第1節 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野
2. 経済単元における地域手段社会参画意識育成型実践事例の構成
本項では、地域手段社会参画意識育成型の授業構成について述べていく。教材 の学習過程ごとに討議活動型・模擬i体験活動型の構成について説明する。
(1)地域手段社会参画意識育成型:討議活動型の構成
討議活動型には、No.6「わたしたちの生活環境一ゴミと二二清掃工場一」36の1 事例が該当した。本事例の目標は、「自然からものを収奪・生産しながら、一方では
自然へものを廃棄するという人間の営みが、環境破壊につながることを理解させる。
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環境破壊の問題の解決は国・地方公共団体のみならず、生徒を含めた地域住民や 企業の努力が必要であることを理解させる。」である。
本事例では、地域教材として「鬼崎清掃工場の問題」が取扱われている。学習内 容と地域教材は同一のものとしてとらえられておらず、地域教材は学習内容に対して 手段的に位置づけられている。
本時は、大分市のゴミの質や量の変遷について資料から読み取り、増加している 現状について把握させ、学習課題「質・量ともに増加しているゴミ処理は今後、どのよ うに在るべきだろうか?」について鬼崎清掃工場の問題点を事例として、追究すること でどのようにゴミ処理を行なうことが社会にとってよりよい方法なのか考えることが中心 的な学習活動となっている。以下の【表2−7】に本実践の授業展開を示す。
【表2−7「わたし距ちの生活環境一ゴミと二二清掃工場一」の授業展開】
▽学窓活動・●自問 ●答え・○知識 資料
導 ▽増大する大分市のゴミの量とその質 ●いろんなゴミがある。 資料①:実物
入 の変化を探る。 ●プラスチック類が多い。 のゴミ
○どのように処理していけばよいのだろうか。 資料②:大分
▽学習課題を設定する。 市のゴミの変
質・量ともに増加しているゴミ処理は今後、どのように在るべきだろうか? 遷
展 ▽鬼崎清掃工場で働く人の話を聞き、 ●ゴミは一旦破砕機にかけ、細かくしてから埋め立て場に埋 資料③:鬼崎
開
清掃工場の現状をつかむ。 められる。 清掃工場で
●一N間に1億円の費用がかかる。 働く人のイン
▽清掃工場のかかえる問題点につい ●ゴミが多すぎて後25年ももたすことはできない。15年くら タビューVTR
て話し合う。 いか。 資料③
●どのような問題点があるのだろうか? ●地下水の汚染、カラスの害、メタンガス、ハエの発生等の 公害が発生している。
▽他の揚所につくりにくい理由につい ●公害の危険陛があるため。 資料④:新聞
て考える。 ■住民の反対運動が起こるから。 記事(裁判・
●土の中に埋めて処理するにも限界がある。 訴訟)
終
▽今後のゴミ処理の在り方と環境保全 ●過消費をしているという認識を持つ。
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第ll章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における実践の類型と構成
結 の大切さについて考える。 ●無計画な乱開発は環境を破壊している。
●計画的な国土利用をするべきだ。
●再利用の意識、資源の有効活用の意識を持つ必要があ
る。
・現在の環境を守るだけでなく、生活しやすい環境を積極 的につくっていかねばならない。
導入部では、資料から大分市のゴミが質的量的に変化してきていることを把握させ ている。この事実把握に基づいて「どのようにゴミ処理を行っていくことが環境に優しい 社会であるのか」について追究させることが四時のB.Qとなっている。
展開部では、学習課題を解決するために「鬼崎清掃工場」を地域の事例として取 扱い、清掃工場に勤めている人のお話や工場を取材した班の報告からその現状と問 題点を把握させている。続いて、把握した問題の解決のための問題分析過程として 清掃工場が他の地域へ移りにくい理由について資料をもとにした話し合いの活動を 設けている。そこで事象が問題となっている原因は公害問題の発生や住民による反 対運動であることを知る。ここで、環境問題が自分の地域だけでなく他地域の環境と も結び付き社会全体で解決していく必要のある問題であることを知り、より切実性の 高い問題として環境問題が認識されている。
終結部では、以上の問題把握・問題分析の過程で得た知識をもとに今後のゴミ処 理のあり方や社会が抱えている環境問題に関する方策について行政側・消費者側・
企業側といった様々な視点から意見が提案されている。これは社会に存在する経済 主体ごとの多角的な視点から意見を提案させているという点で評価できる点である。
また、そこでは、希少性のある資源の適正配分や有効利用に関する意見が多くを占 めており、学習者同士の提案が行われて授業が終えられている。
