で、かつ ∫ ∞
a
|g′(x)|dx <∞, lim
x→∞g(x) = 0 が成り立つならば、部分積分を用いて、F(a) = 0 に注意すると、
∫ R a
f(x)g(x)dx=
∫ R a
F′(x)g(x)dx= [F(x)g(x)]Ra −
∫ R a
F(x)g′(x)dx
=F(R)g(R)−
∫ R a
F(x)g′(x)dx.
ここで
|F(R)g(R)| ≤M|g(R)| →0 (R → ∞),
|F(x)g′(x)| ≤M|g′(x)|,
∫ R
a
|g′(x)|dx <∞ であるから、
∫ ∞
a
f(x)g(x)dx は存在し、
∫ ∞
a
f(x)g(x)dx ≤M
∫ ∞
a
|g′(x)|dx= sup
x∈[a,∞)
∫ x
a
f(t)dt ∫ ∞
a
|g′(x)|dx.
あるいは、少し一般化して、任意の c∈[a,∞)に対して、
∫ ∞
c
f(x)g(x)dx
≤ sup
x∈[c,∞)
∫ x c
f(t)dt ∫ ∞
c
|g′(x)|dx.
1. 有限個の数を加えるときは、加える順序をいくら変えても答は変わらないが、この法則 は無限個のたし算の場合には成り立たない。だから無限級数ははじめに並べたとおりに 加えると定める。
2. 無限級数にいつでも和があるというのは迷信である(それまで和がないものに無理やり 和を考えようとして混乱を生じていた)。数列の収束と発散という考えを持ち込んだ(例 の ε-N 論法は Cauchy の発明らしい)。
なるほど。今勉強するときはまず真っ先に
∑∞ n=1
an= lim
n→∞
∑n k=1
ak
と天下りに書き下してしまうが、歴史的にはここに至るまでが大変だったわけだ。
遠山先生の本はお勧めです。アーベルとか、古い時代の数学者の話は、小堀 [22] なんてど うでしょう。
1. (参考まで) Sir Isaac Newton (1643–1727,英国の Woolsthorpeに生まれ、ロンドンに没 する)
2. (参考まで) Brook Taylor (1685–1731,英国のMiddlesexに生まれ、ロンドンにて没する) 3. (理論というよりも、とにかく結果を出しまくったという人だが、参考まで) Leonhard
Euler (1707–1783, スイスの Baselに生まれ、ロシアの St Petersburg にて没する) 4. Augustin Louis Cauchy (1789–1859,フランスのパリに生まれ、パリ近郊の Sceauxにて
没する)
1821 年 “Cours d’analyse” (エコール・ポリテクニクの教科書) 級数の和の定義, 数列の収束・発散の定義
5. Niels Henrik Abel (1802–1829, ノルウェー)
ベキ級数の収束円, Abel の級数変形法, Abel の連続定理
6. (べき級数とは関係ないが参考まで) Jean-Baptiste-Joseph Fourier (1768–1830)
7. Karl Theodor Wilhelm Weierstrass (1815–1897, Westphalia (now Germany) の
Osten-felde に生まれ、ベルリンにて没する)
『連続関数の一様収束極限は連続』, Weierstrass の M test
D 初等関数についてのメモ
(工事中)
E 定積分計算のガラクタ箱
授業で説明するタイプ以外にも、院試などに出題される定積分がある。
E.1 x
α× 有理関数の積分
∫
∞0
x
αf (x)dx
有理関数f と xα (0< α <1)との積の [0,∞)上での積分 I =
∫ ∞
0
xαf(x)dx
を求めよう。要点を一言にまとめると、zα の多価性を利用して計算する、となる。
関数 zα は多価関数である
α を任意の実数とする。実関数 xα は、x < 0 では普通定義されないことを思い出そう。
「複素関数」としてのzα は、
zα = exp (αlogz)
で定義することになるがa、これは普通の関数ではなくて、(logz の多価性によって)多価 関数であることに注意する(だから上の等式は、本当は集合に関する等式である)。 z =reiθ (r >0, θ∈[0,2π)) とするとき、
logz = logr+i(θ+ 2nπ) (n∈Z) であった (この右辺の logr は実関数としての log の値)。ゆえに
zα = exp (α(logr+i(θ+ 2nπ))) =rαeiαθei2αnπ.
もし α∈ Z であれば、∀n ∈Z に対して nα∈ Z であるから、ei2αnπ = 1 であって、上の 式は n によらない 1つの複素数を定める。しかし α ̸∈Z の場合は、複数 (しばしば無限 個) の値を取る。絶対値については、
|zα|=rα =|z|α. (右辺の |z|α は実関数としての α 乗である。)
a実関数として、x= exp(logx),xα= exp(αlogx)であるから、式の形は自然に感じられるであろう。
Ω :=C\[0,∞)における対数関数logzを、虚部∈(0,2π)となるような分枝を選ぶことで定義 する。すなわち、z をz =reiθ (r >0,θ∈(0,2π))と極形式で表示したとき、logz= logr+iθ.
これを用いて、
zα := exp (αlogz) = exp(α(logr+iθ)) =rαeiαθ.
(自然に感じられるかも知れないが、全然当たり前ではなく、上に書いた約束に基づいている ことに注意!)
この項で用いる zα (ただし α ∈(0,1))
z =reiθ (r >0, θ∈(0,2π)) とするとき、zα =rαeiαθ,|zα|=|z|α. z ∈(0,∞) の場合
(♡) (zα)下半平面からの極限= (zα)上半平面からの極限×e2παi である (授業では図を描いて説明)。
命題 E.1 (有理関数のメリン変換) f(z) = Q(z)
P(z), ここで P(z), Q(z) ∈ C[z], degP(z) ≥ degQ(z) + 2, ∀x∈(0,∞)P(x)̸= 0, 0 は f の正則点または高々1位の極とし、0< α <1 とする。このとき、
∫ ∞
0
xαf(x)dx = 2πi 1−e2παi
∑
c̸=0
Res(zαf(z);c).
