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単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における                        授業モデルの開発視点

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第1節  単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における                          授業モデルの開発

1.  単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における                        授業モデルの開発視点

本節では、地域教材を視点にした単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と 責任」における授業モデルの開発を行なう。第1項では、選択した地域教材の視点と 意義、教材の学習過程、それら2点と実践的な社会参画意識の育成との関連という 3っの観点から開発視点について指摘する。そして、第2項では第1項の内容を踏

まえた開発事例について述べる。

1. 単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における

       授業モデルの開発視点

本項では、単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における授業モデ ルの開発視点について述べる。第ll章で明らかになった地域住民意識育成型の3 っの特徴を踏まえ、地域教材を視点にした授業モデルの開発視点について説明す

る。

最初に、選択した地域教材の視点と意義に関する点である。本単元では、地域教 材として「淡路瓦産業に携わる中小企業」を取り上げる。淡路瓦は約400年前から 盛んに簑造されるようになった淡路の地場産業である。特にいぶし瓦1は全国一の生 産量を誇り、近畿地方を中心に日本各地へと出荷されている。瓦づくりが盛んになっ た要因としては、①原料となる豊富な良質粘土が採掘される地域であった点、②大阪 や京都など近隣に大消費地があり、江戸期から民衆でも瓦を使った家を建てることが できるようになった点、③海上輸送によって大量に運べるという利便性があった点、の

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第皿章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における授業モデルの開発

3点が挙げられる。これらの瓦生産に関する多面的な条件を満たしていたことから、島 が瓦の生産に適していたのである。現在では、特に島の西部地域に瓦の製造事業所・

が集中している。全盛期は周    【図3−1組合員数及び従業員敗の推移】

辺地域の旅館や小売店も賑わ

A南淡路地域の雇用やそれ らに伴う経済の活性化に大きく 寄与していた。

しかし、生産工程の自動化に よる人員削減や1995年の阪 神淡路大震災において瓦の重 さが建物の倒壊につながったと

組合員数及び 従業員数(人)

1, 400 1, 200

晒手触日歩評言寸評誰誰鰹轡逆轡諮平成(年)

され、社会における淡路瓦の位置は相対的に低下、瓦の需要自体が大きく落ち込ん だことも影響し、生産枚数や事業所数の減少が見られるようになった。全盛期には 218事業所(組合員)が加盟していた淡路瓦工業組合に平成21年の時点で加盟し ているのは、106事業所(組合員)であり、      (淡路瓦工業組合資料より転載)

ほぼ半減している。また、従業員数も1,524人から693人まで落ち込んでおり、産業 が低迷していることがわかる【図3−1】2。そして、瓦の生産枚数も全盛期に比べて約 4分の1の量になっている【図3−2】3。そのため、平成6年では全国的にも瓦の販売 枚数でトップを走っていたが、     【図3−2生産枚数の推移】

現在では九州地方に抜かれ てしまい、事業所ごとの経営 も厳しいものになっている。

ただ、このような厳しい状況 の中でも淡路瓦の伝統や継 承されてきた技術を生かしな がら消費者の二・一…ズに応える ような新たな商品開発にエネ

  な  1酪も。

225,000 200,000 175,000 150.000 125,000 100,000 75,000 50.000 25,000

  0

生産枚数の推移

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ルギーを注いでいる。現在では、

       (淡路瓦工業組合資料より転載)

淡路島内の学校や市役所など

の公共施設の他にも日本各地の宿泊施設、公園の通路やモニュメントなどの景観財 としての役割も併せ持ち、地域のアメニティとして活用されるようにもなってきている。ま た、淡路瓦は防水性・耐久性・断熱性・遮音性に優れ、近年では震度7強の地震に も耐えうる耐震性を備えた瓦の開発が行われ、一層の技術革新が進んでいる。このこ とからも瓦の屋根材としての特性は数ある屋根材の中でも非常に優れていると言え、

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その価値を広く認識してもらうことが瓦産業の今後の課題であり、低迷期からの脱出 のきっかけとなると考えられる。

