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第2節 単元「豊かな生活を営むための国や洲本市の役割」における 授業モデルの開発
2. 単元「豊かな生活を営むための国や洲本市の役割」における 授業モデルの開発事例
本項では、単元「=豊かな生活を営むための国や洲本市の役割」における授業モデ ルの開発事例を示す。第1項の開発視点に基づき、以下に単元設定理由、単元の
目標、単元の指導計画、単位時間当たりの授業計画に関する説明を行い、学習指 導案を示す。
開発する授業モデルは新学習指導要領の大項目「(2)私たちと経済」の内容「イ 国民の生活と政府の役割」で取扱われる内容になる。この内容は「国民の生活と福 祉の向上を図るために、社会資本の整備、公害の防止など環境の保全、社会保障 の充実、消費者の保護など、市場の働きにゆだねることが難しい諸問題に関して、国 や地方公共団体が果たしている役割について考えさせる」1ことが示されており、「なぜ すべての経済活動を市場の働きだけに任せておくことができないのか、国民の生活と 福祉の向上を図るために、国や地方公共団体はどのような役割を果たしているのかを 理解させること」2を主なねらいとしている。また、国や地方公共団体が果たしている役 割について考えさせることについては、「社会資本の整備、公害の防止など環境の保 全、社会保障の充実、消費者の保護など国や地方公共団体に任せた方が効率的
であったり、公正であったり、市場の働きだけに任せたままでは解決が難しかったりする 問題について具体的に考えさせること」3が意味されている。この内容が示すとおり、国 や地方公共団体の役割やそれらの経済活動と関連する問題について教材となる具 体的な社会的事象を通して考えさせることが意図されている。そのため、効率的に問 題を解決していこうとする洲本市の政策を取扱うことは有効な視点だと思われる。本 開発事例では、第1節と同様に、淡路島の中学校に通う中学3年生を対象に想定
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第皿章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における授業モデルの開発
し、地域教材として「洲本市の政策」を取扱うこととする。
続いて、作成した学習指導案について述べる。
単元の設定理由については、教材観・生徒観・指導観の3つの観点から述べてい る。教材観は大きく分けると国や地方公共団体の役割が拡大する傾向にある現代社 会に関する内容と洲本市の特色ある政策に関する内容という2っの点から教材を取 り上げる意義について説明している。生徒観は、学習者の取扱う教材や学習内容に 対する認識レベルを想定して説明している。指導観は、それらの内容を踏まえて、社 会参画の意識を育成する指導方法との関連から単元の構成について説明している。
続いて、単元の目標については(社会的事象への関心・意欲・態度)、(社会的な 思考・判断)、(資料活用の技能・表現)、(社会的事象についての知識・理解)の四観 点から設定している。
単元の指導計画を全6時間で構成している。単元全体を通して、社会資本・社会 保障・消費者保護・環境保全に関する地方公共団体の役割と国の役割を取扱うこと を考えているため、全体で地域教材を視点とした授業を行なう計画を立てている。そ のため、ここでは特に社会参画意識の育成を意図している第5時と第6時の内容を について、その授業構成に関する説明を行う。第5時は指導案を示しながら説明し、
第6時は授業の流れを説明する。
以下に学習指導案を示す。
〈社会科学習指導案公民的分野〉
●対象 中学校三年生
●単元名豊かな生活を営むための国や洲本市の役割
●単元設定理由 1.教材観
市場経済メカニズムの中では、どうしても効率的に解決できない課題がある。それが、
社会資本、社会保障、消費者保護、環境保全などの問題である。これらの問題の中 には、二二の外で扱われた方が効率的に問題を解決できるとされている公共財的性 質を内在する課題もある。それらの諸課題に対して国や洲本市は、国民や住民の生 活の向上のために効率的に政策を行なわなければならない。また、それらの課題を解 決するために果たさねばならない国や地方公共団体の役割は拡大してきている。
本単元では、生徒にとって身近な地方公共団体である洲本市を例とし、洲本市で 行なわれている生活や福祉の向上のための政策を取り上げる。現在の洲本市は財政 難ではあるが、それぞれの分野において、よりよい社会を形成するために様々な政策 が行われている。近年では、新たな社会資本として国内最大級の風力発電施設が 建設され、エネルギー循環型社会の形成を目指している。また、洲本城や鳥飼八幡
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宮などの有形文化財の保存を積極的に行ったり、社会福祉施設の充実を政策の重 点に掲げるなど、文化や福祉の充実も目指されている。特に環境保全においては、