証明 0 < ε < R, 0 < δ < π なる ε, R, δ を取る(以下で ε → 0, δ → 0, R → ∞ とする)。
C :=C1+C2 +C3+C4, C1 は z =teiδ (t ∈[ε, R]),C2 は z =Reiθ (θ ∈[δ,2π−δ]), −C3 は z =tei(2π−δ) (t∈[ε, R]),−C4 は z =εeiθ (θ∈[δ,2π−δ]), とする。
留数定理から、十分小さい任意のε, δ,十分大きい任意の R に対して、
(♭)
∫
C1
zαf(z)dz+
∫
C2
zαf(z)dz+
∫
C3
zαf(z)dz+
∫
C4
zαf(z)dz = 2πi∑
c̸=0
Res(zαf(z);c).
C1 に沿う線積分は、
∫
C1
zαf(z)dz =
∫ R ε
(teiδ)α
f(teiδ)dt =eiαδ
∫ R ε
tαf(teiδ)dt.
δ →0のとき、t ∈[ε, R] について一様にtαf(teiδ)→tαf(t), またeiαδ →1 であるから、
∫
C1
zαf(z)dz →
∫ R
ε
tαf(t)dt.
C2 に沿う線積分は、
∫
C2
zαf(z)dz =
∫ 2π−δ
δ
(Reiθ)αf(Reiθ)·iReiθ dθ →
∫ 2π
0
(Reiθ)αf(Reiθ)·iReiθ dθ (δ→0).
ただしθ = 0 のとき(Reiθ)α =Rα,θ = 2π のとき(Reiθ)α =Rαe2παi とみなす (そうすると被 積分関数は [0,2π] 上の連続関数になり、積分の収束が容易に分かる)。
∫ 2π
0
(Reiθ)αf(Reiθ)·iReiθ dθ
≤Rα+1
∫ 2π
0
f(Reiθ)dθ ≤Rα+1·2πM R2
= 2πM
R1−α →0 (R → ∞).
−C3 に沿う線積分は、
∫
−C3
zαf(z)dz =
∫ R
ε
(te(2π−δ)i)αf(te(2π−δ)i)·e(2π−δ)i dt
=e(2π−δ)αie(2π−δ)i
∫ R
ε
tαf(te(2π−δ)i)dt=e2παie−(1+α)δi
∫ R
ε
tαf(te−δi)dt.
δ →0のとき、t ∈[ε, R] について一様にtαf(te−δi)→tαf(t) であるから、
∫
−C3
zαf(z)dz →e2παi
∫ R
ε
tαf(t)dt.
−C4 に沿う線積分は
∫
−C4
zαf(z)dz =
∫ 2π−δ δ
(εeiθ)αf(εeiθ)·iεeiθ dθ →
∫ 2π 0
(εeiθ)αf(εeiθ)·iεeiθ dθ (δ→0).
ただし θ = 0 のとき (εeiθ)α =εα,θ = 2π のとき (εeiθ)α =εαe2παi とみなす (そうすると被積 分関数は [0,2π] 上の連続関数になり、積分の収束が容易に分かる)。
∫ 2π 0
(εeiθ)αf(εeiθ)·iεeiθ dθ
≤εα+1
∫ 2π 0
f(εeiθ)dθ ≤εα+1·2πM′ ε
= 2πM′εα →0 (ε →0).
まず、(♭) で δ→0 としてから、ε →0,R → ∞として、
∫ ∞
0
tαf(t)dt−e2παi
∫ ∞
0
tαf(t)dt= 2πi∑
c̸=0
Res(zαf(z);c).
ゆえに ∫ ∞
0
tαf(t)dt= 2πi 1−e2παi
∑
c̸=0
Res(zαf(z);c).
反省 上の証明を振り返ると、δ →0のとき
∫
C1
zαf(z)dz →
∫ R ε
tαf(t)dt,
∫
−C3
zαf(z)dz →e2παi
∫ R
ε
tαf(t)dt
となり、どちらも図形としては同じ線分 [ε, R] 上の積分であるにもかかわらず、値が食い違 い、引いても打ち消し合わないところがミソである。
全体の話が見える式を掲げると、
2πi∑
c
Res (f(z) logz;c) =
∫
Cε,R
f(z) logz dz = (1−e2παi)
∫ R
0
f(x)dx+剰余項. (積分路 Cε,R は図で描くのが簡単。)
例 E.1 0< α <1 のとき、 ∫ ∞
0
xα−1
1 +xdx= π sinπα.
例 E.1 (条件を書いていなかったけれど、0< α <1 と仮定するのかな?)
∫ ∞
−∞
xα
1 +x2 dx= 2πi 1−e2παi
( Res
( zα 1 +z2;i
) + Res
( zα 1 +z2;−i
))
= 2πi
1−e2παi
(eπαi/2
2i − e3παi/2 2i
)
= π(
eπαi/2−e3παi/2)
1−e2παi = π 2 cosπα
2 .
この例については、Mathematica, Maple等でも問題なく計算できる(それぞれIntegrate[x^a/(1+x^2), {x,-Infinity,Infinity}], integrate(x^a/(1+x^2),x =-infinity..infinity) と入力す
る)。
問 74. (Ahlfors p.174)
∫ ∞
0
x1/3
1 +x2 dx (答: π
√3)