 続いて、授業における主体的な教材の学習過程に関する点である。第H章で述べ た地域教材が取扱われた実践事例の分析から、討議活動型や模擬体験活動型の 実践が学習者に学習内容への追究意欲を持たせながら授業を展開することができる 傾向にあると思われる。また、第ll章でも述べたように、社会参画意識の育成を意図 した実践では、そのポイントとして「①活動的な学習であり、②学び合う学習であり、③ 社会に参加するための学習」4という3条件を満たしている必要があることから、学習者 の学習内容に対する主体的な関わりを図ることができる学習活動を組織することが必 須となる。本単元では地域の中小企業が抱える課題について、その解決を図る戦略 提案に関する討議活動を教材の学習過程の中心に位置付け、企業が抱えている問 題点を把握し、その解決策や新たな戦略について提案する授業モデルを提示する。

そして、実践的な社会参画意識の育成を意図した意思決定場面の設定と課題を 解決する提案に関する点である。主体的な学習活動として討議活動を位置づけてい るため、この学習活動との関連で実践的な社会参画意識の育成を意図した意思決 定場面を設定する。社会参画意識は地域の抱える課題について主体的に判断し、

何らかの方策を提案することで育まれると考える。さらに実践的な意識は提案した戦 略に関してさらに改善策を考え、自分なりの行動を示すような意識である。

 そのため、討議活動の中で追究すべき課題の発見、課題の分析・考察、課題を解 決するための戦略の立案、立案された戦略の中から合理的な判断によって決定され た戦略の選択・提案という学習過程を組み込まなければならない。さらに「自分なら何 ができるか」「さらに優れた改善策はないか」といった発展的な問いを設けて意思決定 場面と戦略提案、さらに発展的問いを関連させる形で授業を構成していく必要があ る。これによってより実践的な社会参画意識の育成を図ることができると思われる。

以下に、開発する授業の一連の流れについて説明する。

問題把握・分析過程では、淡路瓦工業に携わる地元の中小企業の企業数減少や 瓦の生産枚数の減少に目を向け、その原因となる事象について追究していく。淡路 の瓦工業では、1990年代後半以降、工程の自動化が進み、それに伴って人員削減 が進められた。また、1995年に発生した阪神・淡路大震災の影響で瓦の重さが被害 の拡大につながったと指摘され、それ以降風評被害によって需要が減少した。自動 化によって一度に生産できる量(供給量)は増加したものの、それを消費する側の需 要が低いために供給超過となったことで需給バランスが大幅に崩れた。このような需要 と供給の不一致を解消するための供給側の産業再生に向けたアプローチを手がかり に戦略の提案を行なっていく。さらに、この地域は少子高齢化に伴い、過疎化が進ん でいる。この影響もあり、若い人材が瓦産業に携わらなくなってきているため、後継者

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第皿章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における授業モデルの開発

不足となっているのである。このような問題は全国の地場産業や伝統工業で見られる ような問題といえる。ここまでが問題分析過程となる。

 問題分析過程で追究した課題の原因をもとに、グループによる討議の中で新たな 戦略の提示を行なう。そこで示された戦略をもとに次の授業が構成されていく。意思 決定過程では、提案された戦略案をもとにどのような根拠でそれぞれの考え方を支持 するのかを明確に持たせ、学習者それぞれの立場を明らかにさせる。その中で同じよう な考え方をもつもの同士をグループにし、解決案をより強固なものにしていくことをねら う。最終的にはそれぞれの策について提案を行い、明確な根拠のもとに意思決定させ る。提案する活動においては、淡路瓦工業に携わる関係者の方々をお招きし、それぞ れの提案を聞き、意見をいただけるような時間が確保できれば、より社会参画の意識 を育成することにつながるだろう。

 そして、意思決定させた後、学習者が選択した意見についてもう一度吟味し、各個 人でよりよい改善策がないか、あるいは自分に何かできることはないのか考える活動を 設け、より実践的な意識形成となる地域住民としての社会参画意識の育成を行うよう

にしたい。

2. 単元「淡路瓦産業と社会における企業の役割と責任」における