民病院

 行動変容のプロセスは「無関心期」から「維持期」に順調に進むとは限らず、逆戻りすることも少 なくない。想像より楽に禁煙できてしまう人もいれば、禁煙効果を実感できなかったり、周囲からの 甘い誘惑に必死に耐えていたりと、不安を抱きながら禁煙に取り組んでいる人もいる。

 タバコは意志や根性だけではやめにくい商品であり、長年連れ添ったタバコとの決別は、人生にお いても一大イベントである。禁煙を始めた人の禁煙ストーリーをしっかり傾聴すること、そして努力 している過程を意識して「賞賛する」ことを繰り返し行っている。今回は当院で行っている禁煙を始 めた実行期・維持期の方への支援を紹介する。

※今回の特別企画は、今後の日本禁煙学会学術総会でも開催予定です。

アフタヌーンセミナー ナースのための禁煙スイーツセミナー

特別企画 Ⅰ

防煙授業のノウハウおしえます

ニコチン依存の教育方法とタバコの断り方のロールプレイ

たか

 野

 義

よし

 久

ひさ

たかの呼吸器科内科クリニック院長 / くまもと禁煙推進フォーラム

1.ニコチン依存の教育方法

 ニコチンは依存症を作り出す薬物である。脳内の受容体を介し多幸感を生む神経伝達物質であるド パミンを分泌させる。一方、ニコチンが欠乏すると離脱症状が生じる。タバコをやめたい気持ちに反 して、タバコがやめられないという状態をどのように生徒に理解してもらうかについて、我々は様々 な試行錯誤を経て、1)自律(セルフ・コントロール)の重要性について予め説明する、2)イラスト を使う、3)具体的事例を提示する、4)自分で決める、といった考え方で、防煙教育用基本スライド を作成し教育を行っており、紹介したい。

1)自律(セルフ・コントロール)の重要性について説明する

 ポイ捨てされたゴミの写真を見て、なぜこのゴミが捨ててあるのかを考えてもらう。ゴミを捨 てる人は捨ててはいけないという正しい知識がなかったのか、答えは否である。知識があっても ゴミが捨てられている、なぜだろう。答えを出してもらい、その鍵は自律(セルフ・コントロー ル)であることを話す。さらに、この授業ではタバコについての正しい知識を伝えるだけではなく、

自律をするというについて考えてもらうと話しておく。

2)イラストを使う

ジョンズホプキンス大学の Henningfield 教授によるイラストを、許可を得て用い、ニコチン依存 症の脳の様子を説明している。イラストを見せながら繰り返し説明すると、喫煙行為が繰り返し 行なわれる理由を理解できるようになる。

3)具体的事例を提示する

 医療者であればよく経験するニコチン依存症による行為も意識をしなければ理解できない。そ こで、ニコチン依存症のためタバコがやめられず、長年喫煙をして肺癌になった患者のこと、慢 性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法中にタバコを吸ってしまった患者のことなど、ニコチン依存症に よって起こってしまった事例を提示し、この行為が通常の視点ではおかしなことであること、そ の理由はニコチン依存症という病気であることを理解してもらう。

4)自分で決める

 授業では喫煙の害のことも簡単に説明する。その上で自分の将来について考えるよう諭し、自 分の将来について挙手を求める。単純なことであるが、自分の将来を自分で決めたという自己決 定が大変重要であると考えている。

2.タバコの断り方のロールプレイ

 意思決定の後、タバコが勧められたときの断り方をロールプレイする。まず、例として、「ごめん」

(思いやり)、「タバコは体に悪いから」・「吸い始めるとやめられないから」(理由)、「俺はパス」・

「私はずっと吸わない」(きっぱり断る)といった断り方の例を示す。その上で、数名の有志の生徒に 皆の前で断る様子を演じてもらう。この際、タバコを勧める役は必ず大人が担当し、生徒は担当しな いことを旨としている。笑いに包まれて授業を終えている。

特別企画 Ⅱ

防煙授業のノウハウおしえます

喫煙防止教育の評価方法について

 藤

とう

 美

 和

くまもと中央薬局 / くまもと禁煙推進フォーラム

 約 10 年前、学校薬剤師の仕事に就いたことをきっかけに、薬物乱用防止教育の一環として喫煙防止 教育を行うようになりました。のちに「くまもと禁煙推進フォーラム」との出会いもあり、現在は年 に数校、学校薬剤師として担当している学校も含め、小中学校を中心に喫煙防止授業を行っております。

 以前は学校からの依頼を受け、担当の養護教諭と授業の打ち合わせを行い、当日授業に赴くという 繰り返しで、授業後、学校から児童生徒の書いた感想文をいただき、それを読んで毎度毎度感激し、

満足した気分になっていました。しかし、次第に自分自身が行っている授業がどの程度理解されてい るのだろうかと不安に思うようになりました。そこで喫煙防止教育の評価指標として用いられる加濃 式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)を中心にしたアンケートで、喫煙防止授業の内容・方法を検 証することにしました。その際、KTSND の一般的な評価方法である総点数ではなく、個々の項目の授 業前後における回答の変化を比較しました。その結果、授業で感じた手応えとアンケート結果に差が あり、「教授錯覚」に陥っていたことがわかりました。この結果から、情報を網羅することも大切です が、授業前アンケートで対象者の傾向を探り、喫煙開始の可能性に強く影響する要因を把握した上で、

幅広い喫煙防止教育の内容からポイントを絞った授業を行うことで、より効果的に「将来タバコを吸 わない」と考える子供達を育成することが可能ではないかと考えるようになりました。

 それ以降、喫煙防止授業の依頼を受けたら、事前アンケートを行い、「将来タバコを吸っている」と いう設問に影響する要因を調べ、授業計画書を作成し学校に提出したうえで打ち合わせを行い、実際 の授業を実施するようにしました。そして授業後、事後アンケートを行い授業前後の比較をし、最終 報告書を学校に提出する流れを取るようにしています。このことにより養護教諭の先生にはその後の フォローがしやすくなったとの評価をいただき、私自身も教育方法、内容等の改善事項が見出せるこ とで今後の授業の手法を再検討できるようになりました。

 今はまだアンケートの結果で一喜一憂しながら試行錯誤を始めたばかりですので例数は少ないです が、現時点で経験した事例についてご紹介したいと思います。

特別企画 Ⅱ

ドキュメント内 第9回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 50-80)