授業で獲得される知識は鬼崎清掃工場が抱えている問題に関する知識と問題が なぜ発生しているのかという因果関係を理解するための知識である。そして、それらの 知識を獲得させた上で、今後のゴミ処理や環境問題に関する方策について社会をよ りよいものに改善していこうとする提案を行う価値判断過程が設けられている。これらの ことから、本実践は、環境問題の解決に向けて経済主体の一員、社会を形成する一 員として社会へ主体的に参画しようとする意識を育成することが目指された実践だと 55
することができる。
以上の考察から、本実践の構成は【図2−7】のようになっていると考えられる。
【図2−7地域手段社会参画意識育成型:討議活動型の授業構成】
段階 学習内容 地域教材 学習過程
1
事実認識過程 ゴミ処理の現状
@ … ▼
@ ≡
@ ≡ ▼
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P鬼崎清掃工場の現状屠L_幽一一_____一_一量
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Sミ処理の問題点噌
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@今後のゴミ処理の
@在り方と環境保全
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価値判断過程 U ︵
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圏
【図2−7】は地域手段社会参画意識育成型:討議活動型に該当した「わたしたち の生活環境一ゴミと鬼門清掃工場一」の授業構成をモデル化したものである。地域 教材「鬼崎清掃工場の問題」は学習内容と同一的には取扱われておらず、授業の 学習内容となる環境保全(ゴミ処理)の今後の在り方に関する判断材料として手段的 に位置付いている。授業で獲得される知識は高崎清掃工場が抱える問題に関する 個別的な知識や問題解決を阻む住民問題や公害問題の発生に関する一般的な知 識であり、これらの知識は今後のゴミ処理のあり方や環境問題に関してどのように考え るかを判断させる材料となる。そして、それらの判断材料をもとに社会を構成する一員 としての意識を問う価値判断過程が組み込まれている。また、授業で扱われている事 象の学習過程には、学習者同士の討議活動が中心的に位置付いている。
(2)地域手段社会参画意識育成型 模擬体験活動型の構成
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第H章 地域教材を視点にした中学校社会科公民的分野経済単元における実践の類型と構成
模i擬体験活動型には、No.41「福祉の充実一『暮らしやすい町』を提案しよう」37の 1事例が該当した。本事例の目標は「『自分が町長ならば、どのように暮らしやすい町 づくりを行なうか』という課題に取り組むことを通して、町に必要な社会資本についての 理解を深め、主体的に社会参画する態度を育てる。」である。
本事例では、地域教材として「町が作成している総合長期プラン」が取扱われると ともに、町に必要な政策を決定するシミュレーション教材が取り入れられている。学習 内容と地域教材は同一のものとしてはとらえられておらず、地域教材は学習内容に対 して手段的に位置づけられている。
本時は、地域教材を通して町が抱えている課題について認識し、自分が町長だっ たらその課題を解決するためにどのような社会資本整備を優先的に行うかについて、
町の財政収支や環境、福祉、教育、産業などの複数の側面から考察し、決定するこ とが中心的な学習活動になっている。以下の【表2−8】に本実践の授業展開を示
す。
【表2−8「『暮らしやすい町』を提案しよう一」の授業展開】
▽学習活動・●莞問 ●答え・o知識 資料
▽学習課題を確認する。
自分が町長ならばどのように暮らしやすい町づくりを行うだろう。
導 入 展 開 終 結
▽課題に対し、町に住む人々や町で働く人々にとっ ト、暮らしやすい町であるためには、どこが課題であ 驍ゥを見つける。
●役場や福祉センターの位置に問題があ
驕B
恤燗ケの整備が不十分である。
E点字ブロックが少ない。
資料1:町の地 }資料2:町が作
ャしている総
∫キ期プラン
▽町の中で整備する必要のある社会資本について、
K要度や財政とのバランスから順位を付け、その理由 考える。
Q教育、福祉、環境、産業、その他の側面 ゥら優先順位を考える。
B財政負担とのバランスを考慮する。
導入部では、資料となっている「町の総合長期プラン」や「地図」、普段の生活から 感じる地域社会の社会資本に関する問題を発見させている。それらは公共施設の立 地や社会資本的側面から見た高齢者福祉、障害者福祉に関する問題などである。
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