二五色町で開始された「菜の花エコプロジェクト」が地域の資源を生かした政策として 特徴的であり、資源エネルギー庁が定める「次世代エネルギーパーク」に認定され、県
内や国内でも先進的な取り組みとして取り上げることができる。
2.生徒観
生徒は国や洲本市が行なっている政策についてはあまり認識しておらず、国や地方 公共団体と自分たちとのかかわりを明確に持てないでいるのが現状である。しかし、洲 本市はバイオマスエネルギーによる循環型社会を目指し、次世代エネルギーパークに も認定されるなど、環境保全に関しては全国でも先進的な取組みを行っている。その ような洲本市の活動に関しては小学校段階からの環境教育で取り上げられていること から、既得知識があると考えられる。地域の社会資本や社会福祉施設に関する情報
についても断片的には知っている者もいる。しかし、それらの実態や抱えている問題点、
さらには国や地方公共団体とそのような施設とのかかわりについては認識できていな いと思われる。また、自ら主体的に地域の課題にかかわっていくような意識を持ってい る生徒は少ない。
3.指導観
実際の授業においては、前単元で学習した「財政の役割」の内容や生徒にとって 身近な地域の社会的事象を有効に活用し、既有知識を生かしながら授業を設計し ていく。その際、地域教材を視点に据え、国や他地域の同分野に関する政策につい て追究していけるように授業を構成していきたい。洲本市に視点を置きながら他地域 との比較考察を行うことで、知識を相対化する学習活動を取り入れることを視野に入 れ、授業を構成する。さらに、それらの学習活動では、生徒の主体的な参加を促すた めにグループ学習や話し合いなどの活動を積極的に取り入れ、意見を交流する学び 合いの授業ができるように工夫する。単元全体を通してよりよい社会の形成のために 必要な国や地方公共団体の政策について考えながら取り組ませるように配慮し、単 元の最後には、社会参画の意識を育成することを意図した授業を行う。
●単元目標
○洲本市の政策と自分たちの生活との関わりを知り、地域をよりよい社会にしていこ うとする社会参画の意識を養う。 (社会的事象への関心・意欲・態度)
○国や洲本市の役割や、企業や住民自身の協力の必要性について考え、生活や 福祉の向上のための有効な政策について判断する。 (社会的な思考・判断)
○社会資本、社会保障、消費者保護、環境保全について国や洲本市が行なって いる政策に関する情報を資料から収集する。 (資料活用の技能・表現)
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第皿章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における授業モデルの開発
○国や洲本市が自分たちの生活や福祉の向上のために果たしている役割について 理解する。
●単元の指導計画(全6時間)
(社会的事象についての知識・理解)
時
主題 社会的事象への関 社会的な思考・判断 資料活用の披 社会的事象につい
心・意欲・態度 能・表現 ての知識・理癬
1 福祉の町 現代社会における社会保障 社会保障制度に関する
洲本市と社 問題を踏まえながら、洲本 基本的な内容と洲本市
会保障制度 市の健康福祉施設を利用 の社会保障について理
するお年寄りと制度との関 解する。
連に気付かせ、これからの 福祉杜会について考える。
2 消費者保護 資料から消費者問題 消費者に対する国の役
と消費者の の現状やこれまで施 割や、洲本市が安全な
責任 されてきた対策につ 消費生活の実現へ向け
いて読み取る。 た取組を行っていること を理解する。
3 円滑な経済 自分の町や国で整備す 日本の社会資本の現状や 社会資本が果たしてい 活動を支える べき必要な社会資本に 社会の変化を踏まえなが る機能や洲本市にある 社会資本 ついて考えようとする意 ら、社会資本の充実につい 健康福祉施設・新エネ
欲を持つ。 て考える。 ルギー関連施設が地域
社会で果たしている役 割について理解する。
4 菜の花から 環境保全に対して果た 環境保全の意義や取り組 洲本市の環境保全に関 始まる環境 していかねばならない地 み、その重要性を理解さ する取り組みから、環境 保全 域住民としての責任につ せ、環境保全のための住民 保全は地域の特色を生 いて考えようとする態度 の社会的責任について考え かした政策が行なわれ
を持つ。 る。 ていることを理解させる。
5 洲本市には 現在の洲本市の状況 これまでの学習を踏まえた 暮らしやすい洲本市 どんな政策 や自分自身が感じてい 事実認識に基づいて必要 になるために必要な が必要だろう る問題点から洲本市に な政策の優先順位を合理 政策について、自分 必要な政策について考 的に判断する。 たちの生活と関連さ
え、社会へ参画しようと せて発表する。
する意識を育む。
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