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管軸直角方向の地盤変位によるケーブル被害の対策

第3章 地下管路の耐震対策

3.4 管軸直角方向の地盤変位によるケーブル被害の対策

(1) 被害事例の分析

新潟県中越沖地震において,路肩の崩壊により管軸直角方向に地盤が変位し,屈曲を 伴いながら SA 管の継手部に破損が生じ,通信障害が発生したケースを分析する.写真

-3.14 に被害箇所を示すとおり,盛土の崩壊により歩道部が側方に移動している.また,

写真-3.15に補修時の継手部の損傷状況を示すとおり,盛土の崩壊により管路が軸直角方 向に移動することで継手部が屈曲するとともに,管軸方向にも押込みおよび引抜き力が 作用することで継手が著しく損傷している.ネジ継手部の管端同士がぶつかり合うこと で光ファイバケーブルに管端部が食い込み,収容された光ファイバケーブルが全断して いる.被災箇所の側面図および平面図を図-3.20に示すとおり,マンホールから170m付 近で路肩が崩壊し,屈曲を伴いながらネジ継手部が圧縮および引張破壊した.被災箇所 の前後38mにわたり路肩崩壊が発生し,地盤が1.2m側方に移動,管路が0.6m側方に移 動した.被災箇所周辺に他企業等の埋設物など,SA 管の変位に影響する拘束物は確認 されていない.

(2) 管路損傷状況の定量化

a) 被災事例のSA管解析

被災分析に使用した解析モデルを図-3.21に示す.地盤ばね特性は表-3.2の一般地盤を 使用し,外力は図-3.22に示すとおり実測値の最大1.2mの側方流動変位を半波長38mの 正弦波で近似した.

解析より得られたSA管の継手屈曲角の分布を図-3.23に示す.路肩の崩壊箇所で地盤 の側方流動に追従し最大 4°の屈曲角が生じた.図-3.4(a)に SA 管継手の特性を示すよう に,SA 管継手部の回転により離脱破壊が生じる結果となった.解析では路肩崩壊箇所 の両端部で最大の屈曲角が生じたが,管路の開削補修時に確認した実被災では崩壊箇所

図-3.22 屈曲を伴う被害事例の解析に用いた入力外力

図-3.23 屈曲を伴う被害事例のSA管の継手屈曲角分布

の中央部で最大屈曲が生じている点に相違がある.しかしながら,開削補修時の写真よ り推定した離脱継手の屈曲角は3°から5°程度であることから,継手の離脱状況は比較的 再現できていると考えられる.

図-3.24 側方流動の入力地盤変位

図-3.25 側方流動モデルのSA管継手の屈曲角度分布

b) 一般的なSA管モデルによる解析

一般的な SA 管モデルに対する地震時の継手挙動について解析を行った.一般的なモ デルとは,出口らの研究 11) により提案された通信管路を設計する際に,より安全側に 検討するための地盤変状モデルであり,日本海中部地震や阪神淡路大震災における通信 管路の側方流動変位について,地震前後の測量結果を基に設定されたものである.地震 外力は,図-3.24 に示すように地盤の側方流動による入力地盤変位を地盤ばねを介して SA管に作用させる.最大変位量/流動範囲=1%の正弦波形状の変位分布とした.

解析を行った管路モデルは図-3.3に示した標準的なSA管の部材構成とした.SA管の 管体特性は表-3.1,SA管ネジ継手・旧仕様伸縮継手・ダクトソケットの引抜・押込・回 転特性は図-3.4に示す特性とした.

図-3.25に解析により得られたSA管継手の屈曲角度分布を示す.管路両端のマンホー ルとの接続部で最大の屈曲角が生じる結果となった.管路とマンホールの接続はダクト ソケットであり,図-3.4 に示すように固定条件の継手特性を与えているが,曲げひずみ が集中するためか0.57度の屈曲が生じている.他の継手は過度な屈曲は生じない結果と なった.

図-3.26 屈曲を伴う被災再現実験概要

写真-3.16 SA管継手破壊試験 写真-3.17 SA継手破壊断面

c) SA管継手の被災再現実験

3.3(2)c)項と同様にSA 管継手部の繰返し載荷試験を行った.写真-3.15に示すように,

路肩の崩壊によるケーブル被災状況は,地盤の崩壊に合わせて,ネジ継手部が押込みお よび引抜き破壊することで光ファイバケーブルが損傷していた.また,補修時の状況及

びc)項の解析結果から継手部で4°の屈曲角をつけた状態で繰り返し載荷を実施した.図

-3.26 に屈曲を伴う被災再現実験の概要図を示す.繰返し荷重の載荷方法は,3.3(2)c)項

と同様に継手が50mm押し込まれる位置までの圧縮を再現した.実際の試験では,試験 機の圧縮性能の関係から管端部同士を突き当てた位置(ネジ込んだ位置から65mm抜け た位置)から115mmの押し込み,引き抜きのサイクル試験を3サイクル行った.試験速

写真-3.18 光ファイバケーブル損傷状況

度は試験機の最大速度 500mm/min とした.SA 管とライニング管の摩擦拘束はない状 態とし,管内部に光ケーブル(SM1000)を挿入し,ケーブルへの張力はかけていない状 態での外被の損傷状況を確認した.

