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経済単元における地域目的地域住民意識育成型実践事例の構成

第1節  地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野

4.  経済単元における地域目的地域住民意識育成型実践事例の構成

 本項では、地域目的地域住民意識育成型の授業構成について述べていく。討議 活動型のみ実践が該当したため、その構成について説明する。

地域目的地域住民意識育成型:討議活動型の構成

討議活動型には、No.3「国民生活と福祉一高齢化と老人福祉一」52、No.8「駒ヶ 根市にみる高齢化社会への対応と諸問題」53、No.12「わたしたちの生活と経済一市 場経済と金融」54、No.13「国民生活と福祉一公害の防止と環境保全一」55、No.15

「公害の防止と環境保全一八戸のゴミ問題一」56、No.20「公害の防止と環境保全一 琵琶湖の汚染防止一」57、No.28「公害問題一瀬戸内海の汚染一」58、No.29「地域 開発とわたしたちの生活」59、No.45「経済社会における消費と消費者主権」60、

No.49「企業と地域社会一布野『道の駅』を通して一」61の10事例が該当した。

 討議活動型の典型的な事例としては、「地域開発とわたしたちの生活」を挙げるこ とができる。本事例の目標は「ゴルフ場について各自の考えを交流させることによって、

よりゴルフ場についての考えを深めさせる。その過程で公害防止の必要性に気付か せ、さうに防止協定の分析を通して、地元の開発に対する意識を高める。」である。

 本事例では、地域教材として「小千谷ゴルフ場の建設」が取扱われている。学習内 容と地域教材は同一のものとみなされ、地域教材が直接的な学習対象として位置付

けられている。

 本時は、小千谷にゴルフ場が建設されたことに対して、賛成意見と反対意見がある ことをとらえるため、それぞれの立場でミニ討論のような学習活動を行なうとともに、最 終的にはその地域に住む住民としてどのような姿勢を持つべきかを判断させることが 中心的な学習活動となっている。【表2−13】に本実践の授業展開を示す。

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第H章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における実践の類型と構成

     【表2−13「地域開発とわたしたちの生活」の授業展開】

▽学習活動・●発問 ●答え・O知識 資料

▽学習課題について確認する。

「ゴルフ場建設の是非」

▽ゴルフ場についての各自の考えを発 〈いいこと派〉 資料①:小千谷ゴルフ場

表する。 ●大企業が進出するため。 に関する調査資料、調査

●ゴルフ場が小千谷にできたことはいい ●地域の雇用が拡大するから。 結果

ことなのでしょうか? ・地域の活性化のため。

〈困る派〉

●自然が破壊される可能性があるため。

●農薬汚染などの心配があるため。

●金持ちが利用するだけだ。

●狭い道に交通ラッシュが起こる。

〈わからない〉

●いい面と悪い面があるため。

●自分には関係ないため。

●反対意見に対して何か考えはありま ●公害が発生する可能性がある。

せんか? ●防止協定があるから大丈夫だ。

●公害発生の心配はないのでしょうか? O水質汚染や土砂崩れの心配がないとは 資料②:VTR「群馬県の

言えない。 ゴルフ場の例」

lI

▽ゴルフ場先進県の実態から公害問題 Oゴルフ場の営業停止や立ち入り検査が

をとらえる。 明記されているから心配ない。

▽公害防止協定を分析する。 。水質調査は会社側がするから心配だ。 資料③:公害防止協定

●今後わたしたちにはどのような姿勢が 資料④:ゴルフ場開発を

必要なのだろうか? めぐる新聞記事

導入部では、本町の学習課題となっている「ゴルフ場建設の是非」について確認さ

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せている。

 展開1では、学習課題となっている小千谷ゴルフ場の建設問題について「環境保 全と開発」という価値の対立となる視点から討論させている。その中では、開発によっ て地域経済が活性化するという意見と、環境を破壊されることによって生活環境への 悪い影響が出るという意見の対立が発生している。その後、討論で出た「公害が発生 したらどうするのか」「公害防止協定があるため、開発による公害がおこったとしても保 障はされる」という対立した意見をもとにゴルフ場建設に伴う公害の影響について追 究させる学習活動が設けられている。展開llでは、対立の中身となる公害と開発につ いて、公害防止協定を取り上げ、その妥当性について吟味しながら公害による自然 環境や生活への影響が出る可能性について分析する活動が行なわれている。

 そして、終結部となる授業のまとめで、地域住民の一員として、生徒自身に公害の 防止と地域の開発に関してどのような意識を持っていくべきかを問うている。ここでは、

ゴルフ揚建設問題について地域の住民としてどのように向き合っていくべきなのかが 問われており、地域住民の果たすべき役割について考えさせることで授業を終えてい

る。

 授業で行なわれている討論活動は、調査資料や三時の学習で獲得されたゴルフ 場建設に関する知識を活用した価値判断を求める活動である。また、授業の中で獲 得される知識は、公害防止協定やゴルフ場の建設が与える自然環境への影響など の地域の環境問題に関する個別的な知識である。これらの知識は授業の後半で、

「地域住民としてゴルフ場の建設問題に向き合っていくときに、どのような姿勢で考え、

どのような考え方を持つべきなのか」という価値判断を行う際の材料となる知識となる。

そのため、本実践では地域の実情を理解させるとともに、発生している問題に対する 地域住民としての行動について価値判断が行われていると言える。

 授業で取扱われている地域教材「小千谷ゴルフ場建設の是非」は直接的な学習 内容としての側面があり、地域のゴルフ場建設問題の是非について学習させる目的 的要素を有している。さらには、判断材料となる知識をもとにしてゴルフ場建設につい てどのように考えるかを問う価値判断過程が組み込まれている。これらのことから、本 実践は地域が抱える課題に対する価値判断によ cて地域住民としての意識を育成 することが目指された実践とすることができる。そして、授業でなされている価値判断は 学習者同士の討議活動によって行なわれるように構成されている。

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第H章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における実践の類型と構成

以上のことから、本実践の構成は【図2−13】のようになっていると言える。

【図2−13地域目的地域住民意識育成型:討議活動型の授業構成】

段階

   学習内容  地域教材■

学習過程

f_1小千谷ゴ;醐建設

d

hス蚕]

価値判断過程        7

       一曜圏「

堰@lゴルフ肇設の是非I il    函     ll      ll地域繍の活性化雇用が増えるl

堰@ 塵﹈   il 自然環境の悪化i生活環境の悪化  ll

事実分析過程      7 i巨ルフ腱設iと公害の関係トil      ll      ■

@  1公害防止協定の分析l

@    m 「

・二二1