ライニングを施していないSA管の試験の結果,写真-3.16に示すようにネジ部が管端部 に食い込み,継手が激しく破壊される被災の再現を行うことができた.SA管の継手破壊 断面は,写真-3.17に示すように有効断面が全く無い状態となる.収容された光ファイバ ケーブルの損傷状況を写真-3.18に示す.光ファイバケーブルが管端部に食い込んだネジ 部に押し潰され,ファイバ心線が全断される結果となった.

図-3.27 屈曲を伴う被災事例解析のPVCライニング管のひずみ分布

(3) ケーブル防護対策の評価

a) 被災事例のライニング管解析

ライニング管の被災分析は,弾性床上の梁理論に基づく地中管路の地震応答解析法(プ ログラム:ERAUL)12)を用いて行った.図-3.2に示すとおり,(2)a)項で解析を行ったSA 管の地震時応答変位を外力として,外管と内管の拘束力特性を介してライニング管に作 用させることで,ライニング管の応答を求めた.被災分析に使用した解析モデルを図 -3.21に示す.地盤ばね特性およびSA管とライニング管の拘束力特性は表-3.2の一般地盤 を使用し,外力は図-3.22に示すとおり,実測値の最大1.2mの側方流動変位を半波長38m の正弦波で近似した.

ライニング管の解析結果では,変位が SA 管の変位と全く同様の形状で追従すること が確認できた.PVCライニング管のひずみ分布を図-3.27に示す.同図より,①SA管の 継手破壊位置でひずみが局部的に高くなること,②ライニング管のひずみは屈曲角が最 大となる路肩崩壊箇所の両端部で最大1.2%程度の引張ひずみが生じること,③ライニン グ管のひずみは材料強度に相当する1.5%には達しておらず,ライニング管は材料の破壊 には至らないことが確認できた.このことから,解析に使用した一般的なPVCライニン グ材の場合,地中に埋設する際に必要な断面力を得るための肉厚3.0mmを確保すること で,地震時の地下ケーブル防護効果が期待できると推定できる.

FRP ライニング管のひずみ分布を図-3.28 に示す.同図より,PVC ライニング管の解 析結果と同様の傾向が得られた.①SA 管の継手破壊位置でひずみが局部的に高くなる こと,②ライニング管のひずみは屈曲角が最大となる路肩崩壊箇所の両端部で最大0.9%

程度の引張ひずみが生じること,③ライニング管のひずみは材料強度に相当する 1.25%

には達しておらず,ライニング管は材料の破壊には至らないことが確認できた.このこ とから,解析に使用した一般的なFRPライニング管の場合も,地中に埋設する際に必要

図-3.28 屈曲を伴う被災事例解析のFRPライニング管のひずみ分布

な断面力を得るための肉厚3.0mmを確保することで,地震時の地下ケーブル防護効果が 期待できると考えられる.

b) 一般的なSA管モデルによるライニング管の解析

一般的なSA管モデルに対する地震時のライニング管挙動について解析を行った.(2)b) 項と同様に,解析を行った管路モデルは図-3.3に示した標準的なSA管の部材構成とした.

SA管の管体特性は表-3.1,SA管ネジ継手・旧仕様伸縮継手・ダクトソケットの引抜・押 込・回転特性は図-3.4に示す特性とした.SA管に作用する地震外力は,図-3.24に示すよ うに側方流動による入力地盤変位について地盤ばねを介してSA管に作用させる.前項と 同様にSA管の地震時応答変位を把握した後に,外管と内管の拘束力特性を考慮して,外 管の挙動を外力としてライニング管に作用させることで,ライニング管の応答を求めた.

図-3.29にPVCライニング管のひずみ分布を示す.PVCライニング管の最大ひずみはダ クトソケット部で生じているが,わずかに0.5%である.同図より,①SA管のダクトソケ ット部でSA管の屈曲角が最大となるため,これらの位置でひずみが局部的に高くなって いること,②PVCライニング管の最大ひずみは0.5%程度であり,地盤ひずみ1.0%に比べ 小さな値となること,③PVCライニング管の材料の降伏ひずみ1.5%までは達していない ことが確認できた.

図-3.30にFRPライニング管のひずみ分布を示す.PVCライニング管と同様にFRPライ ニング管の最大ひずみはダクトソケット部で生じているが,わずかに0.26%である.同 図より,①ダクトソケット部でSA管の屈曲角が最大となるため,これらの位置でひずみ が局部的に高くなっていること,②FRPライニング管の最大ひずみは0.26%程度であり,

地盤ひずみ1.0%に比べ小さな値となること,③FRPライニング管の材料の降伏ひずみ 1.25%までは達していないことが確認できた.

以上により,一般的なSA管モデルにおいても,SA管内面にライニング補強を施すこ